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第1章
秘められた過去 7
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用意された真新しい衣は近衛隊長としての上質な立派なものだった。 言われるがままに王の元へ案内され、王の前でひざまずくと 、彼は人払いをした。
「 お前を近衛隊の隊長に任命する」
「 ……しかとお守り致します」
俺には負担の重いものだったが亡くなった隊長との約束を思い出し 、王の顔も見ないで短く淡々と答えた。俺の大事な隊長を殺めた王に仕えなくてはいけないなんて……これ程までに屈辱的なことがあるのか。
悔しい。
悔し涙が溢れそうになるが歯を食いしばって耐えなくてはいけない。この先はずっと……。
その時、王は信じられないことを言い放った。
「近衛隊長は余を一番近くで守るもの、そんな隊長の全てを確認せねばならない。さぁ着ている衣をすべて脱げ!」
「えっ今なんと?」
邪悪な視線と口調を浴び、俺はぞくっと身震いした。
このお方は男の俺に一体何を?
まさか、いやそんなはずは……
たじろいでいると、追い打ちをかけるように急かしてくる。
「そなたは王命が聞けぬのか。つまりお前を愛でてやると言っているのだ。 さぁ早くしろ」
「そんな……」
「早くしろ!王命だ!」
「……」
頭の中が混乱してくる。だって俺は男だぞ?何故王はそのようなことを言うのだ?全身から冷や汗が吹き出し震え出してしまった。俺が押し黙って俯いていると王が王座から降り、俺の元へやってきて顎を掬われた。
「早く脱げといっているのだ!この場で斬られたいのか。お前も!」
「うっ……」
「さぁさぁ王命だ!」
俺は目を閉じて観念し、腰紐を緩め衣を腰まで降ろした。
夏場はこのような姿で鍛錬もする……この位どうってことは……意気がってみたが、その途端、王に女人のように強く抱きしめられ背筋が凍った。
「あっ!」
抱きしめられた王の肩越しに、部屋の奥が寝所になっているのが見え、足がガクガクと震えてくる。
ま……まさか…このまま。
王の唇がチロチロと蛭のようにしつこく俺の上半身を舐めまわし始めると、頭が真っ白になった。
「ほぉ……美味しいな。お前の躰は若くて良い匂いがする」
うっ……耐えがたい!吐き気がする。みるみるうちに全身に鳥肌が立っていく。何故……曲がりなりにも尊敬すべき王が、俺にこのような仕打ちをするのか。
「ぐっ……」
次の瞬間、王の息が荒くなり、その唇が俺のものとぴたりと重なった。
クチュクチュと卑猥な音を立て唇を吸われると、喉元が締め付けられ屈辱で躰から怒りが溢れでそうになる。王の髭がざらざらと肌にあたり、何とも言えないおぞましい執拗な口づけが、そのまま胸元まで降りてくる。
死にたい程……気色悪い。
今すぐに王を張り倒して逃げたい!
だが決して逆らうことはできない。
相手は王だ。王命は俺にとって絶対だった。
俺にできるのは、この時間が過ぎ去るまで、ただ耐えるのみ。
一刻も早く終わることを祈ることしか……できなかった。
激しい屈辱にまみれながら。
「 お前を近衛隊の隊長に任命する」
「 ……しかとお守り致します」
俺には負担の重いものだったが亡くなった隊長との約束を思い出し 、王の顔も見ないで短く淡々と答えた。俺の大事な隊長を殺めた王に仕えなくてはいけないなんて……これ程までに屈辱的なことがあるのか。
悔しい。
悔し涙が溢れそうになるが歯を食いしばって耐えなくてはいけない。この先はずっと……。
その時、王は信じられないことを言い放った。
「近衛隊長は余を一番近くで守るもの、そんな隊長の全てを確認せねばならない。さぁ着ている衣をすべて脱げ!」
「えっ今なんと?」
邪悪な視線と口調を浴び、俺はぞくっと身震いした。
このお方は男の俺に一体何を?
まさか、いやそんなはずは……
たじろいでいると、追い打ちをかけるように急かしてくる。
「そなたは王命が聞けぬのか。つまりお前を愛でてやると言っているのだ。 さぁ早くしろ」
「そんな……」
「早くしろ!王命だ!」
「……」
頭の中が混乱してくる。だって俺は男だぞ?何故王はそのようなことを言うのだ?全身から冷や汗が吹き出し震え出してしまった。俺が押し黙って俯いていると王が王座から降り、俺の元へやってきて顎を掬われた。
「早く脱げといっているのだ!この場で斬られたいのか。お前も!」
「うっ……」
「さぁさぁ王命だ!」
俺は目を閉じて観念し、腰紐を緩め衣を腰まで降ろした。
夏場はこのような姿で鍛錬もする……この位どうってことは……意気がってみたが、その途端、王に女人のように強く抱きしめられ背筋が凍った。
「あっ!」
抱きしめられた王の肩越しに、部屋の奥が寝所になっているのが見え、足がガクガクと震えてくる。
ま……まさか…このまま。
王の唇がチロチロと蛭のようにしつこく俺の上半身を舐めまわし始めると、頭が真っ白になった。
「ほぉ……美味しいな。お前の躰は若くて良い匂いがする」
うっ……耐えがたい!吐き気がする。みるみるうちに全身に鳥肌が立っていく。何故……曲がりなりにも尊敬すべき王が、俺にこのような仕打ちをするのか。
「ぐっ……」
次の瞬間、王の息が荒くなり、その唇が俺のものとぴたりと重なった。
クチュクチュと卑猥な音を立て唇を吸われると、喉元が締め付けられ屈辱で躰から怒りが溢れでそうになる。王の髭がざらざらと肌にあたり、何とも言えないおぞましい執拗な口づけが、そのまま胸元まで降りてくる。
死にたい程……気色悪い。
今すぐに王を張り倒して逃げたい!
だが決して逆らうことはできない。
相手は王だ。王命は俺にとって絶対だった。
俺にできるのは、この時間が過ぎ去るまで、ただ耐えるのみ。
一刻も早く終わることを祈ることしか……できなかった。
激しい屈辱にまみれながら。
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