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小学生編
白薔薇の祝福 39
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いよいよ最後のワークショップだ。
今回も老若男女、様々な性別と年代のお客様だった。
「ようこそ! 白薔薇のワークショップにご参加ありがとうございます」
良かった。だいぶ声が通るようになった。今まで講師をした経験がなかったので、初回は緊張して声が震えて通らなくて大変だった。でも日に日に慣れてきた。
お母さんに見てもらうのが、今日で良かった。
ぐるりと見渡せば、皆、ワクワクと好奇心に満ちた顔をしている。
「講師の加々美歌壇から参りました葉山瑞樹です。よろしくお願いします」
僕は心をこめて深く頭を下げた。
人は十人十色。
皆、違う心の色を持っている。
考え・好み・性質は全く違うから、相手に寄り添う心がなければ、すぐに関係がギクシャクしてしまうだろう。
僕はせっかく出会ったご縁を大切にしたいんだ。
僕たちは、この世を生きている。
生きてるから出来ることなんだ。
「先生、見本はどこですか」
「今回は見本はないんです。どうかあまり難しく考えないで下さい。目の前の花を見つめ、心の赴くままにあなただけの世界を作って下さい。それが正解ですよ」
「わぁ素敵ですね。ワークショップって先生のお手本の真似をするだけなのかと思っていました」
「同じ白い薔薇でも、全く同じ薔薇はないので、見本は作れないんですよ」
「ふふ、確かにそうですよね。こんなに薔薇をじっくり見るの生まれて初めてだわ」
何か一つでも気付くことがあるといい。それが思い出となる。
一時間に渡るワークショップも無事に終了し、皆さん、自分が作ったブーケを大切そうに抱えて帰っていった。
思い思いの場所に――
「葉山さん、お疲れ様でした。これで全12回のワークショップ全てが終了しましたね」
「そうだね。斉藤さんもお疲れ様」
「葉山さんと仕事が出来て良かったです」
握手を求められて、照れ臭かった。
「突っ走らないで相手の気持ちを汲む。葉山さんのワークショップを通じて学べました」
「僕も常日頃から気をつけていることだよ、難しいけどね」
「実は葉山さんって……うちの会社にはいないタイプだったので、最初は戸惑いました。でも今は知り合えて良かったと思います」
「ありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」
いよいよイベント自体も終了だ。
後片付けは専門の撤収スタッフがやってくれるそうなので、僕が関わるのはここまでだ。
「みーくん、もう自由になったのか」
「はい! あの、今日は芽生くんの誕生日なので、お父さんもお母さんも宗吾さんのご実家に来てくれますか」
「え? 俺たちまで、いいのか」
「もちろんです。宗吾さんのお母さんから直々のお誘いです」
「ありがとう! じゃあ、汗だくなので着替えてから行くよ。しかしこのお屋敷には随分ご厄介になったな~ 居心地が良くて最高だった。庭師のテツさんと気が合って楽しかったよ」
「お父さんがのびのび過ごせてよかった」
「それにしても、俺がまた大工をしたくなるなんて、思わぬ副産物だったよ」
「確かに! じゃあ僕も着替えてきます」
宗吾さんと駅で待ち合わせしているので、早く向かおう!
さぁ、いよいよ芽生くんの9歳の誕生日のお祝いが出来る。
お母さんに誕生日会もプレゼントも任せきりだったが、とにかく早く駆けつけたい。
君が僕を待っている。
それが嬉しい。
****
「そろそろか」
俺は人が溢れる駅の改札口で、瑞樹がやってくるのを今か今かと待っていた。
律儀な瑞樹はいつも約束の時間より数分早く到着するので、俺の方がギリギリになることが多い。
ところが今日はなかなかやってこない。
もう一度辺りを見渡すと、ようやく視界の端に瑞樹の姿を捉えた。
スーツに着替えた君はストイックで可憐なルックスから、案の定、ちらちらと周囲から注目されている。
おいおい、そんなに見るな!
瑞樹は俺の瑞樹だと叫びたくなるぜ。
「あ、宗吾さん、すみません。遅くなりました」
「おぅ、大丈夫だったのか」
「あ、はい……少しロッカーが混んでいたので」
「そうか、じゃあ帰るか」
「……はい」
ん……どうした?
少し元気がないような気がするぞ。
「どうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。無事にやり遂げた達成感でしょうか……なんだか少し疲れが。でも大丈夫です。ほら、この通り」
瑞樹は、ふっと儚げに微笑んだ。
んん? 本当にそれだけか。
斉藤からは特にワークショップは問題もなく大盛況だったと報告を受けているが、瑞樹の足取りが少し鈍いのが気になるぞ。
君はひた隠しにしているが、俺には分かる。
君を愛しているから、分かるんだ。
電車の中でも、瑞樹の口数は少なかった。
窓硝子の映る君は、自分の感情の置き場が見つからないような不安げな顔色だ。
「大変だ。もう、こんな時間ですよ。芽生くんが待っています。急がないと」
あぁ、もう見てらんない。
元気なふりをするな。
「ちょっと待っていてくれ」
俺は最寄り駅の改札を出た所で、瑞樹に聞こえない場所に移動し、母さんに電話をした。
「母さん、ちょっと遅れるよ。30分ほど……いいか」
「……もしかして瑞樹に何かあったの?」
「察しがいいな」
「あなたの声で分かるわ」
「流石だな。少し様子が変だから、一旦家で話をしてからそっちに行くよ」
「分かったわ。あ……宗吾、きつく問い詰めちゃだめよ。最初から自分の考えを押し通すのも駄目よ。寄り添ってあげて」
「あぁ」
母さんの冷静なアドバイスに感謝だ。
俺はつい、突っ走ってしまうからな。
「瑞樹、行くぞ!」
「えっ? 宗吾さん、そっちは逆方向ですよ」
「一旦、家に戻ってからでもいいか」
「でも芽生くんが待っているのに」
「大丈夫だ。ちゃんと伝えたから」
瑞樹と家に戻ってきた。
早く抱きしめたかったか、外では駄目だ。
俺たちの家で、じっくり聞いてやりたかった。
君が心を解き放てる場所は、ここだろう?
ここが君の家だ。
「宗吾さん……なんで……」
「瑞樹、話せそうか。俺には」
「あ……」
瑞樹が俯いてしまう。
じっと待った。
暫くすると、ぽたりと水滴が足元に落ちた。
「瑞樹、大丈夫だ、大丈夫……」
俺は瑞樹をガバッと抱きしめて、何度も薄い背中を撫でてやった。
「うっ……すみません。泣いたりして」
「この涙の意味を話してくれるか」
「……コンテスト……駄目でした」
やっぱり……そこか。
「落選でした……すみません。長崎に連れて行くなんて豪語して期待させてしまって……」
「……そんなこと……」
「僕……初めてだったんです。自分から欲を出したの……でも……やっぱり僕なんかが欲張ってはいけないんですね」
「おいおい、ストップだ! それは駄目だ。欲張るだって? 君は何も欲張ってないぞ。果敢にトライしただけじゃないか」
瑞樹の顎を掴んで、上を向かせる。
目尻には涙が浮かんでいた。
「瑞樹、頑張ったな」
「宗吾さん……宗吾さん……僕……招待したかったんです。僕の力で……二人を長崎旅行に連れていきたかった……芽生くんの誕生日プレゼントにしたかった……」
あぁ、なんて純粋なんだ。君は――
「瑞樹、今の気持ちを言えよ。恥ずかしいことじゃない。当然の感情だ。なっ、聞かせてくれ。俺、君をもっともっと好きになるから」
瑞樹のくちびるにキスをして、言葉を促してやる。
ギュッと抱きしめて、心をこめて抱きしめて――
「く……やしいです」
瑞樹に芽生えた悔しいという感情は、ある意味、生きていく糧になる言葉だ。
「そうだよな、悔しいよな。気持ち、すごく分かる。で、どうしたい?」
「……来年も挑戦したいです。もっとしっかり準備をして向き合いたいです」
「あぁ、チャンスは一度きりじゃない、楽しみが延期になっただけだ」
「宗吾さんと話すと、悩みが軽くなります」
瑞樹は涙を拭って、可愛く微笑んでくれた。
「俺はそのためにいるんだよ」
チュッと唇を奪って、愛情を注ぎ込んでやった。
「瑞樹、瑞樹、君が生き生きして……眩しいよ」
「そうでしょうか」
「夢に貪欲になるのは悪い事じゃない。それに俺たちの夢はひとつじゃないぞ。旅行にも行きたいし、家を建てる準備もしたいし、一日中、この家でのんびり過ごすのも悪くない、またピクニックにも行こう!」
「あ……はい! そうでした。やれることが他にもあるのに、僕は一つのことに囚われていました」
瑞樹からのキス。
「宗吾さん、あと少し……元気を分けて下さい。笑顔で芽生くんの所に戻りたいんです」
「おぅ!」
今回も老若男女、様々な性別と年代のお客様だった。
「ようこそ! 白薔薇のワークショップにご参加ありがとうございます」
良かった。だいぶ声が通るようになった。今まで講師をした経験がなかったので、初回は緊張して声が震えて通らなくて大変だった。でも日に日に慣れてきた。
お母さんに見てもらうのが、今日で良かった。
ぐるりと見渡せば、皆、ワクワクと好奇心に満ちた顔をしている。
「講師の加々美歌壇から参りました葉山瑞樹です。よろしくお願いします」
僕は心をこめて深く頭を下げた。
人は十人十色。
皆、違う心の色を持っている。
考え・好み・性質は全く違うから、相手に寄り添う心がなければ、すぐに関係がギクシャクしてしまうだろう。
僕はせっかく出会ったご縁を大切にしたいんだ。
僕たちは、この世を生きている。
生きてるから出来ることなんだ。
「先生、見本はどこですか」
「今回は見本はないんです。どうかあまり難しく考えないで下さい。目の前の花を見つめ、心の赴くままにあなただけの世界を作って下さい。それが正解ですよ」
「わぁ素敵ですね。ワークショップって先生のお手本の真似をするだけなのかと思っていました」
「同じ白い薔薇でも、全く同じ薔薇はないので、見本は作れないんですよ」
「ふふ、確かにそうですよね。こんなに薔薇をじっくり見るの生まれて初めてだわ」
何か一つでも気付くことがあるといい。それが思い出となる。
一時間に渡るワークショップも無事に終了し、皆さん、自分が作ったブーケを大切そうに抱えて帰っていった。
思い思いの場所に――
「葉山さん、お疲れ様でした。これで全12回のワークショップ全てが終了しましたね」
「そうだね。斉藤さんもお疲れ様」
「葉山さんと仕事が出来て良かったです」
握手を求められて、照れ臭かった。
「突っ走らないで相手の気持ちを汲む。葉山さんのワークショップを通じて学べました」
「僕も常日頃から気をつけていることだよ、難しいけどね」
「実は葉山さんって……うちの会社にはいないタイプだったので、最初は戸惑いました。でも今は知り合えて良かったと思います」
「ありがとう。そんな風に言ってもらえて嬉しいよ」
いよいよイベント自体も終了だ。
後片付けは専門の撤収スタッフがやってくれるそうなので、僕が関わるのはここまでだ。
「みーくん、もう自由になったのか」
「はい! あの、今日は芽生くんの誕生日なので、お父さんもお母さんも宗吾さんのご実家に来てくれますか」
「え? 俺たちまで、いいのか」
「もちろんです。宗吾さんのお母さんから直々のお誘いです」
「ありがとう! じゃあ、汗だくなので着替えてから行くよ。しかしこのお屋敷には随分ご厄介になったな~ 居心地が良くて最高だった。庭師のテツさんと気が合って楽しかったよ」
「お父さんがのびのび過ごせてよかった」
「それにしても、俺がまた大工をしたくなるなんて、思わぬ副産物だったよ」
「確かに! じゃあ僕も着替えてきます」
宗吾さんと駅で待ち合わせしているので、早く向かおう!
さぁ、いよいよ芽生くんの9歳の誕生日のお祝いが出来る。
お母さんに誕生日会もプレゼントも任せきりだったが、とにかく早く駆けつけたい。
君が僕を待っている。
それが嬉しい。
****
「そろそろか」
俺は人が溢れる駅の改札口で、瑞樹がやってくるのを今か今かと待っていた。
律儀な瑞樹はいつも約束の時間より数分早く到着するので、俺の方がギリギリになることが多い。
ところが今日はなかなかやってこない。
もう一度辺りを見渡すと、ようやく視界の端に瑞樹の姿を捉えた。
スーツに着替えた君はストイックで可憐なルックスから、案の定、ちらちらと周囲から注目されている。
おいおい、そんなに見るな!
瑞樹は俺の瑞樹だと叫びたくなるぜ。
「あ、宗吾さん、すみません。遅くなりました」
「おぅ、大丈夫だったのか」
「あ、はい……少しロッカーが混んでいたので」
「そうか、じゃあ帰るか」
「……はい」
ん……どうした?
少し元気がないような気がするぞ。
「どうかしたのか?」
「いえ、何でもありません。無事にやり遂げた達成感でしょうか……なんだか少し疲れが。でも大丈夫です。ほら、この通り」
瑞樹は、ふっと儚げに微笑んだ。
んん? 本当にそれだけか。
斉藤からは特にワークショップは問題もなく大盛況だったと報告を受けているが、瑞樹の足取りが少し鈍いのが気になるぞ。
君はひた隠しにしているが、俺には分かる。
君を愛しているから、分かるんだ。
電車の中でも、瑞樹の口数は少なかった。
窓硝子の映る君は、自分の感情の置き場が見つからないような不安げな顔色だ。
「大変だ。もう、こんな時間ですよ。芽生くんが待っています。急がないと」
あぁ、もう見てらんない。
元気なふりをするな。
「ちょっと待っていてくれ」
俺は最寄り駅の改札を出た所で、瑞樹に聞こえない場所に移動し、母さんに電話をした。
「母さん、ちょっと遅れるよ。30分ほど……いいか」
「……もしかして瑞樹に何かあったの?」
「察しがいいな」
「あなたの声で分かるわ」
「流石だな。少し様子が変だから、一旦家で話をしてからそっちに行くよ」
「分かったわ。あ……宗吾、きつく問い詰めちゃだめよ。最初から自分の考えを押し通すのも駄目よ。寄り添ってあげて」
「あぁ」
母さんの冷静なアドバイスに感謝だ。
俺はつい、突っ走ってしまうからな。
「瑞樹、行くぞ!」
「えっ? 宗吾さん、そっちは逆方向ですよ」
「一旦、家に戻ってからでもいいか」
「でも芽生くんが待っているのに」
「大丈夫だ。ちゃんと伝えたから」
瑞樹と家に戻ってきた。
早く抱きしめたかったか、外では駄目だ。
俺たちの家で、じっくり聞いてやりたかった。
君が心を解き放てる場所は、ここだろう?
ここが君の家だ。
「宗吾さん……なんで……」
「瑞樹、話せそうか。俺には」
「あ……」
瑞樹が俯いてしまう。
じっと待った。
暫くすると、ぽたりと水滴が足元に落ちた。
「瑞樹、大丈夫だ、大丈夫……」
俺は瑞樹をガバッと抱きしめて、何度も薄い背中を撫でてやった。
「うっ……すみません。泣いたりして」
「この涙の意味を話してくれるか」
「……コンテスト……駄目でした」
やっぱり……そこか。
「落選でした……すみません。長崎に連れて行くなんて豪語して期待させてしまって……」
「……そんなこと……」
「僕……初めてだったんです。自分から欲を出したの……でも……やっぱり僕なんかが欲張ってはいけないんですね」
「おいおい、ストップだ! それは駄目だ。欲張るだって? 君は何も欲張ってないぞ。果敢にトライしただけじゃないか」
瑞樹の顎を掴んで、上を向かせる。
目尻には涙が浮かんでいた。
「瑞樹、頑張ったな」
「宗吾さん……宗吾さん……僕……招待したかったんです。僕の力で……二人を長崎旅行に連れていきたかった……芽生くんの誕生日プレゼントにしたかった……」
あぁ、なんて純粋なんだ。君は――
「瑞樹、今の気持ちを言えよ。恥ずかしいことじゃない。当然の感情だ。なっ、聞かせてくれ。俺、君をもっともっと好きになるから」
瑞樹のくちびるにキスをして、言葉を促してやる。
ギュッと抱きしめて、心をこめて抱きしめて――
「く……やしいです」
瑞樹に芽生えた悔しいという感情は、ある意味、生きていく糧になる言葉だ。
「そうだよな、悔しいよな。気持ち、すごく分かる。で、どうしたい?」
「……来年も挑戦したいです。もっとしっかり準備をして向き合いたいです」
「あぁ、チャンスは一度きりじゃない、楽しみが延期になっただけだ」
「宗吾さんと話すと、悩みが軽くなります」
瑞樹は涙を拭って、可愛く微笑んでくれた。
「俺はそのためにいるんだよ」
チュッと唇を奪って、愛情を注ぎ込んでやった。
「瑞樹、瑞樹、君が生き生きして……眩しいよ」
「そうでしょうか」
「夢に貪欲になるのは悪い事じゃない。それに俺たちの夢はひとつじゃないぞ。旅行にも行きたいし、家を建てる準備もしたいし、一日中、この家でのんびり過ごすのも悪くない、またピクニックにも行こう!」
「あ……はい! そうでした。やれることが他にもあるのに、僕は一つのことに囚われていました」
瑞樹からのキス。
「宗吾さん、あと少し……元気を分けて下さい。笑顔で芽生くんの所に戻りたいんです」
「おぅ!」
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