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小学生編
新緑の輝き 18
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窓の外がどんどん暗くなっていくのを見て、ボクは色えんぴつをケースにしまったよ。
そろそろだね。
今日のお絵かきは、ここまでにしようっと!
時計を見ると、もう6時30分をすぎていた。
いつもなら、お兄ちゃんが迎えに来てくれる時間をすぎていたよ。
「……お兄ちゃん、今日は忙しいのかな? おそくなるのかな?」
散らかったおもちゃを片づけていると、放課後スクールの教室にバタバタとだれかがやってきたよ。
息をきらせてハァハァと。
「あ、あの、私は滝沢憲吾です! ええっと、けっして怪しいものじゃなりません。芽生の伯父です!」
「くすっ、はい、存じております。ちゃんと登録されていますから」
「え? 私が登録されているのですか。そうか、そうだったのか、宗吾の奴……」
びっくりした! けんごおじさんだ。
でも、どうして急に?
「お、おじさん、パパとお兄ちゃんどうかしたの? まさか何かあったの?」
不安になって聞いちゃった。
「ん? あぁ、そうか、驚かせて悪かったな。実はな……」
そうしたら、逆にワクワク、ドキドキなことを教えてくれたよ!
パパとお兄ちゃんが同じ場所でお仕事をすることになったんだって。
きっと今ごろニコニコだろうな。
パパとお兄ちゃんはアチチだから、いっしょがうれしいよね!
「そういう理由で、今日は仕事が長引いているから、おじさんの家においで! みんな芽生に会いたくてウズウズしていたんだ」
「本当に? ボクもみんなに会いたかったよー」
「そう言ってくれると嬉しいよ。彩芽も喜ぶぞ」
おじさんの前でランドセルを背負って、ぺこりとおじぎをしたよ。
「おじさん、あのね、むかえにきてくれてありがとうございます!」
「芽生……いやぁ、感動したぞ。芽生はいい子だな。素直に育っているんだな。きっと瑞樹のおかげだ。やはり私が見込んだだけあるな! ははっ」
あれ? おじさんって笑ったお顔、パパとにているんだね。
「うんうん、お兄ちゃんはすごいよ。やさしいし、カッコいいし、キレイだよ」
「まさにその通りだ」
えへへ、ボクね、お兄ちゃんのことほめられるの大好き。
「しかし芽生の通学路は、夜になると結構暗いんだな。もっと白線の内側を歩きなさい」
「うん!」
「うーん、ガードレールがない道を、車がスピードを上げてどうも心配だ」
「おじさん、じゃあ手をつないで」
「え? いいのか」
「うん!」
帰り道、おじさんに手をつないでもらったよ。
おじさんの手もあったかいね。
「あのね、今日は休み時間にサッカーをしたよ! ボクね、ゴールを2回もできたんだ」
「すごいじゃないか! おじさんは運動神経はさっぱりだから、うらやましいよ。もしも男の子が生まれたら、芽生に遊んでもらおう」
「おじさん、今度は男の子のパパになるの?」
「いや、そうなったら楽しいだろうな」
「きっとなるよ! ボク、いとこ、もっとほしいもん」
「そうか、そうか……そうなるといいな」
お家に着くと、白いかっぽうぎ姿のおばあちゃんが、真っ先にボクを抱きしめてくれたよ。
あー おばあちゃんのにおいだ。ほっとする。
「待っていたわよ。おばあちゃんのメーイ!」
「おばあちゃんってば、ボク、もう3年生になったんだよ。赤ちゃんじゃないよ?」
「あらやだ。でも、おばあちゃんの可愛いお孫ちゃんでしょ?」
「うん、芽生も、おばあちゃんだいすき!」
あれれ? 小さな頃みたいに自分のこと芽生って言っちゃった。
今日のボクはいつもより小さい子供だよ。
なんでだろう?
「芽生、その調子よ。子供は子供らしくが一番よ。それが特権なの。さぁ、お腹が空いたでしょう?」
「うん、ペコペコでグーグー! アッ、もしかしたらお兄ちゃんもグーグーしてるかも。だいじょうぶかな?」
「そうね、急に宗吾の会社に呼ばれて一緒に働くことになったらしいの。瑞樹は頑張り屋さんだから、今頃ヘトヘトでしょうね」
「そうなんだね。お兄ちゃんもパパとご飯たべてきたらいいのに」
いつもお仕事の後、小学校までむかえに来てくれて、家につくとお洗濯をいれて、ご飯を作ってくれて、大いそがしだから少しゆっくりしてほしいな。
「そうね。じゃあ芽生はここでお夕飯を食べていく?」
「いいの? そうしたいな。おばあちゃん家久しぶり。あーちゃんは?」
「今、来るわよ」
廊下から、かわいい足音がしたよ。
けんごおじさんに手を引かれた、あーちゃんだ!
「めーめ!」
「あーちゃん」
小さなあーちゃんはカールした髪に、かわいいピンクのリボンをつけていたよ。
「かわいいね」
「えへへ」
あーちゃんはうれしそうに、ほっぺたを赤くしてニコニコだよ。
妹ってこんな感じなのかな?
早くいっくんにも会いたいよ。
いっしょにサッカーしたいな!
夜ご飯はおばあちゃんが作ってくれたよ。お魚の煮たのや、かぼちゃの煮たのとか、普段お家ではあまり食べないものばかりで、めずらしくておいしかったよ。
「あれ? そういえば、今日はおばさんは?」
「……実はね、美智さん、お腹に赤ちゃんを授かったばかりなの。だから今日はちょっと休憩しているの」
「ええ! そうだったの?」
だから、けんごおじさん、ずっとごきげんなんだね。
「芽生、今日分かったばかりだから、これから宗吾たちに知らせようと思っていたのさ」
「わぁ、たのしみ」
さっきおしゃべりしたことが本当になるんだね!
そう思うとワクワクするよ。
夕食のあと、けんごおじさんがゲームボードを持ってきてくれて、いっしょに遊んだよ。
「これ知ってる! 病院でしたよ」
「そうだったな。どうだ芽生~ サッカーもいいが野球もいいだろう?」
「うん、すごくおもしろい」
「これでよく宗吾と遊んだんだ。私は運動神経は駄目だったが、ボードゲームの頭脳プレーは得意だったのさ」
「どっちもすごいよ!」
「やっぱり芽生はいい子だな。どうだ? 今日は泊まって行かないか」
「いいの? いいのかな?」
「芽生がよければ、あーちゃんとおじさんと一緒に寝ないか」
「楽しそう!」
おばあちゃんからお電話してもらって、ボクは昔みたいにおばあちゃんのお家にお泊りすることになったよ。
パパと二人きりの時はよくあずけられたよね。
あのね、今だから言うと……
あの時はパパにはわるいけど、ちょっとほっとしたんだ。
パパはママに頼りきりで全然なにもできなくて、ボクのお世話がすごく大変でヘトヘトだったから、ボクがいないと少しきゅうけいできるかなって思ったんだ。
でもね、今日は違うよ。
今日はね……えへへ、ボクが思ってることはナイショだよ!
お風呂からあがって麦茶を飲んでいると、あーちゃんがヨチヨチやってきたよ。
「めーめ、これぇ」
「絵本だね」
「めーめ、めーめ」
「うん! おふとんで読んであげるよ。おいで、あーちゃん」
おとぎ話の世界は『ふたりはいつまでもいつまでもしあわせにくらしました』だったよね。
ボクのパパとお兄ちゃんも、そうなるんだよ。
これはボクだけがしっているヒ・ミ・ツ!
そろそろだね。
今日のお絵かきは、ここまでにしようっと!
時計を見ると、もう6時30分をすぎていた。
いつもなら、お兄ちゃんが迎えに来てくれる時間をすぎていたよ。
「……お兄ちゃん、今日は忙しいのかな? おそくなるのかな?」
散らかったおもちゃを片づけていると、放課後スクールの教室にバタバタとだれかがやってきたよ。
息をきらせてハァハァと。
「あ、あの、私は滝沢憲吾です! ええっと、けっして怪しいものじゃなりません。芽生の伯父です!」
「くすっ、はい、存じております。ちゃんと登録されていますから」
「え? 私が登録されているのですか。そうか、そうだったのか、宗吾の奴……」
びっくりした! けんごおじさんだ。
でも、どうして急に?
「お、おじさん、パパとお兄ちゃんどうかしたの? まさか何かあったの?」
不安になって聞いちゃった。
「ん? あぁ、そうか、驚かせて悪かったな。実はな……」
そうしたら、逆にワクワク、ドキドキなことを教えてくれたよ!
パパとお兄ちゃんが同じ場所でお仕事をすることになったんだって。
きっと今ごろニコニコだろうな。
パパとお兄ちゃんはアチチだから、いっしょがうれしいよね!
「そういう理由で、今日は仕事が長引いているから、おじさんの家においで! みんな芽生に会いたくてウズウズしていたんだ」
「本当に? ボクもみんなに会いたかったよー」
「そう言ってくれると嬉しいよ。彩芽も喜ぶぞ」
おじさんの前でランドセルを背負って、ぺこりとおじぎをしたよ。
「おじさん、あのね、むかえにきてくれてありがとうございます!」
「芽生……いやぁ、感動したぞ。芽生はいい子だな。素直に育っているんだな。きっと瑞樹のおかげだ。やはり私が見込んだだけあるな! ははっ」
あれ? おじさんって笑ったお顔、パパとにているんだね。
「うんうん、お兄ちゃんはすごいよ。やさしいし、カッコいいし、キレイだよ」
「まさにその通りだ」
えへへ、ボクね、お兄ちゃんのことほめられるの大好き。
「しかし芽生の通学路は、夜になると結構暗いんだな。もっと白線の内側を歩きなさい」
「うん!」
「うーん、ガードレールがない道を、車がスピードを上げてどうも心配だ」
「おじさん、じゃあ手をつないで」
「え? いいのか」
「うん!」
帰り道、おじさんに手をつないでもらったよ。
おじさんの手もあったかいね。
「あのね、今日は休み時間にサッカーをしたよ! ボクね、ゴールを2回もできたんだ」
「すごいじゃないか! おじさんは運動神経はさっぱりだから、うらやましいよ。もしも男の子が生まれたら、芽生に遊んでもらおう」
「おじさん、今度は男の子のパパになるの?」
「いや、そうなったら楽しいだろうな」
「きっとなるよ! ボク、いとこ、もっとほしいもん」
「そうか、そうか……そうなるといいな」
お家に着くと、白いかっぽうぎ姿のおばあちゃんが、真っ先にボクを抱きしめてくれたよ。
あー おばあちゃんのにおいだ。ほっとする。
「待っていたわよ。おばあちゃんのメーイ!」
「おばあちゃんってば、ボク、もう3年生になったんだよ。赤ちゃんじゃないよ?」
「あらやだ。でも、おばあちゃんの可愛いお孫ちゃんでしょ?」
「うん、芽生も、おばあちゃんだいすき!」
あれれ? 小さな頃みたいに自分のこと芽生って言っちゃった。
今日のボクはいつもより小さい子供だよ。
なんでだろう?
「芽生、その調子よ。子供は子供らしくが一番よ。それが特権なの。さぁ、お腹が空いたでしょう?」
「うん、ペコペコでグーグー! アッ、もしかしたらお兄ちゃんもグーグーしてるかも。だいじょうぶかな?」
「そうね、急に宗吾の会社に呼ばれて一緒に働くことになったらしいの。瑞樹は頑張り屋さんだから、今頃ヘトヘトでしょうね」
「そうなんだね。お兄ちゃんもパパとご飯たべてきたらいいのに」
いつもお仕事の後、小学校までむかえに来てくれて、家につくとお洗濯をいれて、ご飯を作ってくれて、大いそがしだから少しゆっくりしてほしいな。
「そうね。じゃあ芽生はここでお夕飯を食べていく?」
「いいの? そうしたいな。おばあちゃん家久しぶり。あーちゃんは?」
「今、来るわよ」
廊下から、かわいい足音がしたよ。
けんごおじさんに手を引かれた、あーちゃんだ!
「めーめ!」
「あーちゃん」
小さなあーちゃんはカールした髪に、かわいいピンクのリボンをつけていたよ。
「かわいいね」
「えへへ」
あーちゃんはうれしそうに、ほっぺたを赤くしてニコニコだよ。
妹ってこんな感じなのかな?
早くいっくんにも会いたいよ。
いっしょにサッカーしたいな!
夜ご飯はおばあちゃんが作ってくれたよ。お魚の煮たのや、かぼちゃの煮たのとか、普段お家ではあまり食べないものばかりで、めずらしくておいしかったよ。
「あれ? そういえば、今日はおばさんは?」
「……実はね、美智さん、お腹に赤ちゃんを授かったばかりなの。だから今日はちょっと休憩しているの」
「ええ! そうだったの?」
だから、けんごおじさん、ずっとごきげんなんだね。
「芽生、今日分かったばかりだから、これから宗吾たちに知らせようと思っていたのさ」
「わぁ、たのしみ」
さっきおしゃべりしたことが本当になるんだね!
そう思うとワクワクするよ。
夕食のあと、けんごおじさんがゲームボードを持ってきてくれて、いっしょに遊んだよ。
「これ知ってる! 病院でしたよ」
「そうだったな。どうだ芽生~ サッカーもいいが野球もいいだろう?」
「うん、すごくおもしろい」
「これでよく宗吾と遊んだんだ。私は運動神経は駄目だったが、ボードゲームの頭脳プレーは得意だったのさ」
「どっちもすごいよ!」
「やっぱり芽生はいい子だな。どうだ? 今日は泊まって行かないか」
「いいの? いいのかな?」
「芽生がよければ、あーちゃんとおじさんと一緒に寝ないか」
「楽しそう!」
おばあちゃんからお電話してもらって、ボクは昔みたいにおばあちゃんのお家にお泊りすることになったよ。
パパと二人きりの時はよくあずけられたよね。
あのね、今だから言うと……
あの時はパパにはわるいけど、ちょっとほっとしたんだ。
パパはママに頼りきりで全然なにもできなくて、ボクのお世話がすごく大変でヘトヘトだったから、ボクがいないと少しきゅうけいできるかなって思ったんだ。
でもね、今日は違うよ。
今日はね……えへへ、ボクが思ってることはナイショだよ!
お風呂からあがって麦茶を飲んでいると、あーちゃんがヨチヨチやってきたよ。
「めーめ、これぇ」
「絵本だね」
「めーめ、めーめ」
「うん! おふとんで読んであげるよ。おいで、あーちゃん」
おとぎ話の世界は『ふたりはいつまでもいつまでもしあわせにくらしました』だったよね。
ボクのパパとお兄ちゃんも、そうなるんだよ。
これはボクだけがしっているヒ・ミ・ツ!
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