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成就編
白銀の世界に羽ばたこう 22
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「パパー、じょうずになった?」
「おう! 滑るから見てくれ」
潤に手を引かれた芽生くんがやってきたので、宗吾さんがマスターしたばかりのボーゲンを披露した。転びまくったおかげか、すっかり上達していた。
うん! 腰も引けていないし、何より怖がらず前を見ているので、良い姿勢だ!
「へぇ、兄さんの指導が上手かったようで、なかなか様になっているな」
「パパ。すごい! 板にのってすべってる!」
最後の止まるところが大変そうだったが、なんとか踏ん張った。
(カッコイイです、宗吾さん。さっきまで全く滑れなかったのに……僕はやっぱり何度でも恋をします)
心の中で、そっと告白した。
「いいなぁ……ボク、スキーも、やってみたいな。お兄ちゃん……ねぇねぇ、ボクにはむずかしいのかなぁ」
芽生くんが小首を傾げて聞いてくる。そうか……僕が芽生くん位の時はもうスキー板を履いて滑っていたから、今日は良い機会かも。ちらっと潤を見ると、僕の気持ちを汲んだようで、力強く頷いてくれた。
「やっぱ、そうくると思ったぜ! オレに任せろ。実はスキー板も靴も先輩のお子さんのを借りてある。芽生がやりたいと言い出すか分からなかったから車に置いて来たんだ。すぐに取ってくるよ」
「あ、まって。ジュンくん」
「どうした? やっぱり怖いのか。やめとくか」
芽生くんが俯いて、もじもじしている。だから僕が背中を撫でて言葉を促してあげる。言いたいことは、ちゃんと言って欲しいから。
「どうしたの?」
「ううん、そうじゃなくて……。おなか……すいちゃったぁ」
芽生くんが恥ずかしそうにお腹を手でさすった。あ、そうか。宗吾さんに教えるのに夢中だったので忘れていたが、もうお昼過ぎだ。あれから2時間も集中していたのか。
「そうか昼飯抜きだったな!」
「くすっ本当だね」
「よーし、じゃあ皆でレストハウスに行こう」
「わぁ~!」
「よかった。俺も流石に休憩したかった」
転びまくってヨロヨロの宗吾さんが、腰に手をあてて笑っていた。
レストハウスでは、好きなものを食べた。宗吾さんは潤の勧めで『山賊タルタル丼』というものを選んだ。下味をつけた鶏もも一枚肉を揚げた郷土料理で、タルタルソースがたっぷりかかっていて美味しそうだ。
「ボク、ラーメンがいいなぁ」
「そうだね」
僕と芽生くんは身体が冷えたので、熱々のラーメンにした。
僕が子供用の器に、芽生くんの分を取り分けてあげて、少しふぅふぅと冷ましてあげる。器を渡すと、芽生くんはパクパク食べて、すぐに「おかわり~」の繰り返しだ。午前中は、雪だるま作りにソリと大忙しだったからだね。午後も遊ぶために、沢山食べて欲しいな。
「瑞樹もちゃんと食べろよ。次は俺がよそうから」
「はい」
宗吾さんも積極的に芽生くんのお世話に関わってくれるので、僕も熱々のラーメンを食べられた。スキー場で食べるラーメンの塩っ気は、とても美味しかった。
気が付くと、潤が携帯で誰かと話していた。
「分かりました。俺たちもちょうどレストハウスで休憩中です。ぜひ挨拶を」
挨拶って……誰か知り合いがいるのかな?
「兄さん、ちょうどオレが正月に泊めてもらった北野さんが来ているんだ。兄さんを紹介しても?」
「もちろんだよ」
「実はこのスキー場も、今日泊まる場所も、全部北野さんがアドバイスしてくれたんだ」
「そうだったのか。車から降りたらすぐに芽生くんが遊べるキッズ公園があって良かったよ。雪質も最高だし、午後は潤とリフトに乗って上に行きたいんだけど、どうかな?」
「い、いいのか。じゃあ北野さんに俺たち向きのコースを聞こう」
潤……すごく嬉しそうだ。
潤から事前に聞いていた北野英司さんは、空間プロデュースの会社の経営者兼デザイナーだ。自らいろいろなイベントを手がける日本でも有数な人材で、僕も名前だけは知っていた。
「こっちです! 北野さん」
「おう! 潤」
「北野さん、白馬にオレの兄を連れて来ましたよ!」
「おぉー君が潤の自慢のお兄さんか」
そんな風に僕のことを? 潤……ありがとう。
「はい、葉山瑞樹と申します」
北野さんは、まっすぐ僕の方へ、迷わずに来てくれた。
「潤が言っていた通りだな。本当に白馬の王子様キャラだ」
「えっ、白馬の王子って……」
潤がそんなロマンチックな言葉を使うなんて、びっくりした。
「北野さーん、それは秘密にしておいて下さいよ。いやぁ、参ったなぁ」
照れくさそうにそっぽを向く潤。僕が白馬の王子様キャラという自覚はないが、函館で暮らしていた頃にはない紹介の仕方で、嬉しくなった。
潤が中学生の頃は、反抗期思春期も伴って、一番荒れていた。でも家の手伝いを一緒にしないといけなくて……店が忙しい時は、日用品を買いに行くおつかいをよく頼まれた。
……
『おーい、潤、誰と歩いてんだ?』
『こいつ? あぁ……居候だよ』
スーパーで、見知らぬ潤の友達に説明される時に『居候』と言われて、あぁそうか、そうだよね。僕の立場は……この家ではやっぱり居候なのだ。そう言われても無理はないと、一人で勝手に納得してしまった。
『なんだよ? 瑞樹、何か文句あるのか』
『いや、その通りだなって』
『なっ……、瑞樹は……ふんっ、いつまでも、そうやってろよ!』
……
馴染めなかったのは僕で、馴染まなかったのも僕だ。
潤に当時嫌われても仕方のないことばかりしていたと、今更ながら思うよ。
「で、こちらは?」
「あ……僕の大切なご家族です」
少しだけずるい言い方だが、僕なりの真実だ。北野さんはさして気にすることもなく、芽生くんに視線を移した。
「そうなんだね。賢そうな子だね。何歳かな?」
「6歳です!」
「じゃあ、うちの息子たちと、夜は一緒に遊べそうだね」
「え?」
どういう意味かな? 潤の説明を待った。
「実はさ、俺たちが今日泊まるログハウスと、北野さんの家は、目と鼻の先なんだ。だから夕食はお世話になろうと思って」
「あぁ大勢はいいぞ。コトコト煮込んだポトフに、かみさんが焼いたピザに、焼き林檎もあるしな」
「わぁぁ! おいしそう」
「じゃあ、潤、夜に待ってるぞ。俺は今から久しぶりに帰国した友人に会うんだ」
「そうなんですね」
「あぁ、家に泊まるから、夜に紹介するよ」
北野さんが去った後、宗吾さんが首を傾げていた。
「どうしました?」
「いや……まさかな」
「お知り合いですか」
「うーん、分からん。取りあえず夜になったら分かるだろう。さぁ時間が勿体ない。芽生にスキーを教えにいくか」
「そうですね」
****
「あのね、ボク……おにいちゃんのすべっているところを見たいな」
潤が持って来てくれたスキーシューズを履かせようとしたら、芽生くんが足をひっこめてしまった。あれ? 昼食後はまずスキーを教えようと思ったのに……どうしたのかな?
「いいの?」
「あのね、朝からずーっとおにいちゃん、みんなの先生をしているから、おやすみタイムだよ」
「そんな……」
幼い芽生くんの、大人びた気遣いにびっくりした。
「ようちえんの先生ね、いつも……いそがしそうなんだ。ひとやすみしてほしくって。おとなの人だって、たのしんでいいんだよね?」
「参ったな、芽生は……確かにそうだ。瑞樹、一度潤と滑って来いよ。君の時間を味わって来い」
そう言いながら、トンっと僕の背中を押してくれた。
宗吾さんも芽生くんも……いつも、こんな風に僕をスッと自由にしてくれる。それがとても嬉しい。1つのところに集まっても、窮屈じゃない。
「ありがとうございます。じゃあ……お言葉に甘えても?」
「あぁもちろんさ。行ってこい! 羽ばたいてこい!」
「分かりました。潤っ……行こう!」
白銀の世界に、羽ばたきに行こう!
僕と――
「おう! 滑るから見てくれ」
潤に手を引かれた芽生くんがやってきたので、宗吾さんがマスターしたばかりのボーゲンを披露した。転びまくったおかげか、すっかり上達していた。
うん! 腰も引けていないし、何より怖がらず前を見ているので、良い姿勢だ!
「へぇ、兄さんの指導が上手かったようで、なかなか様になっているな」
「パパ。すごい! 板にのってすべってる!」
最後の止まるところが大変そうだったが、なんとか踏ん張った。
(カッコイイです、宗吾さん。さっきまで全く滑れなかったのに……僕はやっぱり何度でも恋をします)
心の中で、そっと告白した。
「いいなぁ……ボク、スキーも、やってみたいな。お兄ちゃん……ねぇねぇ、ボクにはむずかしいのかなぁ」
芽生くんが小首を傾げて聞いてくる。そうか……僕が芽生くん位の時はもうスキー板を履いて滑っていたから、今日は良い機会かも。ちらっと潤を見ると、僕の気持ちを汲んだようで、力強く頷いてくれた。
「やっぱ、そうくると思ったぜ! オレに任せろ。実はスキー板も靴も先輩のお子さんのを借りてある。芽生がやりたいと言い出すか分からなかったから車に置いて来たんだ。すぐに取ってくるよ」
「あ、まって。ジュンくん」
「どうした? やっぱり怖いのか。やめとくか」
芽生くんが俯いて、もじもじしている。だから僕が背中を撫でて言葉を促してあげる。言いたいことは、ちゃんと言って欲しいから。
「どうしたの?」
「ううん、そうじゃなくて……。おなか……すいちゃったぁ」
芽生くんが恥ずかしそうにお腹を手でさすった。あ、そうか。宗吾さんに教えるのに夢中だったので忘れていたが、もうお昼過ぎだ。あれから2時間も集中していたのか。
「そうか昼飯抜きだったな!」
「くすっ本当だね」
「よーし、じゃあ皆でレストハウスに行こう」
「わぁ~!」
「よかった。俺も流石に休憩したかった」
転びまくってヨロヨロの宗吾さんが、腰に手をあてて笑っていた。
レストハウスでは、好きなものを食べた。宗吾さんは潤の勧めで『山賊タルタル丼』というものを選んだ。下味をつけた鶏もも一枚肉を揚げた郷土料理で、タルタルソースがたっぷりかかっていて美味しそうだ。
「ボク、ラーメンがいいなぁ」
「そうだね」
僕と芽生くんは身体が冷えたので、熱々のラーメンにした。
僕が子供用の器に、芽生くんの分を取り分けてあげて、少しふぅふぅと冷ましてあげる。器を渡すと、芽生くんはパクパク食べて、すぐに「おかわり~」の繰り返しだ。午前中は、雪だるま作りにソリと大忙しだったからだね。午後も遊ぶために、沢山食べて欲しいな。
「瑞樹もちゃんと食べろよ。次は俺がよそうから」
「はい」
宗吾さんも積極的に芽生くんのお世話に関わってくれるので、僕も熱々のラーメンを食べられた。スキー場で食べるラーメンの塩っ気は、とても美味しかった。
気が付くと、潤が携帯で誰かと話していた。
「分かりました。俺たちもちょうどレストハウスで休憩中です。ぜひ挨拶を」
挨拶って……誰か知り合いがいるのかな?
「兄さん、ちょうどオレが正月に泊めてもらった北野さんが来ているんだ。兄さんを紹介しても?」
「もちろんだよ」
「実はこのスキー場も、今日泊まる場所も、全部北野さんがアドバイスしてくれたんだ」
「そうだったのか。車から降りたらすぐに芽生くんが遊べるキッズ公園があって良かったよ。雪質も最高だし、午後は潤とリフトに乗って上に行きたいんだけど、どうかな?」
「い、いいのか。じゃあ北野さんに俺たち向きのコースを聞こう」
潤……すごく嬉しそうだ。
潤から事前に聞いていた北野英司さんは、空間プロデュースの会社の経営者兼デザイナーだ。自らいろいろなイベントを手がける日本でも有数な人材で、僕も名前だけは知っていた。
「こっちです! 北野さん」
「おう! 潤」
「北野さん、白馬にオレの兄を連れて来ましたよ!」
「おぉー君が潤の自慢のお兄さんか」
そんな風に僕のことを? 潤……ありがとう。
「はい、葉山瑞樹と申します」
北野さんは、まっすぐ僕の方へ、迷わずに来てくれた。
「潤が言っていた通りだな。本当に白馬の王子様キャラだ」
「えっ、白馬の王子って……」
潤がそんなロマンチックな言葉を使うなんて、びっくりした。
「北野さーん、それは秘密にしておいて下さいよ。いやぁ、参ったなぁ」
照れくさそうにそっぽを向く潤。僕が白馬の王子様キャラという自覚はないが、函館で暮らしていた頃にはない紹介の仕方で、嬉しくなった。
潤が中学生の頃は、反抗期思春期も伴って、一番荒れていた。でも家の手伝いを一緒にしないといけなくて……店が忙しい時は、日用品を買いに行くおつかいをよく頼まれた。
……
『おーい、潤、誰と歩いてんだ?』
『こいつ? あぁ……居候だよ』
スーパーで、見知らぬ潤の友達に説明される時に『居候』と言われて、あぁそうか、そうだよね。僕の立場は……この家ではやっぱり居候なのだ。そう言われても無理はないと、一人で勝手に納得してしまった。
『なんだよ? 瑞樹、何か文句あるのか』
『いや、その通りだなって』
『なっ……、瑞樹は……ふんっ、いつまでも、そうやってろよ!』
……
馴染めなかったのは僕で、馴染まなかったのも僕だ。
潤に当時嫌われても仕方のないことばかりしていたと、今更ながら思うよ。
「で、こちらは?」
「あ……僕の大切なご家族です」
少しだけずるい言い方だが、僕なりの真実だ。北野さんはさして気にすることもなく、芽生くんに視線を移した。
「そうなんだね。賢そうな子だね。何歳かな?」
「6歳です!」
「じゃあ、うちの息子たちと、夜は一緒に遊べそうだね」
「え?」
どういう意味かな? 潤の説明を待った。
「実はさ、俺たちが今日泊まるログハウスと、北野さんの家は、目と鼻の先なんだ。だから夕食はお世話になろうと思って」
「あぁ大勢はいいぞ。コトコト煮込んだポトフに、かみさんが焼いたピザに、焼き林檎もあるしな」
「わぁぁ! おいしそう」
「じゃあ、潤、夜に待ってるぞ。俺は今から久しぶりに帰国した友人に会うんだ」
「そうなんですね」
「あぁ、家に泊まるから、夜に紹介するよ」
北野さんが去った後、宗吾さんが首を傾げていた。
「どうしました?」
「いや……まさかな」
「お知り合いですか」
「うーん、分からん。取りあえず夜になったら分かるだろう。さぁ時間が勿体ない。芽生にスキーを教えにいくか」
「そうですね」
****
「あのね、ボク……おにいちゃんのすべっているところを見たいな」
潤が持って来てくれたスキーシューズを履かせようとしたら、芽生くんが足をひっこめてしまった。あれ? 昼食後はまずスキーを教えようと思ったのに……どうしたのかな?
「いいの?」
「あのね、朝からずーっとおにいちゃん、みんなの先生をしているから、おやすみタイムだよ」
「そんな……」
幼い芽生くんの、大人びた気遣いにびっくりした。
「ようちえんの先生ね、いつも……いそがしそうなんだ。ひとやすみしてほしくって。おとなの人だって、たのしんでいいんだよね?」
「参ったな、芽生は……確かにそうだ。瑞樹、一度潤と滑って来いよ。君の時間を味わって来い」
そう言いながら、トンっと僕の背中を押してくれた。
宗吾さんも芽生くんも……いつも、こんな風に僕をスッと自由にしてくれる。それがとても嬉しい。1つのところに集まっても、窮屈じゃない。
「ありがとうございます。じゃあ……お言葉に甘えても?」
「あぁもちろんさ。行ってこい! 羽ばたいてこい!」
「分かりました。潤っ……行こう!」
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僕と――
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