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成就編
深まる絆 16
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パパとお兄ちゃんは、昨日からずっとごきげんだ。
おばあちゃんもオジサンもオバサンも、みんなごきげんだったなぁ。
みんなのニコニコ顔はウレシイけれども、なにかヒミツがあるみたいだ。
でもボクだけ教えてもらっていない。それって、ちょっと仲間はずれみたいでイヤだな。昨日もみんなでワイワイしていて、ボクだけわからなくて眠くなっちゃった。
ボクにも、大人のお話……はやく教えてくれないかな。
今日もさっきからパパとお兄ちゃんが洗面所で何か話しているのが、気になった。
ねぇそれって……いいお話? それともまさか……悪いお話なの?
ずっとずっと前、やっぱりボクだけ知らないことがあった。
あの日、突然ママがいなくなってしまうの、全然知らなかった。その日までママはボクにやさしかったから、すごくびっくりしたんだよ。
だから、またさみしいお知らせだったら、イヤだなぁ。みんなニコニコしていても、本当はちがうのかも。
そんなことを考えていたら、突然、悲しくなってしまった。
白い画用紙に、ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。
……いやだな。
もしかして……お兄ちゃんがいなくなっちゃうの?
それとも、ボクがここから追い出されちゃうの?
あ……まさか、おばあちゃんの具合がまたわるいの?
「うっ……ぐすっ、うわーん」
イヤなこと、さみしいことばかり思いついて、びっくりするほど大きな声で泣いちゃった。
「芽生くんっ! ど、どうしたの? 」
「芽生、具合でも悪いのか」
ボクの声に驚いたパパとお兄ちゃんがすぐにやってきてくれて、ちょっとホッとした。
「ちがくて、ひっく……ひっく……ボクの大好きな人がいなくなっちゃうのは……イヤだよぉ」
「えっ……どうしてそんな風に思うの? こっちにおいで! 」
お兄ちゃんが、すぐにボクをぎゅうっと抱っこしてくれた。
「だって、みんなコソコソ話ばかりしてるんだもん。いやだよぉ……」
「あっ……」
「芽生ごめんな。内緒にするつもりはなかった。ちゃんとはっきりしたら教えてやろうと思っていて」
「僕が今日すぐに話せば良かったね。本当にごめんね」
あったかい……お兄ちゃんにくっついているとホッとする。
今日もやさしいお花の匂いがする。だから思わず、お兄ちゃんの胸元に顔をスリスリしてしまった。
「芽生くん、不安になったんだね。本当にごめんね」
「お兄ちゃん……もしかして、どっかいっちゃうの? 」
「え? 僕はずっとここにいるよ」
「じゃあ、僕がどこかにいくの? 」
お兄ちゃんは大きく首を振って、いつになく大きな声で教えてくれた。
「何てこと言うんだ! そんなの、僕が嫌だ! 芽生くんがいない生活なんて考えられないよ」
お兄ちゃんは真剣なお顔だった。
「ちがうの……?」
「当り前だよ。ごめんね。はっきりするまで話せなくて、心配かけちゃったね」
「うっ……ちゃんとボクにもおしえて。みんなの仲間にはいりたい。うえっ……ぐすっ」
「うんうん、そうだよね。本当にごめん。芽生くん……」
お兄ちゃんも、ボクにつられて涙声になっていた。するとパパが僕の目を見つめて、ちゃんと話してくれた。
「実はオジサンとオバサンの所に、来年、赤ちゃんがやってくることが分かったんだ。今日お医者様にみてもらって、ハッキリと分かったんだよ」
「赤ちゃん……? わっ……すごい!」
赤ちゃん! 幼稚園で他のお母さんが抱っこしている小さな子どものことだ!
「芽生くんに『イトコ』ができるんだよ」
「ボク、知ってる! コータくんには『イトコ』の女の子がいるんだよ。すごく可愛いよ」
そうだったのか、心配してソンしちゃったなぁ。なーんだ、うれしいニュースだったんだ!
「芽生くんも嬉しい? 僕も宗吾さんも嬉しいよ。でもね僕たちには、もっと楽しみなことがあって」
「ん? それは、なあに?」
「それは今度の日曜日の運動会だよ」
「あ……!」
「芽生くん、お弁当の中身は何がいい? 親子競技は今年はパパとかな? 聞きたいことが沢山あるんだ。僕たちの大切な芽生くんの運動会が、今一番の楽しみだよ」
「そうだぞ。パパも今年は観に行けるからな。ビデオも写真も任せろ! 」
わぁ、なんだかポカポカだ。
だからお兄ちゃんって大好き!!
ボクを、ニコニコにポカポカにしてくれるんだもん!
「パパ、お兄ちゃん、たのしみにしてくれて、ありがとう。ボク、がんばるよ!! 」
おばあちゃんもオジサンもオバサンも、みんなごきげんだったなぁ。
みんなのニコニコ顔はウレシイけれども、なにかヒミツがあるみたいだ。
でもボクだけ教えてもらっていない。それって、ちょっと仲間はずれみたいでイヤだな。昨日もみんなでワイワイしていて、ボクだけわからなくて眠くなっちゃった。
ボクにも、大人のお話……はやく教えてくれないかな。
今日もさっきからパパとお兄ちゃんが洗面所で何か話しているのが、気になった。
ねぇそれって……いいお話? それともまさか……悪いお話なの?
ずっとずっと前、やっぱりボクだけ知らないことがあった。
あの日、突然ママがいなくなってしまうの、全然知らなかった。その日までママはボクにやさしかったから、すごくびっくりしたんだよ。
だから、またさみしいお知らせだったら、イヤだなぁ。みんなニコニコしていても、本当はちがうのかも。
そんなことを考えていたら、突然、悲しくなってしまった。
白い画用紙に、ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。
……いやだな。
もしかして……お兄ちゃんがいなくなっちゃうの?
それとも、ボクがここから追い出されちゃうの?
あ……まさか、おばあちゃんの具合がまたわるいの?
「うっ……ぐすっ、うわーん」
イヤなこと、さみしいことばかり思いついて、びっくりするほど大きな声で泣いちゃった。
「芽生くんっ! ど、どうしたの? 」
「芽生、具合でも悪いのか」
ボクの声に驚いたパパとお兄ちゃんがすぐにやってきてくれて、ちょっとホッとした。
「ちがくて、ひっく……ひっく……ボクの大好きな人がいなくなっちゃうのは……イヤだよぉ」
「えっ……どうしてそんな風に思うの? こっちにおいで! 」
お兄ちゃんが、すぐにボクをぎゅうっと抱っこしてくれた。
「だって、みんなコソコソ話ばかりしてるんだもん。いやだよぉ……」
「あっ……」
「芽生ごめんな。内緒にするつもりはなかった。ちゃんとはっきりしたら教えてやろうと思っていて」
「僕が今日すぐに話せば良かったね。本当にごめんね」
あったかい……お兄ちゃんにくっついているとホッとする。
今日もやさしいお花の匂いがする。だから思わず、お兄ちゃんの胸元に顔をスリスリしてしまった。
「芽生くん、不安になったんだね。本当にごめんね」
「お兄ちゃん……もしかして、どっかいっちゃうの? 」
「え? 僕はずっとここにいるよ」
「じゃあ、僕がどこかにいくの? 」
お兄ちゃんは大きく首を振って、いつになく大きな声で教えてくれた。
「何てこと言うんだ! そんなの、僕が嫌だ! 芽生くんがいない生活なんて考えられないよ」
お兄ちゃんは真剣なお顔だった。
「ちがうの……?」
「当り前だよ。ごめんね。はっきりするまで話せなくて、心配かけちゃったね」
「うっ……ちゃんとボクにもおしえて。みんなの仲間にはいりたい。うえっ……ぐすっ」
「うんうん、そうだよね。本当にごめん。芽生くん……」
お兄ちゃんも、ボクにつられて涙声になっていた。するとパパが僕の目を見つめて、ちゃんと話してくれた。
「実はオジサンとオバサンの所に、来年、赤ちゃんがやってくることが分かったんだ。今日お医者様にみてもらって、ハッキリと分かったんだよ」
「赤ちゃん……? わっ……すごい!」
赤ちゃん! 幼稚園で他のお母さんが抱っこしている小さな子どものことだ!
「芽生くんに『イトコ』ができるんだよ」
「ボク、知ってる! コータくんには『イトコ』の女の子がいるんだよ。すごく可愛いよ」
そうだったのか、心配してソンしちゃったなぁ。なーんだ、うれしいニュースだったんだ!
「芽生くんも嬉しい? 僕も宗吾さんも嬉しいよ。でもね僕たちには、もっと楽しみなことがあって」
「ん? それは、なあに?」
「それは今度の日曜日の運動会だよ」
「あ……!」
「芽生くん、お弁当の中身は何がいい? 親子競技は今年はパパとかな? 聞きたいことが沢山あるんだ。僕たちの大切な芽生くんの運動会が、今一番の楽しみだよ」
「そうだぞ。パパも今年は観に行けるからな。ビデオも写真も任せろ! 」
わぁ、なんだかポカポカだ。
だからお兄ちゃんって大好き!!
ボクを、ニコニコにポカポカにしてくれるんだもん!
「パパ、お兄ちゃん、たのしみにしてくれて、ありがとう。ボク、がんばるよ!! 」
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