147 / 1,727
発展編
帰郷 5
しおりを挟む
「すんません~遅くなって」
「まったく潤はいつもギリギリだな。さぁ行くぞ」
ベイエリアの倉庫街の一角にある函館で一番高級なホテルに、親方と一緒に足を踏み入れた。今日はこのホテル内の会議室で現場の安全についての講習会と優良協力業者への表彰があるそうだ。
「そうだ、今日は煙草吸うなよ」
「えーなんで? 」
「若社長が嫌いだから。それとさっきからその言葉遣いなんとかならないのか。とにかく大人しくしてろよ」
元請けの会社は函館一大きな建設会社だから下手なことは出来ないと、焦る気持ちは分かるが……それとこれとは別だぜ。
「オレ、こういう堅苦しいの慣れないから」
「まぁ俺もだがな」
親方は肩を竦めて笑っていた。親方は仕事では厳しいが、こういうおおらかなところが、兄貴と似ていて付き合いやすい。
受付を済まして会議室内に入ろうとした時、突然後ろから厳しい口調で呼び止められた。
「おいっそこのキミ、ちょっと待て!」
振り返るとビシッとしたスーツ姿のガタイのいい男が立っていた。こんな奴、知り合いにいない。
「あっこれは若社長。お疲れ様です」
「へ? 」
「馬鹿! こちらは元請けの若社長だよ」
「え? 」
「君、ちょっとこっちに来てくれ」
「おいおい……潤、何をしでかした? とっとにかく俺は先に入っているぞ」
「親方~」
一体何だよ。ただでさえホテルとか研修とか堅苦しいことが大嫌いなのに、こんなスカした奴に呼び止められるなんて、どーなってんだ。
****
食後、用意しておいたおもちゃを鞄から取り出し、芽生くんに渡した。
「これ、芽生くんにプレゼントだよ」
「いいの? 」
「うん、七五三のお祝いだよ」
隣にいた宗吾さんが、少し驚いた表情になった。
「瑞樹。それは気を遣わせて悪かったな」
「とんでもないです。僕がしたかったので」
「わーありがとう! おにいちゃんダイスキ! あけてもいい? 」
「もちろんだよ。気に入ってもらえるといいな」
メイくんが満面の笑みで喜んでくれたので、こちらまで嬉しくなるよ。
夢中で包装紙をビリビリ破いちゃって可愛いな。楽しみ過ぎて待ちきれない気持ちっていいな。本当に幼い子供の無邪気な仕草は、大人の心を癒してくれる。
「あっーこれ欲しかったのだ! パパっ見て! ベルトになっていて、ココを押すと変身するんだよ」
「本当だ! 瑞樹、これ高かっただろう? 人気で品薄だったみたいなのに、よく手に入ったな。君の気持ちがとても嬉しいよ。俺はこういう気遣いに疎くてごめんな」
宗吾さんにも喜んでもらえ、更に嬉しくなった。本当に二人と接していると、もう僕も家族の一員になったかのような錯覚に陥ってしまう。
ここを僕の居場所にしたい。
今までに抱いたことがない程、今の僕は貪欲になっていた。
あなたたちと共に幸せになりたい──
そんな望みをもっともっと、抱いてもいいだろうか。
「あっちで遊んでくるね」
「うん、いいよ」
「じゃあ瑞樹はソファに移動しろ。コーヒーを淹れてやるから」
言われた通りソファに移動すると、すぐに宗吾さんが香りのよいコーヒーを持って現れた。
「ちょっと気が早いがクリスマスブレンドだぞ」
「いい香りですね」
そのまま肩が触れる距離にドスンっと座ったので、僕の心臓もまるで連動しているかの如く跳ねてしまった。
わ……距離、近い。でもこういう普段の時間っていいな。やっぱり家族みたいだ。
「何だか瑞樹とこんな風に食後に寛いだりしていると、もう一緒に暮らしている錯覚に陥るよ」
「あ……今、僕も同じことを」
「本当か! なぁ来年には一緒に暮らせているか」
宗吾さんの手がさりげなく返事を促すように意図を持って僕に触れてくる。何だか手が触れるだけでドキッとしてしまうのは意識し過ぎなのか。
「……そうなりたいです」
「うわっ! やばいっ」
宗吾さんが突然パッと手を離して、口元を隠した。
「えっ……あの、僕何か変なことを言いましたか」
「いや、そうじゃない。いつもバス停からこっそり見て憧れていた瑞樹が、こうやって俺の家にいるだけでも凄いことなのに、『そうなりたい』と言ってくれるなんて、これはもう奇跡だよな。本当に嬉しいよ。あー顔がニヤける」
「奇跡って……そんな……宗吾さん……僕の方こそ、本当にここを自分の居場所にしてもいいのですか」
「あぁそうだよ。何度も君に告げた通り、君の過去も現在も未来も受け入れたい」
「過去も……ですか」
「あぁそうだ」
宗吾さんが後ろにいてくれるのなら、僕は函館に戻って母に全てを話せるだろう。それから潤とも本当に久しぶりに顔を合わすことが出来るだろう。
もし宗吾さんのことを受け入れてもらえず、家から勘当されるようなことになっても、今の僕は昔のように行く場所がないひとりぼっちの……孤独な人間ではない。
ここがある。ここに戻ってくればいいのだから。
「宗吾さん、僕は来週函館に帰省しようと思っています。すぐに戻って来ますが、向こうで母に宗吾さんとの状況を話そうと思っています」
「……うーん、でもそれ、大丈夫なのか、無理すんなよ。俺のことは気にしなくていいから」
「いえ……僕がそうしたいので。その……宗吾さんから勇気をもらったので頑張りたいのです」
「あーもうそれ駄目だ。君の言葉は優しすぎるよ。今すぐ抱きしめたくなるよ」
すると芽生くんがトコトコやってきて、「パパーそういう時は迷わずギュっとするのが男だよ」なんて言うから微笑ましくて、笑ってしまった。
「本当だよ。 ブルーレンジャーもいつも助けてあげた子をギュッとするんだよー」
「おお! そうか、じゃあ瑞樹いいか」
「そっ……そんな風に改めて言われるのはちょっと」
宗吾さんが手を広げて近づいてくるので、なんだか照れくさくなって、後ずさりしてしまった。
その晩はやっぱり芽生くんのお布団で一緒に眠ることになったが、なかなか寝付けなかった。
幸せで満ち足りすぎて、興奮していた。
自分の居場所が出来たことへの喜び。幸せになりたいと思う気持ち。
どちらも初めてで……まだ慣れない感情だから。
「まったく潤はいつもギリギリだな。さぁ行くぞ」
ベイエリアの倉庫街の一角にある函館で一番高級なホテルに、親方と一緒に足を踏み入れた。今日はこのホテル内の会議室で現場の安全についての講習会と優良協力業者への表彰があるそうだ。
「そうだ、今日は煙草吸うなよ」
「えーなんで? 」
「若社長が嫌いだから。それとさっきからその言葉遣いなんとかならないのか。とにかく大人しくしてろよ」
元請けの会社は函館一大きな建設会社だから下手なことは出来ないと、焦る気持ちは分かるが……それとこれとは別だぜ。
「オレ、こういう堅苦しいの慣れないから」
「まぁ俺もだがな」
親方は肩を竦めて笑っていた。親方は仕事では厳しいが、こういうおおらかなところが、兄貴と似ていて付き合いやすい。
受付を済まして会議室内に入ろうとした時、突然後ろから厳しい口調で呼び止められた。
「おいっそこのキミ、ちょっと待て!」
振り返るとビシッとしたスーツ姿のガタイのいい男が立っていた。こんな奴、知り合いにいない。
「あっこれは若社長。お疲れ様です」
「へ? 」
「馬鹿! こちらは元請けの若社長だよ」
「え? 」
「君、ちょっとこっちに来てくれ」
「おいおい……潤、何をしでかした? とっとにかく俺は先に入っているぞ」
「親方~」
一体何だよ。ただでさえホテルとか研修とか堅苦しいことが大嫌いなのに、こんなスカした奴に呼び止められるなんて、どーなってんだ。
****
食後、用意しておいたおもちゃを鞄から取り出し、芽生くんに渡した。
「これ、芽生くんにプレゼントだよ」
「いいの? 」
「うん、七五三のお祝いだよ」
隣にいた宗吾さんが、少し驚いた表情になった。
「瑞樹。それは気を遣わせて悪かったな」
「とんでもないです。僕がしたかったので」
「わーありがとう! おにいちゃんダイスキ! あけてもいい? 」
「もちろんだよ。気に入ってもらえるといいな」
メイくんが満面の笑みで喜んでくれたので、こちらまで嬉しくなるよ。
夢中で包装紙をビリビリ破いちゃって可愛いな。楽しみ過ぎて待ちきれない気持ちっていいな。本当に幼い子供の無邪気な仕草は、大人の心を癒してくれる。
「あっーこれ欲しかったのだ! パパっ見て! ベルトになっていて、ココを押すと変身するんだよ」
「本当だ! 瑞樹、これ高かっただろう? 人気で品薄だったみたいなのに、よく手に入ったな。君の気持ちがとても嬉しいよ。俺はこういう気遣いに疎くてごめんな」
宗吾さんにも喜んでもらえ、更に嬉しくなった。本当に二人と接していると、もう僕も家族の一員になったかのような錯覚に陥ってしまう。
ここを僕の居場所にしたい。
今までに抱いたことがない程、今の僕は貪欲になっていた。
あなたたちと共に幸せになりたい──
そんな望みをもっともっと、抱いてもいいだろうか。
「あっちで遊んでくるね」
「うん、いいよ」
「じゃあ瑞樹はソファに移動しろ。コーヒーを淹れてやるから」
言われた通りソファに移動すると、すぐに宗吾さんが香りのよいコーヒーを持って現れた。
「ちょっと気が早いがクリスマスブレンドだぞ」
「いい香りですね」
そのまま肩が触れる距離にドスンっと座ったので、僕の心臓もまるで連動しているかの如く跳ねてしまった。
わ……距離、近い。でもこういう普段の時間っていいな。やっぱり家族みたいだ。
「何だか瑞樹とこんな風に食後に寛いだりしていると、もう一緒に暮らしている錯覚に陥るよ」
「あ……今、僕も同じことを」
「本当か! なぁ来年には一緒に暮らせているか」
宗吾さんの手がさりげなく返事を促すように意図を持って僕に触れてくる。何だか手が触れるだけでドキッとしてしまうのは意識し過ぎなのか。
「……そうなりたいです」
「うわっ! やばいっ」
宗吾さんが突然パッと手を離して、口元を隠した。
「えっ……あの、僕何か変なことを言いましたか」
「いや、そうじゃない。いつもバス停からこっそり見て憧れていた瑞樹が、こうやって俺の家にいるだけでも凄いことなのに、『そうなりたい』と言ってくれるなんて、これはもう奇跡だよな。本当に嬉しいよ。あー顔がニヤける」
「奇跡って……そんな……宗吾さん……僕の方こそ、本当にここを自分の居場所にしてもいいのですか」
「あぁそうだよ。何度も君に告げた通り、君の過去も現在も未来も受け入れたい」
「過去も……ですか」
「あぁそうだ」
宗吾さんが後ろにいてくれるのなら、僕は函館に戻って母に全てを話せるだろう。それから潤とも本当に久しぶりに顔を合わすことが出来るだろう。
もし宗吾さんのことを受け入れてもらえず、家から勘当されるようなことになっても、今の僕は昔のように行く場所がないひとりぼっちの……孤独な人間ではない。
ここがある。ここに戻ってくればいいのだから。
「宗吾さん、僕は来週函館に帰省しようと思っています。すぐに戻って来ますが、向こうで母に宗吾さんとの状況を話そうと思っています」
「……うーん、でもそれ、大丈夫なのか、無理すんなよ。俺のことは気にしなくていいから」
「いえ……僕がそうしたいので。その……宗吾さんから勇気をもらったので頑張りたいのです」
「あーもうそれ駄目だ。君の言葉は優しすぎるよ。今すぐ抱きしめたくなるよ」
すると芽生くんがトコトコやってきて、「パパーそういう時は迷わずギュっとするのが男だよ」なんて言うから微笑ましくて、笑ってしまった。
「本当だよ。 ブルーレンジャーもいつも助けてあげた子をギュッとするんだよー」
「おお! そうか、じゃあ瑞樹いいか」
「そっ……そんな風に改めて言われるのはちょっと」
宗吾さんが手を広げて近づいてくるので、なんだか照れくさくなって、後ずさりしてしまった。
その晩はやっぱり芽生くんのお布団で一緒に眠ることになったが、なかなか寝付けなかった。
幸せで満ち足りすぎて、興奮していた。
自分の居場所が出来たことへの喜び。幸せになりたいと思う気持ち。
どちらも初めてで……まだ慣れない感情だから。
16
お気に入りに追加
829
あなたにおすすめの小説
私は心を捨てました 〜「お前なんかどうでもいい」と言ったあなた、どうして今更なのですか?〜
月橋りら
恋愛
私に婚約の打診をしてきたのは、ルイス・フォン・ラグリー侯爵子息。
だが、彼には幼い頃から大切に想う少女がいたーー。
「お前なんかどうでもいい」 そうあなたが言ったから。
私は心を捨てたのに。
あなたはいきなり許しを乞うてきた。
そして優しくしてくるようになった。
ーー私が想いを捨てた後で。
どうして今更なのですかーー。
*この小説はカクヨム様、エブリスタ様でも連載しております。
公爵様、契約通り、跡継ぎを身籠りました!-もう契約は満了ですわよ・・・ね?ちょっと待って、どうして契約が終わらないんでしょうかぁぁ?!-
猫まんじゅう
恋愛
そう、没落寸前の実家を助けて頂く代わりに、跡継ぎを産む事を条件にした契約結婚だったのです。
無事跡継ぎを妊娠したフィリス。夫であるバルモント公爵との契約達成は出産までの約9か月となった。
筈だったのです······が?
◆◇◆
「この結婚は契約結婚だ。貴女の実家の財の工面はする。代わりに、貴女には私の跡継ぎを産んでもらおう」
拝啓、公爵様。財政に悩んでいた私の家を助ける代わりに、跡継ぎを産むという一時的な契約結婚でございましたよね・・・?ええ、跡継ぎは産みました。なぜ、まだ契約が完了しないんでしょうか?
「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいませええ!この契約!あと・・・、一体あと、何人子供を産めば契約が満了になるのですッ!!?」
溺愛と、悪阻(ツワリ)ルートは二人がお互いに想いを通じ合わせても終わらない?
◆◇◆
安心保障のR15設定。
描写の直接的な表現はありませんが、”匂わせ”も気になる吐き悪阻体質の方はご注意ください。
ゆるゆる設定のコメディ要素あり。
つわりに付随する嘔吐表現などが多く含まれます。
※妊娠に関する内容を含みます。
【2023/07/15/9:00〜07/17/15:00, HOTランキング1位ありがとうございます!】
こちらは小説家になろうでも完結掲載しております(詳細はあとがきにて、)
最愛の側妃だけを愛する旦那様、あなたの愛は要りません
abang
恋愛
私の旦那様は七人の側妃を持つ、巷でも噂の好色王。
後宮はいつでも女の戦いが絶えない。
安心して眠ることもできない後宮に、他の妃の所にばかり通う皇帝である夫。
「どうして、この人を愛していたのかしら?」
ずっと静観していた皇后の心は冷めてしまいう。
それなのに皇帝は急に皇后に興味を向けて……!?
「あの人に興味はありません。勝手になさい!」
【完結】忘れてください
仲 奈華 (nakanaka)
恋愛
愛していた。
貴方はそうでないと知りながら、私は貴方だけを愛していた。
夫の恋人に子供ができたと教えられても、私は貴方との未来を信じていたのに。
貴方から離婚届を渡されて、私の心は粉々に砕け散った。
もういいの。
私は貴方を解放する覚悟を決めた。
貴方が気づいていない小さな鼓動を守りながら、ここを離れます。
私の事は忘れてください。
※6月26日初回完結
7月12日2回目完結しました。
お読みいただきありがとうございます。
【完結】「幼馴染を敬愛する婚約者様、そんなに幼馴染を優先したいならお好きにどうぞ。ただし私との婚約を解消してからにして下さいね」
まほりろ
恋愛
婚約者のベン様は幼馴染で公爵令嬢のアリッサ様に呼び出されるとアリッサ様の元に行ってしまう。
お茶会や誕生日パーティや婚約記念日や学園のパーティや王家主催のパーティでも、それは変わらない。
いくらアリッサ様がもうすぐ隣国の公爵家に嫁ぐ身で、心身が不安定な状態だといってもやりすぎだわ。
そんなある日ベン様から、
「俺はアリッサについて隣国に行く!
お前は親が決めた婚約者だから仕方ないから結婚してやる!
結婚後は侯爵家のことはお前が一人で切り盛りしろ!
年に一回帰国して子作りはしてやるからありがたく思え!」
と言われました。
今まで色々と我慢してきましたがこの言葉が決定打となり、この瞬間私はベン様との婚約解消を決意したのです。
ベン様は好きなだけ幼馴染のアリッサ様の側にいてください、ただし私の婚約を解消したあとでですが。
ベン様も地味な私の顔を見なくてスッキリするでしょう。
なのに婚約解消した翌日ベン様が迫ってきて……。
私に婚約解消されたから、侯爵家の後継ぎから外された?
卒業後に実家から勘当される?
アリッサ様に「平民になった幼馴染がいるなんて他人に知られたくないの。二度と会いに来ないで!」と言われた?
私と再度婚約して侯爵家の後継者の座に戻りたい?
そんなこと今さら言われても知りません!
※他サイトにも投稿しています。
※百合っぽく見えますが百合要素はありません。
※加筆修正しました。2024年7月11日
「Copyright(C)2022-九頭竜坂まほろん」
2022年5月4日、小説家になろうで日間総合6位まで上がった作品です。
※表紙素材はあぐりりんこ様よりお借りしております。
あなたの子ですが、内緒で育てます
椿蛍
恋愛
「本当にあなたの子ですか?」
突然現れた浮気相手、私の夫である国王陛下の子を身籠っているという。
夫、王妃の座、全て奪われ冷遇される日々――王宮から、追われた私のお腹には陛下の子が宿っていた。
私は強くなることを決意する。
「この子は私が育てます!」
お腹にいる子供は王の子。
王の子だけが不思議な力を持つ。
私は育った子供を連れて王宮へ戻る。
――そして、私を追い出したことを後悔してください。
※夫の後悔、浮気相手と虐げられからのざまあ
※他サイト様でも掲載しております。
※hotランキング1位&エールありがとうございます!
婚約者の浮気相手が子を授かったので
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ファンヌはリヴァス王国王太子クラウスの婚約者である。
ある日、クラウスが想いを寄せている女性――アデラが子を授かったと言う。
アデラと一緒になりたいクラウスは、ファンヌに婚約解消を迫る。
ファンヌはそれを受け入れ、さっさと手続きを済ませてしまった。
自由になった彼女は学校へと戻り、大好きな薬草や茶葉の『研究』に没頭する予定だった。
しかし、師であるエルランドが学校を辞めて自国へ戻ると言い出す。
彼は自然豊かな国ベロテニア王国の出身であった。
ベロテニア王国は、薬草や茶葉の生育に力を入れているし、何よりも獣人の血を引く者も数多くいるという魅力的な国である。
まだまだエルランドと共に茶葉や薬草の『研究』を続けたいファンヌは、エルランドと共にベロテニア王国へと向かうのだが――。
※表紙イラストはタイトルから「お絵描きばりぐっどくん」に作成してもらいました。
※完結しました
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる