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14章
特別番外編『Happy Halloween 流&翠Ver.』
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『重なる月』夜の部、お楽しみ下さい💕
****
風呂上がりに腰にタオルを巻いた状態で浴衣を探すが、どこにも見当たらない。すると流がワクワク顔でやってきた。
「兄さん。今日はHalloweenだぞ」
「……だから?」
「なぁ、俺たちも仮装しないか」
「ん?」
「……今日はこれを着て、先に眠っていてくれ」
どんな仮装をさせられるのかと思ったら、流が風呂上がりの僕に着せたのは、ただの白いネグリジェだった。いや、でも女性用だからこれも仮装なのか。
「流、これは女性もので、足がスースーして心許ないよ」
「浴衣と大差ないって。んじゃ、後で襲いに行くから覚悟しておけよ」
「お、襲うって?」
「言葉通りさ」
流の言葉にドキドキしてしまった。
僕は流に襲われるのか。流はどんな姿で来るのだろう?
そう思うと、妙に胸が高鳴って眠れない。
やがてカタンと音がして、黒いマントが翻るのが視界の端に見えた。
「来た!」
おどろおどろしい音楽まで、わざわざ鳴らして。
ヴァンパイアの出で立ちの流に、僕はガブッと首筋を噛まれるのか。
そう思うと心臓の鼓動が、一層早くなった。
「翠、約束通り襲いにきたぜ」
はらりと掛け布団を捲られ、流の逞しい腕が僕を抱き上げた。
そのまま顎を撫でられ、口づけされ……そのまま頭を下にずらし首筋に牙を立ててくる。
「翠……俺のものになれ! さぁ……命をいただくぞ」
「あ……っ、んん」
もう片方の手でネグリジェの裾から手を差し込まれ、内股の際どい部分を撫でられている。
感じてしまうよ、流……
そんな風に触るなんて、そんな風に撫でるなんて。
「あ……噛んで……噛んでいいよ。僕を食べていいよ」
ヴァンパイアの出で立ちの流が格好良すぎて、クラクラする。
黒い瞳、長い黒髪……まるで中世の騎士のようにも見えて来て……彫りの深い顔立ちを手で撫でて、僕は目を閉じて、首筋を差し出した。
「噛むぞ」
「ん……っ」
ぽたり……
生暖かいものが皮膚に落ちてくる。
あぁ、僕は本当に噛まれて……血を流しているのか。
倒錯した気持ちに酔いしれていく。
だが……
あれ?
いや、そうではないようだ。
そもそも痛みが伴わなかったし……変だ。
もしかして、この生暖かい血は僕のものではないのか。
じゃあ……一体、どこから流れている?
「翠、悪いな。興奮して、えーっと、ティッシュはどこだ」
「りゅ、流……お前は……どうして、いつもそうなんだ~!」
鼻血をティッシュで押さえた流が、悪びれずに豪快に快活に笑う。
「はははっ、だってさ、翠のネグリジェ姿が破壊的だった」
流が僕の肩に手をかけ、一気にネグリジェを引き落とした。
肩が露わになる。
胸元まで露わになる。
「あ……よせって、汚れる」
「もう止まった」
あとはもう……ただただ、甘く抱き潰されるだけ。
僕を襲いに来た恐ろしいヴァンパイアはどこへ?
今……僕は甘い砂糖菓子になった気分だ。
流に全身を隈なく舐められて、大切な器官はぐずぐずになるまで吸われて。
「翠の身体……いつになく甘いな。甘くて……もっと欲しくなる」
「流は……狼男みたいだ……」
「ふっ、可愛い翠、まだハロウィンを引き摺って……」
寺でハロウィン?
上等だ。
それを一番実践しているのが、僕たちなのだから。
夜は長い。
僕は流に組み敷かれて、喘ぐ。
夜は深い。
僕は流を抱きしめ……「流のものだ」と囁き続けるだろう。
Happy Halloween!
****
風呂上がりに腰にタオルを巻いた状態で浴衣を探すが、どこにも見当たらない。すると流がワクワク顔でやってきた。
「兄さん。今日はHalloweenだぞ」
「……だから?」
「なぁ、俺たちも仮装しないか」
「ん?」
「……今日はこれを着て、先に眠っていてくれ」
どんな仮装をさせられるのかと思ったら、流が風呂上がりの僕に着せたのは、ただの白いネグリジェだった。いや、でも女性用だからこれも仮装なのか。
「流、これは女性もので、足がスースーして心許ないよ」
「浴衣と大差ないって。んじゃ、後で襲いに行くから覚悟しておけよ」
「お、襲うって?」
「言葉通りさ」
流の言葉にドキドキしてしまった。
僕は流に襲われるのか。流はどんな姿で来るのだろう?
そう思うと、妙に胸が高鳴って眠れない。
やがてカタンと音がして、黒いマントが翻るのが視界の端に見えた。
「来た!」
おどろおどろしい音楽まで、わざわざ鳴らして。
ヴァンパイアの出で立ちの流に、僕はガブッと首筋を噛まれるのか。
そう思うと心臓の鼓動が、一層早くなった。
「翠、約束通り襲いにきたぜ」
はらりと掛け布団を捲られ、流の逞しい腕が僕を抱き上げた。
そのまま顎を撫でられ、口づけされ……そのまま頭を下にずらし首筋に牙を立ててくる。
「翠……俺のものになれ! さぁ……命をいただくぞ」
「あ……っ、んん」
もう片方の手でネグリジェの裾から手を差し込まれ、内股の際どい部分を撫でられている。
感じてしまうよ、流……
そんな風に触るなんて、そんな風に撫でるなんて。
「あ……噛んで……噛んでいいよ。僕を食べていいよ」
ヴァンパイアの出で立ちの流が格好良すぎて、クラクラする。
黒い瞳、長い黒髪……まるで中世の騎士のようにも見えて来て……彫りの深い顔立ちを手で撫でて、僕は目を閉じて、首筋を差し出した。
「噛むぞ」
「ん……っ」
ぽたり……
生暖かいものが皮膚に落ちてくる。
あぁ、僕は本当に噛まれて……血を流しているのか。
倒錯した気持ちに酔いしれていく。
だが……
あれ?
いや、そうではないようだ。
そもそも痛みが伴わなかったし……変だ。
もしかして、この生暖かい血は僕のものではないのか。
じゃあ……一体、どこから流れている?
「翠、悪いな。興奮して、えーっと、ティッシュはどこだ」
「りゅ、流……お前は……どうして、いつもそうなんだ~!」
鼻血をティッシュで押さえた流が、悪びれずに豪快に快活に笑う。
「はははっ、だってさ、翠のネグリジェ姿が破壊的だった」
流が僕の肩に手をかけ、一気にネグリジェを引き落とした。
肩が露わになる。
胸元まで露わになる。
「あ……よせって、汚れる」
「もう止まった」
あとはもう……ただただ、甘く抱き潰されるだけ。
僕を襲いに来た恐ろしいヴァンパイアはどこへ?
今……僕は甘い砂糖菓子になった気分だ。
流に全身を隈なく舐められて、大切な器官はぐずぐずになるまで吸われて。
「翠の身体……いつになく甘いな。甘くて……もっと欲しくなる」
「流は……狼男みたいだ……」
「ふっ、可愛い翠、まだハロウィンを引き摺って……」
寺でハロウィン?
上等だ。
それを一番実践しているのが、僕たちなのだから。
夜は長い。
僕は流に組み敷かれて、喘ぐ。
夜は深い。
僕は流を抱きしめ……「流のものだ」と囁き続けるだろう。
Happy Halloween!
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