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14章
それぞれの想い 33
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「薙……どうして?」
「拓人が二日も休むなんて心配したぞ! 一体どうしたんだ?」
「あ、その……すっかり薙のお父さん達のお世話になってしまったよ」
目の前の拓人が顔を真っ赤にしたので、何事かと問えば、包み隠さず教えてくれた。
盲腸の疑いで大騒ぎして、病院でレントゲンとCTまで撮って……結局便秘と言われたって……災難というか何というか。
「そ、それは大変だったな。でも、笑い話で済んで良かったな」
「あぁ、そうなんだ。ううう、でも恥ずかしいよ」
「分かる! 元気出せよ」
オレたちは手土産の最中を頬張りながら、話を続けた。
「で、もう腹は治ったんだな?」
「今度は腹が減ってる。クンクン」
「な、なんだ?」
「薙から美味しそうな焼きうどんの匂いがするぞ」
げ! 鋭い奴!
「お前にノートを貸すために、一肌脱いだんだぜ」
「え? もしかして……A組の桜庭と行った?」
ノートを借りた女子の名前を、唐突に言い当てられてドキッとした。
「なんで知って?」
「ここにほら、メモが」
ぎょっ! いつの間に?
『薙くん、今日嬉しかった~♫ 良かったら今度は横浜に行かない? 桜庭愛菜より』
「これって、どうみてもデートのお誘いだな」
「えっ、そんなつもりじゃ! 一番ノートを綺麗に取っていそうだったから……その、拓人の役に立つかと思ったんだ!」
そう伝えると、拓人は破顔した。
「ははっ、サンキュ! 薙の気持ちが嬉しいよ。そうだ、薙のお父さんって、すごくいいな。優しくて凜としていて格好良くて……本当に素敵な人だよ」
「あ……父さんのこと、そんな風に言ってくれてありがとう」
お互い照れ臭くなって、最中をもう一つ頬張った。
「薙、高校……どうする?」
「一応、今のところは志望校は地元の県立だよ」
「え? もしかして……由比ヶ浜高校?」
「そう!」
「俺もだ。しかし意外だな。薙はお父さんと同じ私立高校かと思っていたよ」
それはないな。澄ました坊ちゃん学校は柄ではない。
もっと自由に伸びやかな場所がいいんだ。
「いや、俺は叔父さんと同じ高校を希望しているんだ」
「そうか……いいな。高校も薙と一緒なら嬉しいよ」
拓人はあんなことがあっても、相変わらず肩肘張らずに済む居心地のいい奴だ。だから、高校も一緒だと嬉しい。
「薙くん、よく来てくれたね」
「あ、達哉さん!」
「今日はすっかり薙くんのお父さんにお世話になってしまったよ」
「あ、ソレ、聞きました」
「拓人、具合はどうだ?」
「お父さん、腹ぺこなんだ」
「ふっ、若いな」
あれ? 拓人と達哉さんの会話が今までと違う。
あ、そうか……拓人が達哉さんのことを『お父さん』と呼んでいるからだ。
実の両親がこの世にいない拓人に、またそんな風に呼べる人が出来て良かったと、心から素直にそう思った。
「胃腸に優しい粥でも食うか」
「そんなんじゃ足りないよ。そうだ! 焼きうどんがいい!」
拓人が言い放ち、ペロッと舌を出して笑った。
「おー! じゃあ作ってやるよ。やっぱり育ち盛りは違うな。薙くんも食うか」
「ぜひ!」
さっき同じものを食べたばかりだけれど、なんだか桜庭がオレのことばかり見るので集中できなかったんだ。拓人と食べたら美味しいだろうな。
オレと拓人は親友なんだなと、この時改めて思ったよ。
これからも、ずっとよろしくな!
「拓人が二日も休むなんて心配したぞ! 一体どうしたんだ?」
「あ、その……すっかり薙のお父さん達のお世話になってしまったよ」
目の前の拓人が顔を真っ赤にしたので、何事かと問えば、包み隠さず教えてくれた。
盲腸の疑いで大騒ぎして、病院でレントゲンとCTまで撮って……結局便秘と言われたって……災難というか何というか。
「そ、それは大変だったな。でも、笑い話で済んで良かったな」
「あぁ、そうなんだ。ううう、でも恥ずかしいよ」
「分かる! 元気出せよ」
オレたちは手土産の最中を頬張りながら、話を続けた。
「で、もう腹は治ったんだな?」
「今度は腹が減ってる。クンクン」
「な、なんだ?」
「薙から美味しそうな焼きうどんの匂いがするぞ」
げ! 鋭い奴!
「お前にノートを貸すために、一肌脱いだんだぜ」
「え? もしかして……A組の桜庭と行った?」
ノートを借りた女子の名前を、唐突に言い当てられてドキッとした。
「なんで知って?」
「ここにほら、メモが」
ぎょっ! いつの間に?
『薙くん、今日嬉しかった~♫ 良かったら今度は横浜に行かない? 桜庭愛菜より』
「これって、どうみてもデートのお誘いだな」
「えっ、そんなつもりじゃ! 一番ノートを綺麗に取っていそうだったから……その、拓人の役に立つかと思ったんだ!」
そう伝えると、拓人は破顔した。
「ははっ、サンキュ! 薙の気持ちが嬉しいよ。そうだ、薙のお父さんって、すごくいいな。優しくて凜としていて格好良くて……本当に素敵な人だよ」
「あ……父さんのこと、そんな風に言ってくれてありがとう」
お互い照れ臭くなって、最中をもう一つ頬張った。
「薙、高校……どうする?」
「一応、今のところは志望校は地元の県立だよ」
「え? もしかして……由比ヶ浜高校?」
「そう!」
「俺もだ。しかし意外だな。薙はお父さんと同じ私立高校かと思っていたよ」
それはないな。澄ました坊ちゃん学校は柄ではない。
もっと自由に伸びやかな場所がいいんだ。
「いや、俺は叔父さんと同じ高校を希望しているんだ」
「そうか……いいな。高校も薙と一緒なら嬉しいよ」
拓人はあんなことがあっても、相変わらず肩肘張らずに済む居心地のいい奴だ。だから、高校も一緒だと嬉しい。
「薙くん、よく来てくれたね」
「あ、達哉さん!」
「今日はすっかり薙くんのお父さんにお世話になってしまったよ」
「あ、ソレ、聞きました」
「拓人、具合はどうだ?」
「お父さん、腹ぺこなんだ」
「ふっ、若いな」
あれ? 拓人と達哉さんの会話が今までと違う。
あ、そうか……拓人が達哉さんのことを『お父さん』と呼んでいるからだ。
実の両親がこの世にいない拓人に、またそんな風に呼べる人が出来て良かったと、心から素直にそう思った。
「胃腸に優しい粥でも食うか」
「そんなんじゃ足りないよ。そうだ! 焼きうどんがいい!」
拓人が言い放ち、ペロッと舌を出して笑った。
「おー! じゃあ作ってやるよ。やっぱり育ち盛りは違うな。薙くんも食うか」
「ぜひ!」
さっき同じものを食べたばかりだけれど、なんだか桜庭がオレのことばかり見るので集中できなかったんだ。拓人と食べたら美味しいだろうな。
オレと拓人は親友なんだなと、この時改めて思ったよ。
これからも、ずっとよろしくな!
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