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13章
慈しみ深き愛 17
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R18
「洋……辛そうだな。一度出せ」
「もうっ出ない! もう無理だっ」
泣き言を言いたくなるのも無理はないだろう。さっき俺の部屋で一体何度吐精させられたか知っているのか。最後の方の記憶なんてあやふやで……あぁとにかくもう出るものなんてないはずなのに、股間にあるものは再び、しっかり硬く屹立していた。
なんで……
次の瞬間には脚を開かれ、丈の下腹部に俺の下半身を擦り付けるような形で、腰を掴まれ大きく上下に揺さぶられてしまった。お湯の中だし、いつもと違う場所ということもあり、これはもう一気にスパークしそうだ。
「あぁ……あっ……丈っ……丈」
気持ち良くて、でも少し怖くて……縋るように恋人の名を何度も繰り返して幼子のように呼んでしまう。
「洋っ……私はここだ、大丈夫か、気持ちいいか」
「うっ……んっ」
気持ちいい……すごく気持ちいいよ。ソウルで試したあんな道具なんて比じゃないよ。俺……この一カ月……ずっと生身の丈の躰に焦がれていたんだ。そう気づかされる程に気持ちがいい。
人と人って、いいな。
素肌を重ねることの心地良さ。
その相手がいることのありがたさ。
「あっ……もうっ!……っ」
腰を掴まれ湯の外にガバツっと躰を浮かされた刺激で、あっという間に放出してしまった。
「よし……ちゃんと出たな。このまま挿入するぞ」
丈が俺を抱いて浴槽から立ち上がり、俺は後ろ向きで室の壁に手をつく姿勢を取らされた。
前はタイル張りでひんやりと冷たい感触だった。でも改装した浴室はパネルなので冷たくないことに安堵した。そこに押し付けられるように立たされ脚を丈の膝で割られた。
「洋、何度抱いても……何故だろう。まだ欲しい、もっと欲しくなるのは」
甘く低い声で耳元で囁かれてしまえば、もっていかれる。
丈の手が後ろの孔に伸びてきて、ソープのようなものを念入りに塗られたかと思うと、後ろから腰を掴まれ、ズンっと一気に挿入された。
「あっ……んっ」
眼を瞑ると、義父に後ろから抱かれるように浸かった湯船のシーンが脳裏に蘇った。それに……実は……泡をつけた手で躰を洗ってもらったこともあったのだ。下半身を触られたことも……本当はあった。ねちっこい声で「洋のここはまだ生えそろってないし、精通もしてないようだね。まだ洋は痛々しい程に幼いのだな」と耳元で囁かれた恐怖!
「あっ……怖い」
「洋、もう壊せ! 嫌な思い出なんて、洋自身で壊してしまうといい!」
丈の声にはっとした。同時に丈に俺の頭の中を覗かれたようで、驚いた。
あの日々で決定的な何かをされたわけではない。全部グレーゾーンだった。
「でも……嫌だった。本当は嫌だった! 気持ち悪かった。一緒の風呂なんて入りたくなかった! 触られるのは、ぞっとした! いつもいつも! でも誰もいなかった。誰にも言えなかったんだ……あんなこと……」
気がつけば、そう叫んでいた。
「うっ……」
両眼からは、涙がはらはらと散っていた。
「そうだ。洋は嫌だった。私も辛いよ……タイムマシーンに乗って、幼い洋を助けてやりたい」
「あっ……あぁ」
丈の言葉は後悔の念で溢れていた。
「丈……そんな風に思ってくれるのか」
今……俺の下半身に触れるのは丈。穿つのも丈。
丈は、俺の恋人だ。
俺は怖くない。むしろどんどん気持ちよくなってきている。
丈は俺の躰を知り尽くしているので、前立腺を丈の屹立で内部から撫でられ、擦られていけば、脳内がどんどん白くスパークしていってしまう。
「そうだ! そのタイミングで壊してしまうといい!」
丈の誘導の元、俺は意識を飛ばしそうになりながらも、必死に与えられる快楽に身を委ねた。
「もっ……もうっイクっ」
その瞬間、残像のように残っていた幼い俺と義父の姿は粉々に砕け散った。
肩で息をしながらうっすらと目を開くと……俺の目の前には、丈の逞しい胸があった。だから……その胸元に頬をくっつけるように、寄り添った。
丈の鼓動を直に感じたい。
「洋、頑張ったな。偉かったな」
子供みたいに褒められて気恥ずかしいが、丈もとても嬉しそうに微笑んでくれていた。
俺は乗り越えられたのか。また一つ……
モノを壊すことによって、過去の嫌な記憶を誘導して引き出して、それを粉々にすることに成功したのか。
何が最善な方法かなんて、わからない。ただ……丈が導いてくれた道を信じた結果だ。
「丈……ありがとう。俺のことを……こんなにも深く考えてくれて」
君は最高の恋人だよ。俺は丈のお陰で、この先もどんどん生まれ変わっていける。
慈しみ深き愛を惜しみなく与えてくれて、本当にありがとう。
「私こそありがとう。私も乗り越えて行く。洋と共に……」
「洋……辛そうだな。一度出せ」
「もうっ出ない! もう無理だっ」
泣き言を言いたくなるのも無理はないだろう。さっき俺の部屋で一体何度吐精させられたか知っているのか。最後の方の記憶なんてあやふやで……あぁとにかくもう出るものなんてないはずなのに、股間にあるものは再び、しっかり硬く屹立していた。
なんで……
次の瞬間には脚を開かれ、丈の下腹部に俺の下半身を擦り付けるような形で、腰を掴まれ大きく上下に揺さぶられてしまった。お湯の中だし、いつもと違う場所ということもあり、これはもう一気にスパークしそうだ。
「あぁ……あっ……丈っ……丈」
気持ち良くて、でも少し怖くて……縋るように恋人の名を何度も繰り返して幼子のように呼んでしまう。
「洋っ……私はここだ、大丈夫か、気持ちいいか」
「うっ……んっ」
気持ちいい……すごく気持ちいいよ。ソウルで試したあんな道具なんて比じゃないよ。俺……この一カ月……ずっと生身の丈の躰に焦がれていたんだ。そう気づかされる程に気持ちがいい。
人と人って、いいな。
素肌を重ねることの心地良さ。
その相手がいることのありがたさ。
「あっ……もうっ!……っ」
腰を掴まれ湯の外にガバツっと躰を浮かされた刺激で、あっという間に放出してしまった。
「よし……ちゃんと出たな。このまま挿入するぞ」
丈が俺を抱いて浴槽から立ち上がり、俺は後ろ向きで室の壁に手をつく姿勢を取らされた。
前はタイル張りでひんやりと冷たい感触だった。でも改装した浴室はパネルなので冷たくないことに安堵した。そこに押し付けられるように立たされ脚を丈の膝で割られた。
「洋、何度抱いても……何故だろう。まだ欲しい、もっと欲しくなるのは」
甘く低い声で耳元で囁かれてしまえば、もっていかれる。
丈の手が後ろの孔に伸びてきて、ソープのようなものを念入りに塗られたかと思うと、後ろから腰を掴まれ、ズンっと一気に挿入された。
「あっ……んっ」
眼を瞑ると、義父に後ろから抱かれるように浸かった湯船のシーンが脳裏に蘇った。それに……実は……泡をつけた手で躰を洗ってもらったこともあったのだ。下半身を触られたことも……本当はあった。ねちっこい声で「洋のここはまだ生えそろってないし、精通もしてないようだね。まだ洋は痛々しい程に幼いのだな」と耳元で囁かれた恐怖!
「あっ……怖い」
「洋、もう壊せ! 嫌な思い出なんて、洋自身で壊してしまうといい!」
丈の声にはっとした。同時に丈に俺の頭の中を覗かれたようで、驚いた。
あの日々で決定的な何かをされたわけではない。全部グレーゾーンだった。
「でも……嫌だった。本当は嫌だった! 気持ち悪かった。一緒の風呂なんて入りたくなかった! 触られるのは、ぞっとした! いつもいつも! でも誰もいなかった。誰にも言えなかったんだ……あんなこと……」
気がつけば、そう叫んでいた。
「うっ……」
両眼からは、涙がはらはらと散っていた。
「そうだ。洋は嫌だった。私も辛いよ……タイムマシーンに乗って、幼い洋を助けてやりたい」
「あっ……あぁ」
丈の言葉は後悔の念で溢れていた。
「丈……そんな風に思ってくれるのか」
今……俺の下半身に触れるのは丈。穿つのも丈。
丈は、俺の恋人だ。
俺は怖くない。むしろどんどん気持ちよくなってきている。
丈は俺の躰を知り尽くしているので、前立腺を丈の屹立で内部から撫でられ、擦られていけば、脳内がどんどん白くスパークしていってしまう。
「そうだ! そのタイミングで壊してしまうといい!」
丈の誘導の元、俺は意識を飛ばしそうになりながらも、必死に与えられる快楽に身を委ねた。
「もっ……もうっイクっ」
その瞬間、残像のように残っていた幼い俺と義父の姿は粉々に砕け散った。
肩で息をしながらうっすらと目を開くと……俺の目の前には、丈の逞しい胸があった。だから……その胸元に頬をくっつけるように、寄り添った。
丈の鼓動を直に感じたい。
「洋、頑張ったな。偉かったな」
子供みたいに褒められて気恥ずかしいが、丈もとても嬉しそうに微笑んでくれていた。
俺は乗り越えられたのか。また一つ……
モノを壊すことによって、過去の嫌な記憶を誘導して引き出して、それを粉々にすることに成功したのか。
何が最善な方法かなんて、わからない。ただ……丈が導いてくれた道を信じた結果だ。
「丈……ありがとう。俺のことを……こんなにも深く考えてくれて」
君は最高の恋人だよ。俺は丈のお陰で、この先もどんどん生まれ変わっていける。
慈しみ深き愛を惜しみなく与えてくれて、本当にありがとう。
「私こそありがとう。私も乗り越えて行く。洋と共に……」
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