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11章
解けていく 25
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「兄さん……」
「流っ、その呼び方はよせ」
椅子に座る流の脚に跨ったまま、開かれた素肌。
乳首を執拗になめられて、ゾクゾクと身体が震えた。
「兄さん……」
「いやだ」
その名は禁忌だ。
兄なのに弟にこんなことをされて、恥ずかしい。
お願いだ……せめて翠と……翠と呼んで欲しい。
そう願うと、涙がすうっと零れ落ちた。
「翠……」
その涙が僕の身体を離れる前に、流の舌が追いかけて吸い取ってくれた。
「ごめんよ。恥じらう翠が可愛くて……たまらないんだ。こんなに一人で酔って、誘うような顔をして帰宅するから妬いたんだ」
「馬鹿……僕は可愛いなんて歳じゃないし……酔ってなんかいない。これでも控えた」
「控えた? なぜ」
「それは……お前が待っているから」
「また可愛いことを。もうダメだ。我慢できない」
いきなり椅子から布団にドサッと押し倒された。
景色がぐるんと変わって、天井を見上げれば流と目があった。
そのままベルトを外され、下着ごと一気に下へと脱がされてしまう。
仰向けの状態で、流の手が僕の太股を掴んで両脚を広げていく。そして一度大きく舌舐めずりしてから、一気に僕のものをくわえ込んだ。
「うまそうだ」
僕の腰をしっかりと両手で固定して、吸い上げるように舐め上げてくる。
「あっ……」
飢えて貪るような激しさに、何もかも持っていかれる。
「はっ……あぁ……」
流は舌と唇を器用に使い分け、手では袋を揉み解していく。
「だめ……だ……耐えられない……離せ!」
気が狂いそうになるほどの快楽の波。
弟にされていると思うと、禁断の炎が燃え上がる。
「いや……だ」
「翠、出せよ。味わいたい」
「だめだ!」
必死の抵抗も流を煽るだけ。
それでも彼の口の中に発射することが躊躇われて、逃げを打つ。
そんな僕の仕草は、流を煽るだけだというのに。
執拗に吸い上げられ、やわやわと揉まれれば、あっという間に堕ちてしまう。
「あぁっ!もうっ!」
出してしまった。
とうとう……
僕の胸は大きく上下する。
恥ずかしさを噛みしめ、僕は目を閉じた。
「翠の味だ」
苦い液を飲み込んだばかりの流の口から洩れる言葉が、卑猥に闇に響く。
****
翠の澄んだ瞳が、茫然とした中でも輝きを失わずに俺を見上げている。
翠らしい凛とした楚々とした眼差しが愛おしくて……愛おしくて溜まらない。
まだ呼吸の整わない翠の両膝を曲げさせ押し上げていく。
そして左右に開かせて、中心を露わにさせた。
じっと俺はそそり立つものを見つめる。
そこを。
男同士だ。
兄と弟だ。
そのシンボルともいえるもの。
もう何もかも乗り越える覚悟はできている。
遠い昔の悲恋。
再び兄と弟として生まれてからの険しい道のり。
すべて意味があって今がある。
ここにいる。
ここで抱き合っている。
ここに来て、昨夜あの廃屋の山荘で抱き合って、俺たちは真に結ばれた。
翠の腰を抱き上げるように持ち上げ、俺の下半身と密着させ、そのまま深く貫いていく。
「りゅ……う」
翠の……いつになく甘えた声が脳手に響き、はっとした。
くらくらと眩暈がする。
「ひっ、あっ……あ!」
翠が感じて……俺の動きに合わせて身体を揺すっている。
もっと深く!
腰を深く抱き上げて、最奥を探る。
「りゅう……もうだめ……もう……いい…気持ちいいから……」
翠が俺の元まで堕ちてきた。
翠をきつく抱きしめると、背が弓なりにしなった。
「あっ──!」
翠が弾けた瞬間に、きゅうっとそこが閉まったので俺もぶるっと震えながら迸った。
そのまま乱れたシーツの上で、挿入したまま抱き合った。
「……翠の中にいる」
「……流を感じる」
「熱いな……ひとつに溶けそうだ」
「溶けてくれ」
終わりじゃない。
俺と翠の始まりの抱擁を交わし、口づけを交わし、再び行為に及んでいく。
何度も何度も、翠を抱く。
俺のオアシス。
ずっと飢えていた。
翠は惜しまないで、与えてくれる。
何度も何度も……俺にすべてを。
ずっと憧れ続け一時は諦めて手放した兄のこの姿、この声。
俺のものになった。
やっと手に入れた。
心の底からそう思えたのは、昨夜何重にも絡まっていた糸が解けたからだ。
きっと──
「流っ、その呼び方はよせ」
椅子に座る流の脚に跨ったまま、開かれた素肌。
乳首を執拗になめられて、ゾクゾクと身体が震えた。
「兄さん……」
「いやだ」
その名は禁忌だ。
兄なのに弟にこんなことをされて、恥ずかしい。
お願いだ……せめて翠と……翠と呼んで欲しい。
そう願うと、涙がすうっと零れ落ちた。
「翠……」
その涙が僕の身体を離れる前に、流の舌が追いかけて吸い取ってくれた。
「ごめんよ。恥じらう翠が可愛くて……たまらないんだ。こんなに一人で酔って、誘うような顔をして帰宅するから妬いたんだ」
「馬鹿……僕は可愛いなんて歳じゃないし……酔ってなんかいない。これでも控えた」
「控えた? なぜ」
「それは……お前が待っているから」
「また可愛いことを。もうダメだ。我慢できない」
いきなり椅子から布団にドサッと押し倒された。
景色がぐるんと変わって、天井を見上げれば流と目があった。
そのままベルトを外され、下着ごと一気に下へと脱がされてしまう。
仰向けの状態で、流の手が僕の太股を掴んで両脚を広げていく。そして一度大きく舌舐めずりしてから、一気に僕のものをくわえ込んだ。
「うまそうだ」
僕の腰をしっかりと両手で固定して、吸い上げるように舐め上げてくる。
「あっ……」
飢えて貪るような激しさに、何もかも持っていかれる。
「はっ……あぁ……」
流は舌と唇を器用に使い分け、手では袋を揉み解していく。
「だめ……だ……耐えられない……離せ!」
気が狂いそうになるほどの快楽の波。
弟にされていると思うと、禁断の炎が燃え上がる。
「いや……だ」
「翠、出せよ。味わいたい」
「だめだ!」
必死の抵抗も流を煽るだけ。
それでも彼の口の中に発射することが躊躇われて、逃げを打つ。
そんな僕の仕草は、流を煽るだけだというのに。
執拗に吸い上げられ、やわやわと揉まれれば、あっという間に堕ちてしまう。
「あぁっ!もうっ!」
出してしまった。
とうとう……
僕の胸は大きく上下する。
恥ずかしさを噛みしめ、僕は目を閉じた。
「翠の味だ」
苦い液を飲み込んだばかりの流の口から洩れる言葉が、卑猥に闇に響く。
****
翠の澄んだ瞳が、茫然とした中でも輝きを失わずに俺を見上げている。
翠らしい凛とした楚々とした眼差しが愛おしくて……愛おしくて溜まらない。
まだ呼吸の整わない翠の両膝を曲げさせ押し上げていく。
そして左右に開かせて、中心を露わにさせた。
じっと俺はそそり立つものを見つめる。
そこを。
男同士だ。
兄と弟だ。
そのシンボルともいえるもの。
もう何もかも乗り越える覚悟はできている。
遠い昔の悲恋。
再び兄と弟として生まれてからの険しい道のり。
すべて意味があって今がある。
ここにいる。
ここで抱き合っている。
ここに来て、昨夜あの廃屋の山荘で抱き合って、俺たちは真に結ばれた。
翠の腰を抱き上げるように持ち上げ、俺の下半身と密着させ、そのまま深く貫いていく。
「りゅ……う」
翠の……いつになく甘えた声が脳手に響き、はっとした。
くらくらと眩暈がする。
「ひっ、あっ……あ!」
翠が感じて……俺の動きに合わせて身体を揺すっている。
もっと深く!
腰を深く抱き上げて、最奥を探る。
「りゅう……もうだめ……もう……いい…気持ちいいから……」
翠が俺の元まで堕ちてきた。
翠をきつく抱きしめると、背が弓なりにしなった。
「あっ──!」
翠が弾けた瞬間に、きゅうっとそこが閉まったので俺もぶるっと震えながら迸った。
そのまま乱れたシーツの上で、挿入したまま抱き合った。
「……翠の中にいる」
「……流を感じる」
「熱いな……ひとつに溶けそうだ」
「溶けてくれ」
終わりじゃない。
俺と翠の始まりの抱擁を交わし、口づけを交わし、再び行為に及んでいく。
何度も何度も、翠を抱く。
俺のオアシス。
ずっと飢えていた。
翠は惜しまないで、与えてくれる。
何度も何度も……俺にすべてを。
ずっと憧れ続け一時は諦めて手放した兄のこの姿、この声。
俺のものになった。
やっと手に入れた。
心の底からそう思えたのは、昨夜何重にも絡まっていた糸が解けたからだ。
きっと──
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