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第6章
逸る気持ち 4
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【R18】
「銭湯には、安志くんも一緒だったのか」
ほぼそうだと思ったのだが、つい意地悪に聞いてしまった。
「う……うん」
「はぁ……洋、どうしてまたそんなメンバーで銭湯なんて」
これは何か日本でトラブルでもあったのではと心配になってくる。
それに銭湯に美しい洋と涼くんが二人そろって裸でって、そんな光景を想像するだけで、無駄に色気を振りまいたのではないかと焦ってしまう。全く安志くんは役得だったな。
「それは……んっ」
洋が言い難そうにしているのが伝わって来る。私もじれったくなってしまい、洋の後ろが十分ほぐれたようなので、ぐいっと強引に私のものを挿入してしまった。
「んんっ……あぁ」
洋が少し苦し気に眉を寄せていく。いつもと違う姿勢に慣れないのか頬を染めて目を閉じて我慢するような表情がひどく扇情的で困ったものだ。ますます私のものが固くなっていくのを感じてしまう。昼下がりの明るい部屋の明かりを浴びた洋の長い睫毛が揺れて、艶めいた陰影を美しい端正な顔に作っていた。
「また何か一人で危なっかしいことをしたんじゃないか」
「んっ……はぁ全く敵わないな。丈は鋭い」
「ちゃんと話せ」
「……怒るなよ。母の墓参りをした後に土手で休んでいたら、あのリボンが急に風に飛ばされて、それを取りに行こうとしたら……その……溺れそうになって、安志と涼がそのタイミングで駆けつけてくれたから、一緒にずぶ濡れになってしまったんだ」
「はぁ……まったく。洋はまたそんなことをして」
私に跨っている洋の細い腰を掴んで、突くように上へと揺さぶってやる。私のものが一層洋の躰の奥深くへ入り込んで来るのを感じる。
「あぁ……あっまだ駄目だ。揺らすなよ……はぁ」
「洋に何かあったらと思うと心配になるんだ」
「うん……分かってる。ごめん」
もっともっと洋を感じたくなって、そのまま洋をベッドに押し倒して今度は私が覆いかぶさって洋を求めていく。
「あっ……丈っ……んんっ…」
一層深まっていく結合に、洋の吐息が熱く火照り出す。
「丈……丈…」
耳元で洋が……甘く私の名を何度も何度も呼んでくれるのが心地よい。こうやって私だけの洋を独り占めできる時間が愛おしい。明るい部屋で羞恥に震える洋の表情は壮絶な色気を放っていた。
****
あれから何度か体勢を変えながら深く深く抱き合った。ベッドサイドで洋がぐったりした表情でバスローブを纏っている仕草が可愛いくて、思わず目を細めて見つめてしまった。
そんな視線に気が付いたのか、洋が不満気に口を開いた。
「はぁ……疲れたよ。まったく丈は強引なんだから」
「そうか」
「それに……猛烈に腹も減った」
「分かった。何か作ってやるから、シャワーを浴びておいで」
「パスタがいい」
「了解」
「丈、あとで渡すものがあるんだ。楽しみにしていて」
洋が浴びるシャワーの水音がBGMのように弾んで聞こえてくる中、手際よくパスタを作り出した。私も明るい気分で洋が予定よりずっと早く帰国したことへの喜びを噛みしめていた。
それにしても少し疲れさせてしまったか……全く私もこんな昼下がりから求め続けるなんてな。
日本へ行くように後押ししたのは私なのに、どこか心配でどこか寂しくて……洋が予定より早く戻ってきてくれたのが嬉しくて、つい気持ちが逸ってしまったようだ。私はもういい歳なのに洋のことになると心が浮足立って夢中になってしまう。
それは認めざる得ない事実だ。
だが最近少し考えることがある。思いがけず始まったこのソウルでの生活。仕事も見つかりお互いに安定してはいるが、いつまで続けるべきなんだろうか。どこか外国で暮らしていることへの違和感や、仮の住まいという落ち着かない気分。そんなものが少しずつ気になってきている。
洋との関係をもっと安定した確かなものにしたいという気持ちも、芽生えている。
どうしたものか。その、きかっけが掴めない。
「銭湯には、安志くんも一緒だったのか」
ほぼそうだと思ったのだが、つい意地悪に聞いてしまった。
「う……うん」
「はぁ……洋、どうしてまたそんなメンバーで銭湯なんて」
これは何か日本でトラブルでもあったのではと心配になってくる。
それに銭湯に美しい洋と涼くんが二人そろって裸でって、そんな光景を想像するだけで、無駄に色気を振りまいたのではないかと焦ってしまう。全く安志くんは役得だったな。
「それは……んっ」
洋が言い難そうにしているのが伝わって来る。私もじれったくなってしまい、洋の後ろが十分ほぐれたようなので、ぐいっと強引に私のものを挿入してしまった。
「んんっ……あぁ」
洋が少し苦し気に眉を寄せていく。いつもと違う姿勢に慣れないのか頬を染めて目を閉じて我慢するような表情がひどく扇情的で困ったものだ。ますます私のものが固くなっていくのを感じてしまう。昼下がりの明るい部屋の明かりを浴びた洋の長い睫毛が揺れて、艶めいた陰影を美しい端正な顔に作っていた。
「また何か一人で危なっかしいことをしたんじゃないか」
「んっ……はぁ全く敵わないな。丈は鋭い」
「ちゃんと話せ」
「……怒るなよ。母の墓参りをした後に土手で休んでいたら、あのリボンが急に風に飛ばされて、それを取りに行こうとしたら……その……溺れそうになって、安志と涼がそのタイミングで駆けつけてくれたから、一緒にずぶ濡れになってしまったんだ」
「はぁ……まったく。洋はまたそんなことをして」
私に跨っている洋の細い腰を掴んで、突くように上へと揺さぶってやる。私のものが一層洋の躰の奥深くへ入り込んで来るのを感じる。
「あぁ……あっまだ駄目だ。揺らすなよ……はぁ」
「洋に何かあったらと思うと心配になるんだ」
「うん……分かってる。ごめん」
もっともっと洋を感じたくなって、そのまま洋をベッドに押し倒して今度は私が覆いかぶさって洋を求めていく。
「あっ……丈っ……んんっ…」
一層深まっていく結合に、洋の吐息が熱く火照り出す。
「丈……丈…」
耳元で洋が……甘く私の名を何度も何度も呼んでくれるのが心地よい。こうやって私だけの洋を独り占めできる時間が愛おしい。明るい部屋で羞恥に震える洋の表情は壮絶な色気を放っていた。
****
あれから何度か体勢を変えながら深く深く抱き合った。ベッドサイドで洋がぐったりした表情でバスローブを纏っている仕草が可愛いくて、思わず目を細めて見つめてしまった。
そんな視線に気が付いたのか、洋が不満気に口を開いた。
「はぁ……疲れたよ。まったく丈は強引なんだから」
「そうか」
「それに……猛烈に腹も減った」
「分かった。何か作ってやるから、シャワーを浴びておいで」
「パスタがいい」
「了解」
「丈、あとで渡すものがあるんだ。楽しみにしていて」
洋が浴びるシャワーの水音がBGMのように弾んで聞こえてくる中、手際よくパスタを作り出した。私も明るい気分で洋が予定よりずっと早く帰国したことへの喜びを噛みしめていた。
それにしても少し疲れさせてしまったか……全く私もこんな昼下がりから求め続けるなんてな。
日本へ行くように後押ししたのは私なのに、どこか心配でどこか寂しくて……洋が予定より早く戻ってきてくれたのが嬉しくて、つい気持ちが逸ってしまったようだ。私はもういい歳なのに洋のことになると心が浮足立って夢中になってしまう。
それは認めざる得ない事実だ。
だが最近少し考えることがある。思いがけず始まったこのソウルでの生活。仕事も見つかりお互いに安定してはいるが、いつまで続けるべきなんだろうか。どこか外国で暮らしていることへの違和感や、仮の住まいという落ち着かない気分。そんなものが少しずつ気になってきている。
洋との関係をもっと安定した確かなものにしたいという気持ちも、芽生えている。
どうしたものか。その、きかっけが掴めない。
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