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第4章
すれ違う 3
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「kai、お待たせ」
ロビーに降りると濃紺のパンツに黒いざっくりとしたコットンセーターという洒落た私服に着替えたkaiが立っていた。高身長にぴったりとしたジーンズが精悍な印象だ。
「洋、なんだかますます顔色が悪くなったな」
「えっそう?」
図星だ。さっきまで丈と喧嘩してしまったから。kaiに気が付かれる程、顔に出てしまっているなんて反省してしまう。丈とあんなことで口論してしまうなんて、俺は馬鹿だ。
「さぁ行こうよ。ホテルの近くに美味しいビストロがあるんだ」
「あぁ」
二人でホテルを出て、街の街灯の下を肩を並べて歩く。
「さっきさ、廊下ですれ違ったのが丈さん?」
「えっ……そうだよ」
「やっぱりそうなのか。俺さ、不思議だったんだよ。ヨウ将軍からの手紙にはジョウが必ず傍にいるはずだって断言していて」
「手紙に? そうなのか」
「実はさ、父から手紙を見せられた時、王の主治医である医官のジョウと近衛隊をしていたヨウがなんで一緒にいたがっているのか、いまいち理解できなかった。でもホテルで丈さんと洋に会って、二人の様子をたまたまルームサービスなので担当させてもらったから、よくわかったよ。」
「な、何が?」
「うん…丈さんと洋は深い仲なんだろ? 想い合っているよな、同性同士で」
「えっ!」
「あの日シーツに包まっていたのは君だろう? 」
「あっ……」
唐突にそんなこと聞かれて恥ずかしくなってしまう。動揺しているとkaiがフォローしてくれた。
「あー悪い悪い。俺も同じ種類の人間だよ。引かないから大丈夫だよ。やっぱりそういう仲だよな~あー残念、洋って俺の凄い好みなんだけど。なぁちょっといい?」
そんなkaiが突然俺の手を引き、暗い路地へ俺をひきこんだ。
「なっ何?」
家のコンクリートの壁に肩を押さえつけられ、突然顎を掬われる。はっと見上げれば、kaiの眼がいつもと違って真剣で怖い。
まさかキスされる?
焦って抵抗しようと思うが、俺より背も高く鍛えられたkaiに押さえつけられてはびくともしない。
「やめろ!」
目を瞑って顔を背けるが、kaiは何故かそのまま動かなかった。不思議に思って、目を開けると、いつもの穏やかな笑顔で笑っていた。
「あーやっぱり出来ないや」
「何をする? こんな馬鹿なことするな!」
「あっはは!もしかして真剣に受け取った?」
「っつ」
「洋、心配するなよ。俺は過去からの手紙に縛られているようだ。現に今身体が動かなかった。まるで言霊のようにな。俺は君の部下であり友人だった人間の子孫だ。安心しろ。洋に手を出す気はないよ。たとえ俺好みでも絶対にな」
「……」
その精悍な顔で屈託のない笑顔を向けられると、気恥ずかしくなってしまう。
そういうものなのか……何はともあれ良かった。でもkaiの先祖が、前世の俺と親友だったというのは本当なんだなと実感できた。
ビストロに入り、温かいスープを飲むと頑なになっていた心が解けていく気がした。kaiになら相談しても良さそうだ。
「しかし洋なにか心配事でもありそうな顔だな。さっきから」
「俺さ……さっき丈と喧嘩した」
「なんで?」
「んっ……くだらない俺の嫉妬で」
「ったく! お熱いな。今度二人で俺の実家に来いよ。あの手紙は二人で見るべきだ」
「丈も一緒に? 」
「あぁ当然だよ。丈さんと洋は離れられない縁なんだろ? 前世から手紙が届く程の。早く仲直りしろよ。くだらないことですれ違うのは時間が勿体ないだろ」
「うん、分かった」
ホテルの部屋に戻ったら、丈にすぐに謝ろう。
そして今日は語学学校の課題はやらないで、丈と一緒に眠ろう。
早く丈に会いたくなってきた。
ロビーに降りると濃紺のパンツに黒いざっくりとしたコットンセーターという洒落た私服に着替えたkaiが立っていた。高身長にぴったりとしたジーンズが精悍な印象だ。
「洋、なんだかますます顔色が悪くなったな」
「えっそう?」
図星だ。さっきまで丈と喧嘩してしまったから。kaiに気が付かれる程、顔に出てしまっているなんて反省してしまう。丈とあんなことで口論してしまうなんて、俺は馬鹿だ。
「さぁ行こうよ。ホテルの近くに美味しいビストロがあるんだ」
「あぁ」
二人でホテルを出て、街の街灯の下を肩を並べて歩く。
「さっきさ、廊下ですれ違ったのが丈さん?」
「えっ……そうだよ」
「やっぱりそうなのか。俺さ、不思議だったんだよ。ヨウ将軍からの手紙にはジョウが必ず傍にいるはずだって断言していて」
「手紙に? そうなのか」
「実はさ、父から手紙を見せられた時、王の主治医である医官のジョウと近衛隊をしていたヨウがなんで一緒にいたがっているのか、いまいち理解できなかった。でもホテルで丈さんと洋に会って、二人の様子をたまたまルームサービスなので担当させてもらったから、よくわかったよ。」
「な、何が?」
「うん…丈さんと洋は深い仲なんだろ? 想い合っているよな、同性同士で」
「えっ!」
「あの日シーツに包まっていたのは君だろう? 」
「あっ……」
唐突にそんなこと聞かれて恥ずかしくなってしまう。動揺しているとkaiがフォローしてくれた。
「あー悪い悪い。俺も同じ種類の人間だよ。引かないから大丈夫だよ。やっぱりそういう仲だよな~あー残念、洋って俺の凄い好みなんだけど。なぁちょっといい?」
そんなkaiが突然俺の手を引き、暗い路地へ俺をひきこんだ。
「なっ何?」
家のコンクリートの壁に肩を押さえつけられ、突然顎を掬われる。はっと見上げれば、kaiの眼がいつもと違って真剣で怖い。
まさかキスされる?
焦って抵抗しようと思うが、俺より背も高く鍛えられたkaiに押さえつけられてはびくともしない。
「やめろ!」
目を瞑って顔を背けるが、kaiは何故かそのまま動かなかった。不思議に思って、目を開けると、いつもの穏やかな笑顔で笑っていた。
「あーやっぱり出来ないや」
「何をする? こんな馬鹿なことするな!」
「あっはは!もしかして真剣に受け取った?」
「っつ」
「洋、心配するなよ。俺は過去からの手紙に縛られているようだ。現に今身体が動かなかった。まるで言霊のようにな。俺は君の部下であり友人だった人間の子孫だ。安心しろ。洋に手を出す気はないよ。たとえ俺好みでも絶対にな」
「……」
その精悍な顔で屈託のない笑顔を向けられると、気恥ずかしくなってしまう。
そういうものなのか……何はともあれ良かった。でもkaiの先祖が、前世の俺と親友だったというのは本当なんだなと実感できた。
ビストロに入り、温かいスープを飲むと頑なになっていた心が解けていく気がした。kaiになら相談しても良さそうだ。
「しかし洋なにか心配事でもありそうな顔だな。さっきから」
「俺さ……さっき丈と喧嘩した」
「なんで?」
「んっ……くだらない俺の嫉妬で」
「ったく! お熱いな。今度二人で俺の実家に来いよ。あの手紙は二人で見るべきだ」
「丈も一緒に? 」
「あぁ当然だよ。丈さんと洋は離れられない縁なんだろ? 前世から手紙が届く程の。早く仲直りしろよ。くだらないことですれ違うのは時間が勿体ないだろ」
「うん、分かった」
ホテルの部屋に戻ったら、丈にすぐに謝ろう。
そして今日は語学学校の課題はやらないで、丈と一緒に眠ろう。
早く丈に会いたくなってきた。
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