重なる月

志生帆 海

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第2章

月輪の約束 5

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 飛行機が次々と流れ星のように夜空に吸い込まれていく。そんな空の下で熱いキスをした。

 最初は触れるようなキス、それからだんだんと深くなっていくキス。腰をキュッと抱かれ引き寄せられて丈の逞しい胸板に密着すると、俺の心臓の激しい音がバレるんじゃないかと、思わず身を引くが許してもらえない。更に口腔内に丈の舌が入りこみ、唇を甘噛みされるとゾクゾクをして、下半身が昂っていく。

「はぅ……はっ」

 躰が熱を持って小刻みに震え出してしまう。

「ふっ……洋、可愛いな」
「丈!もっもう、これ以上は無理だ!」

 いくら暗いからといっても、外だし…人に見られたらと思うと本当に無理だよ。

「洋、ここは異国の地だ。誰も私のことも洋のことも知らないよ」
「そんなっ!」

 丈の胸を押し返そうと力を込めようとした途端、丈が突然キスをやめて、身を離した。

「そういえば……」
「ん?どうしたの?」
「今日、一人で観光や買い物を午後していたんだが不思議なことがあってな」
「何?」
「とりあえずホテルに戻ろう。おいで」

 なんだろう?少し丈の顔色が悪いな。何か嫌な事でもあったのか。

 空港を後に、タクシーで丈が泊まるホテルへ戻った。

「部屋、何階?」
「60階だ」
「それは凄いな!きっと夜景が綺麗だろうね。」

 高層階から見下ろす異国の街のネオンは、日本とは違う色合いでキラキラとカラフルな宝石箱のように輝いて見えた。俺が窓ガラスに張り付いて子供の様に目を輝かせていると、丈がスパークリングワインをグラスに注いでくれる。

「洋、ほら」

 その慣れた仕草に、少しだけ心がもやっとする。

「丈は慣れてるな、そういうの」
「そうか」
「誰かと来たのか、こういう風に……ホテルに」

 気になってつい聞いてしまう自分が女々しく感じて、恥ずかしくなった。一方、丈の方は余裕の笑みを浮かべている。

「気になるのか」
「いや……そういうわけじゃ」
「妬いているのか」
「ち……違うから」

 俺が少し不安を抱くと、丈はまっすぐないつもの優しい穏やかな瞳で見つめてくれる。

「確かにそういう時期もあったが、もう洋としか来ない」
「なっ!丈はどうしていつもそう断言できるんだよっ!俺たちが今後どうなるかなんて分からないのに、どうしてそんなにはっきりと言えるんだ?」
「出来るよ。君は私が探し求めていた人だから……」
「えっ……どういうこと?」

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