運命の紅い糸

谷内 朋

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EXTRA EDITION Ⅲ

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 「両方付けててよくない?」

 讓はその行為を不自然に感じていた。自身のプレゼントを使ってくれるのは嬉しいが、わざわざ結婚指環を外さなくても……あおいが夫の事もちゃんと愛していることを承知しており、何より彼自身が司を人間的に好いているので打ち消すような事はしてほしくないという考えを持っている。

 「今日はあなたとデートしているのよ」

 あおいは空いた左手薬指にファッションリングをはめ直す。

 「でもそこに拘る必要なくない?」

 「私も最初はそう思ってたの。ただコレって司さんの考えなのよ」

 「司さんの?」

 讓は恋人の左手薬指で輝く指環を横目で見る。

 「『讓くんとデートしているのに僕の持ち物を使うのは変』だって」

 「そうかなぁ?」
 
 「『機能上の理由でも僕が元カノのプレゼントを使ってたら嫌じゃないか?』って言われた時は反論できなかったもの」

 あおいはそう言われた当時の事を思い出していた。実際司は彼女との交際を決めた時点でその手のものは全て処分しており、一度ふざけて粗探しをしてみた事があったが結局何も見つけられなかった。

 思い返してみれば彼女自身も前夫からの物は既に手元に無く、逆の立場で考えれば納得できる言い分である。と現在は夫と愛人以外異性からのプレゼントは所持していない状態だ。
 
 「あ~そう言われちゃうと嫌かも。でも司さんの物なら平気だなぁ、僕は」

 「そういうとこ讓くんらしいよね」

 あおいは讓の横顔に笑いかけた。
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