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FIFTH TIME Ⅰ
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それから約一年後、元夫朝比奈誠志朗との離婚が成立して桂木姓に戻ったあおいは、かつて過ごした児童養護施設の職員として二人の子供と共に住み込みで働いている。
離婚についての話し合いの際、元姑の異常な行動を目の当たりにした誠志朗は全面的にあおいの肩を持った。当主である義祖父も、妻と子供を大切にしてこなかった元夫に対し慰謝料と養育費はきちんと支払えと命じた。
元姑は碧が不貞の子だと最後まで反発した。しかし当主は嫁を折檻する言い訳にはならないと突っ撥ね、子供に良くないものを見せてきた責任は重いと拓海の親権もあおいにあると宣言した。
協議離婚中は現役の保育士である大倉るりの助けを借り、故郷に戻ってからは孤児たちとの共同生活ながらも、シングルマザーとして子供二人を育てるのはそれなりに大変だった。
しかし自身をいびり続けてきた元姑も、愛というものを免責付にして支配してきた元夫のいない生活は彼女にとってこの上なく幸せなものだった。
もう結婚なんか面倒臭い……そう思いながらも、頭の片隅には人知れず不倫関係にあった葛城司の存在があった。彼とは連絡先すら交換しないままそれきり会っていない。今頃はきっと奥様と……と割り切ることにして、日々子供たちと向き合う生活を楽しんでいる。
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