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第六話
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次に、僕は沢田昌平に電話をする。
ちょうどお昼時だ。
この時間なら繋がる可能性は大だろう。
三度目のコール音の後、彼は電話に出た。
「もしもし?」
「突然のお電話すいません。僕は斎藤秀二と言います。お父さんの件で、ご連絡させていただきました」
「お父さん?」
「斎藤健吾です」
「あー、健吾ね?うん。仲良くしてたよ」
「ちょっと聞きたい事があるんです。少しお会いできないでしょうか?」
「あぁ、いーよ。明日はどう?」
「何時くらいですか?」
「昼時なら」
「いつでも構いません。明日、昼時に伺います」
僕は電話を切った。
ーー明日、昼頃ーー沢田昌平。
彼が父を殺した犯人かも知れない。僕はまた自分の死をイメージした。
メモ帳には、沢田昌平との約束を、力強くメモをした。
僕に、何かがあれば警察が動いてくれる様に祈りを込めて。
その日。
僕はまた夢を見た。
もはや、悪夢としか言い様のない夢だった。
夢の中で、父が普通に僕の誕生日を祝ってくれているのだ。
だが、夢の途中で、父の顔は崩れていく。
原形を留めない液体と化すまで、時間はかからなかった。
「今度はお前だ」
そんな声が聞こえた。
一体誰のものなのか?わからない声。
そんな夢を繰り返し見続けて、おかしくなりそうだ。
眠っていたはずなのに、悲鳴とも呼べる様な叫び声をあげ、僕は飛び起きた。
大汗をかき涙を流しながらーー。
そのまま、僕は朝が来るまで眠りつけないまま、起きてしまった。
いつもの朝がそこにあった。
しかし、そこに父はいないーー。
もう時期、49日を迎えると言うのに、未だに父が死んだと言う自覚が持てなくて、まだどこかで父が笑っていそうだと思ってしまう。
いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますと、10時を回っていた。
「やばっ。起きなきゃ」
僕は飛び起きる。
ーー沢田昌平。
彼が父を殺した犯人なのだろうか?
沢田昌平と言う人物に、会う前から僕はそんな事を考えてしまった。
足がすくむ。
彼に会いに行こうとする足が重たく感じた。
約束の場所。
近くの喫茶店だ。
彼はちゃんと来てくれるだろうか?
待ち合わせしている旨を、店員に伝えて僕は椅子に座り、コーヒーを頼んだ。
「こんばんは」
そう、声をかけられたのは、髪が少し淋しくなっておでこが出ている人だった。
「こんばんは。あなたが昌平さんですか?」
僕はイスから立ちあがり聞いた。
「そうです。それじゃ、君が秀二くんですか?
」
「はい」
僕は笑った。
その笑顔は、あの悪夢のせいで少しひきつっていたのかも知れなかった。
丸いテーブルを囲むように、僕の正面に彼も座った。
「アイスコーヒー1つ」と注文する。
「ところで、健吾の話って言うのは?」
「はい。一ヶ月前。父はなくなりました」
「ーー死んだ?健吾が?」
「はい。残念ですが、、」
「信じられないな」
ちょうどお昼時だ。
この時間なら繋がる可能性は大だろう。
三度目のコール音の後、彼は電話に出た。
「もしもし?」
「突然のお電話すいません。僕は斎藤秀二と言います。お父さんの件で、ご連絡させていただきました」
「お父さん?」
「斎藤健吾です」
「あー、健吾ね?うん。仲良くしてたよ」
「ちょっと聞きたい事があるんです。少しお会いできないでしょうか?」
「あぁ、いーよ。明日はどう?」
「何時くらいですか?」
「昼時なら」
「いつでも構いません。明日、昼時に伺います」
僕は電話を切った。
ーー明日、昼頃ーー沢田昌平。
彼が父を殺した犯人かも知れない。僕はまた自分の死をイメージした。
メモ帳には、沢田昌平との約束を、力強くメモをした。
僕に、何かがあれば警察が動いてくれる様に祈りを込めて。
その日。
僕はまた夢を見た。
もはや、悪夢としか言い様のない夢だった。
夢の中で、父が普通に僕の誕生日を祝ってくれているのだ。
だが、夢の途中で、父の顔は崩れていく。
原形を留めない液体と化すまで、時間はかからなかった。
「今度はお前だ」
そんな声が聞こえた。
一体誰のものなのか?わからない声。
そんな夢を繰り返し見続けて、おかしくなりそうだ。
眠っていたはずなのに、悲鳴とも呼べる様な叫び声をあげ、僕は飛び起きた。
大汗をかき涙を流しながらーー。
そのまま、僕は朝が来るまで眠りつけないまま、起きてしまった。
いつもの朝がそこにあった。
しかし、そこに父はいないーー。
もう時期、49日を迎えると言うのに、未だに父が死んだと言う自覚が持てなくて、まだどこかで父が笑っていそうだと思ってしまう。
いつの間にか眠っていたらしく、目を覚ますと、10時を回っていた。
「やばっ。起きなきゃ」
僕は飛び起きる。
ーー沢田昌平。
彼が父を殺した犯人なのだろうか?
沢田昌平と言う人物に、会う前から僕はそんな事を考えてしまった。
足がすくむ。
彼に会いに行こうとする足が重たく感じた。
約束の場所。
近くの喫茶店だ。
彼はちゃんと来てくれるだろうか?
待ち合わせしている旨を、店員に伝えて僕は椅子に座り、コーヒーを頼んだ。
「こんばんは」
そう、声をかけられたのは、髪が少し淋しくなっておでこが出ている人だった。
「こんばんは。あなたが昌平さんですか?」
僕はイスから立ちあがり聞いた。
「そうです。それじゃ、君が秀二くんですか?
」
「はい」
僕は笑った。
その笑顔は、あの悪夢のせいで少しひきつっていたのかも知れなかった。
丸いテーブルを囲むように、僕の正面に彼も座った。
「アイスコーヒー1つ」と注文する。
「ところで、健吾の話って言うのは?」
「はい。一ヶ月前。父はなくなりました」
「ーー死んだ?健吾が?」
「はい。残念ですが、、」
「信じられないな」
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