経歴。

事情聴取

「ーーそれで、あなたはなぜあんな場所にいたんですか？」

ーーなぜって？？連れて行かれたんだよ。とか思いながら、事情を説明した。

まず、歩道の上で男に押し退けられ、別の女性にぶつかってしまった事。
その女性の連れに見える男が強面で、謝ったのにあの場所へ連れていかれたこと。
名前を聞かれ、お互いに名前を知った事。
ーー後はよろしく、と言われた事。。

「ーーその男の名前は？」

「確か、山瀬弘之、って言ってたと思いますけど。。？」

自信なさげに翔太は答える。

「調べてみましょう」

そんな話をしていると、他の刑事がきた。

「先輩、被害者の治療が終わり、もう話せるそうです。話、聞きに行きましょう」

「わかった」

先輩と呼ばれた刑事は、俺に向き直り軽く頭を下げると言った。

「今日のところは帰ってもらって結構ですよ！！」

二人の刑事は夕焼けに染まっていく街の中に、飲み込まれるようにして消えていった。

車が溢れているこの時代に、この刑事たちは歩いていく。
その姿にどこか違和感さえ覚えながら。。

ーーとりあえず帰ろう。。

「ただいま」
そう言ってみても、誰からの返事もない。
一人暮らしだから当然か。。

家に帰って、電気を付ける。

沢山の「空しさ」や「侘しさ」が心の中に降り続く。
そして俺自身が今「孤独」である事を実感する。。