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第4章
29話
しおりを挟むミネア達は王都リリンを離れジュナイズ山脈へと向かって進んでいた。
ジュナイズ山脈は三国の上部に位置するが実際に山脈へと続く道が通っているのは隣国テスカルトだけであった。その為遠回りになるが一度北上し、テスカルトへ抜けてからジュナイズ山脈へ向かわなくてはならない。
王宮で討伐隊が集まり今後の説明を受けた際に順路についても説明があった。
ミネアはマクスから出た事がないので説明されてもチンプンカンプンだったが、周りは他に良い道は無いのかと話していたので余り良い順路では無いのだろう。
それでもこの順路が最短だそうだ。
そして、順調に進めたとしてもかなりの時間は要するだろうと話していた。
まぁ、元々討伐隊の予定は一年を目処と言われていたので余裕を持って行っても良いのだろうがどの位討伐に時間がかかるか分からない中で行きに時間を割きたくは無いのだろう。
ミネア達の隊は後方に配置された。
多分女性がいるからゆっくり進める様にと配慮されたのだろう。
「ふぅ、ここまで来るとだいぶ風景も変わるものねー。それにしても平和ね…とても魔物討伐に出たとは思えないわね…」
ポーネリアは馴染みのない風景に辺りを見渡しながらミネアと並んで歩いていた。
確かに王都からだいぶ離れて、幾日も野営をし進んできたが魔物に出会ったのは一回も無かった。
「そうですね、ここまで平和だと本当に魔物退治が必要なのか分かりませんね。」
「まったく、何呑気な事言ってんだ。実際に遭遇してないだけで魔物は増えてるんだぞ!しっかり気を引き締めておかないといつ遭遇するか分からないぞ!」
うっ、アランに怒られてしまった。
「まぁまぁ、ミネアさんにリアは隊に参加する事が初めてですし慣れない事ばかりでしょうからね。ここからが本番と思ってあげて下さい。
あっ、そうそう。そんなお二人に朗報ですよ。今日の夜は野営をしなくて済みそう何です」
リザルドがニコッと笑みを浮かべながらアランの後ろから現れた。
「うそ!!リザルドその話は本当なの?!」
ポーネリアは目を輝かせてミネアの手を取るとやったわーとクルクルと回って喜んだ。
流石のミネアも少しホッとした。
いくら庶民育ちといえど幾日も続けて野営するのにはまだ慣れない。
ポーネリアも文句一つ言わないが公爵令嬢がずっと野営ってのはミネアより遥かに疲れるだろう。
と言うか何故公爵令嬢でありながらこんなにワイルドなんだろうか。普通野営なんて出来るはずもないが…
それに、私が人にも旅にも慣れてないのを察してからか、ポーネリアは王都を出てからずっとミネアの事を気遣ってくれている。
今日くらいは私に気を使わず、屋根の下でゆっくりして欲しい。
「あの、リザルドそれで今日はどちらに泊まるんでしょうか?」
目的地があるなら早く向かうに越した事はない。
「少し先にあるアルバスと言う小さな町ですがそこの長が宿屋を討伐隊に開放してくれているんです。」
「アルバスね‼︎よし、ミネアちゃん何ちんたら歩いてるのよ!さっさと行くわよー!!」
急にやる気に満ちた公爵令嬢さま、、
やっぱりリアさんも野営ばかりは辛かったんですね。
「ふふ、女性陣のやる気が満ちてますね。私達も久しぶりに屋根のある所でゆっくり出来ますね」
「あぁ、俺たちも野営続きは堪えるが女性の身では尚更大変だろうからな。皆一旦体を休める時間が必要だろう、行くか。」
アランとリザルドもミネア達の後を追いかけてアルバスへと向かった。
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