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第4章
28話
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遂に出発の日、ミネアはスザンナ達にお世話になったお礼を告げ出発式に向かった。
広い庭には十数名の騎士がおり、その中にはアランやリザルド、ミネアの家で一緒だったジュード、アルバード、ブランもいた。
「おはようございます。今日からよろしくお願いします。」
「ミネアちゃん久しぶりだね!こっちこそよろしく頼むね!」
今日も元気いっぱいなブランがまず先に答える。
「ミネアはうちらの隊に入るからそのつもりで。あっ、メンバーは前に世話になった物達に後一人いるんだが…まだ来てないようだな」
アランが辺りを見回しながら説明する。
誰かを探しているみたいだ。
「おっ、来た来た!ポーネリアこっちだ!」
ポーネリア?
呼ばれた方を見るとこちらに向かってくる人は紛れもなく女性だった。
「えっ?!私の他にも女の方がいらっしゃったんですか?」
「ああ、彼女は…」
「まあ、まあ、何て可愛らしい方なの!!本当に彼女が例の魔女なのですか?!信じられないわ!!
あっ、私はポーネリア・リンドバーグと申します。どうぞリアとお呼びくださいな。」
ハイテンションで手を握られブンブン振られた。
「あ、私はミ、ミネアと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「ミネアちゃんですね。もぉ!!そんなに畏まらなくてもいいのよ。さあ、力を抜いて、リラッークス、、」
「おい!!ポーネリア、ミネアが脅えてるぞ、お前こそ少しは落ち着け!」
「あら、私とした事が。つい可愛いもんだから興奮してしまいましたわ」
恥ずかしい。とばかりに顔を覆う仕草を見せたが直ぐに手を外しミネアの手を再度取るとギュッと握りしめる。
「ごめんなさいね、ミネアちゃん。怖がらないで、私嬉しくって。討伐って男だけだと思ってたから女の子がいた事が嬉しかったの。これから仲良くして下さいな」
ニコっと微笑むポーネリアに思わず見惚れてしまった。
可愛いより明らかに綺麗が似合う大人な女性といった感じだった。
「こちらこそ、私も一人だと思ってましたのでポーネリアさんとご一緒出来て嬉しいです。」
「リア、、ミネアちゃんもリアって呼んで頂戴!!それに私もミネアちゃんも硬い言葉は無しですわ!」
「は、はい。リアさんよろしくお願いします」
うんうん、最近人との距離を縮め始めた私にはこれが精一杯のフレンドリーです。
「そう言えばリザルドはいないの?」
「あぁ、先程までここにいたんだがな…」
「そうなんですの、挨拶にと思いましたのに残念って、あら、出発式が始まりますわ!!ミネアちゃん行きましょう」
ポーネリアに手を引かれて半ば強引に連れて行かれる。
「すまんな、リアはいつもあんな感じなんだ。少し落ち着きにかけると言うか、積極的過ぎると言うか…彼女も公爵令嬢なんだからもう少し淑女らしくしても良いんだけどな」
諦めろと言う顔で後ろについて行っているミネアを見る。
ポーネリアをリアと愛称で呼ぶその話ぶりはとても仲が良さそうだった。
「あの、お二人は…どわっ」
いきなりポーネリアが立ち止まったので思わずぶつかってしまった。
「す、すみません。リアさん大丈夫でした、か、、わぁ、凄い人…」
出発式の会場となる広場には既に大勢の人が集まっていた。
こんなに大勢の人に見守られて出発するなんて…私耐えられるかしら。
グッとフードを持つ手に力をいれ深く被り直した。間違ってもここでフードが取れたら大変な事になる。
アランは出発式で公表しようと言ってくれたが、ミネアは断った。
なんの成果もないのに魔女が一緒に行きます。なんて公表したらそれこそ国民は不安に思ってしまうだろう。
私たちの国を滅ぼす気か!とかね…
なので、公表する時は討伐が無事に終わり全てを成し遂げてからにして欲しいと頼んだのだ。
出発式には5~10人で編成されている隊が4つある。中には騎士だけでなく王宮の魔術を管理する部署の人や、研究者であろう人も討伐に参加していた。
ふと前を見ると、そこには国王が演説をする玉座があり、玉座の前には既に宰相などが立ち並んでいた。もちろんそこには法王もいた。
ミネアは直感的に法王を見つけるとサッと隠れるように列に加わった。
悪い事はしてないけど、やっぱり法王様の目が怖い。こっちを見てる気がするんですけど…
しばらくすると国王が姿を現し、いよいよ出発式が始まった。
「さあ、待ちわびた討伐への出発の時がきた。皆、ここにいる者達に我が国の命運を委ね様ではないか!」
話が始まると国民は沸き歓声を上げた。
「討伐隊の幸運を祈る!!」
国王の言葉にビシっ、と騎士達が一斉に敬礼をする。
えっえっ?!どうすればいいの??
ミネアはどう行動すれば良いか分からず戸惑っていると前にいたポーネリアがスカートの裾を持ち略式の礼をとった。
そうか、なら私も…
ミネアも見習い略式の礼をとる。
はぁ、リアさんがいて良かった。
やっぱり公爵令嬢ってだけあって所作や礼儀などは完璧なんですね。
そりゃそうですよね、公爵令嬢って事は王族との婚約者候補に絶対名前があがりますもんね…あれ?何だろう、、何か、、
「おい、ミネア俺たちの番だ。行くぞ!」
顔を上げるといつの間にか自分たちの出発の順番が来ていた。
何を考えていたんだろう。
一瞬トリップしていたような…
ううん、そんな事は今はどうでもいい。
「はい、行きます!」
ミネアは沢山の人に見送られながら王宮を出発し、いざ魔物討伐へと向かった。
勿論そこに聖女様の姿はありませんでした。
広い庭には十数名の騎士がおり、その中にはアランやリザルド、ミネアの家で一緒だったジュード、アルバード、ブランもいた。
「おはようございます。今日からよろしくお願いします。」
「ミネアちゃん久しぶりだね!こっちこそよろしく頼むね!」
今日も元気いっぱいなブランがまず先に答える。
「ミネアはうちらの隊に入るからそのつもりで。あっ、メンバーは前に世話になった物達に後一人いるんだが…まだ来てないようだな」
アランが辺りを見回しながら説明する。
誰かを探しているみたいだ。
「おっ、来た来た!ポーネリアこっちだ!」
ポーネリア?
呼ばれた方を見るとこちらに向かってくる人は紛れもなく女性だった。
「えっ?!私の他にも女の方がいらっしゃったんですか?」
「ああ、彼女は…」
「まあ、まあ、何て可愛らしい方なの!!本当に彼女が例の魔女なのですか?!信じられないわ!!
あっ、私はポーネリア・リンドバーグと申します。どうぞリアとお呼びくださいな。」
ハイテンションで手を握られブンブン振られた。
「あ、私はミ、ミネアと申します。どうぞよろしくお願い致します」
「ミネアちゃんですね。もぉ!!そんなに畏まらなくてもいいのよ。さあ、力を抜いて、リラッークス、、」
「おい!!ポーネリア、ミネアが脅えてるぞ、お前こそ少しは落ち着け!」
「あら、私とした事が。つい可愛いもんだから興奮してしまいましたわ」
恥ずかしい。とばかりに顔を覆う仕草を見せたが直ぐに手を外しミネアの手を再度取るとギュッと握りしめる。
「ごめんなさいね、ミネアちゃん。怖がらないで、私嬉しくって。討伐って男だけだと思ってたから女の子がいた事が嬉しかったの。これから仲良くして下さいな」
ニコっと微笑むポーネリアに思わず見惚れてしまった。
可愛いより明らかに綺麗が似合う大人な女性といった感じだった。
「こちらこそ、私も一人だと思ってましたのでポーネリアさんとご一緒出来て嬉しいです。」
「リア、、ミネアちゃんもリアって呼んで頂戴!!それに私もミネアちゃんも硬い言葉は無しですわ!」
「は、はい。リアさんよろしくお願いします」
うんうん、最近人との距離を縮め始めた私にはこれが精一杯のフレンドリーです。
「そう言えばリザルドはいないの?」
「あぁ、先程までここにいたんだがな…」
「そうなんですの、挨拶にと思いましたのに残念って、あら、出発式が始まりますわ!!ミネアちゃん行きましょう」
ポーネリアに手を引かれて半ば強引に連れて行かれる。
「すまんな、リアはいつもあんな感じなんだ。少し落ち着きにかけると言うか、積極的過ぎると言うか…彼女も公爵令嬢なんだからもう少し淑女らしくしても良いんだけどな」
諦めろと言う顔で後ろについて行っているミネアを見る。
ポーネリアをリアと愛称で呼ぶその話ぶりはとても仲が良さそうだった。
「あの、お二人は…どわっ」
いきなりポーネリアが立ち止まったので思わずぶつかってしまった。
「す、すみません。リアさん大丈夫でした、か、、わぁ、凄い人…」
出発式の会場となる広場には既に大勢の人が集まっていた。
こんなに大勢の人に見守られて出発するなんて…私耐えられるかしら。
グッとフードを持つ手に力をいれ深く被り直した。間違ってもここでフードが取れたら大変な事になる。
アランは出発式で公表しようと言ってくれたが、ミネアは断った。
なんの成果もないのに魔女が一緒に行きます。なんて公表したらそれこそ国民は不安に思ってしまうだろう。
私たちの国を滅ぼす気か!とかね…
なので、公表する時は討伐が無事に終わり全てを成し遂げてからにして欲しいと頼んだのだ。
出発式には5~10人で編成されている隊が4つある。中には騎士だけでなく王宮の魔術を管理する部署の人や、研究者であろう人も討伐に参加していた。
ふと前を見ると、そこには国王が演説をする玉座があり、玉座の前には既に宰相などが立ち並んでいた。もちろんそこには法王もいた。
ミネアは直感的に法王を見つけるとサッと隠れるように列に加わった。
悪い事はしてないけど、やっぱり法王様の目が怖い。こっちを見てる気がするんですけど…
しばらくすると国王が姿を現し、いよいよ出発式が始まった。
「さあ、待ちわびた討伐への出発の時がきた。皆、ここにいる者達に我が国の命運を委ね様ではないか!」
話が始まると国民は沸き歓声を上げた。
「討伐隊の幸運を祈る!!」
国王の言葉にビシっ、と騎士達が一斉に敬礼をする。
えっえっ?!どうすればいいの??
ミネアはどう行動すれば良いか分からず戸惑っていると前にいたポーネリアがスカートの裾を持ち略式の礼をとった。
そうか、なら私も…
ミネアも見習い略式の礼をとる。
はぁ、リアさんがいて良かった。
やっぱり公爵令嬢ってだけあって所作や礼儀などは完璧なんですね。
そりゃそうですよね、公爵令嬢って事は王族との婚約者候補に絶対名前があがりますもんね…あれ?何だろう、、何か、、
「おい、ミネア俺たちの番だ。行くぞ!」
顔を上げるといつの間にか自分たちの出発の順番が来ていた。
何を考えていたんだろう。
一瞬トリップしていたような…
ううん、そんな事は今はどうでもいい。
「はい、行きます!」
ミネアは沢山の人に見送られながら王宮を出発し、いざ魔物討伐へと向かった。
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