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第1章
9話
しおりを挟むサラマンダー討伐から3日が経った。
未だにジュードは眠ったままだ。一応栄養剤は欠かさず毎日アランが飲ませているのでそのうち回復はするだろう。
一方庭ではアラン達が剣の稽古をしたり、森へ討伐に入ったりして日々を過ごしていた。
たまにアランがふとミネアの元に来ては魔法を見せてくれだの言うので薬草の調合を見せたり、闇魔法以外の魔法も使って見せたりしていた。
「私が使える魔法はこれが全てです。闇魔法以外は本当に必要最低限しか使えないのであまり参考にはならないかと思いますよ。」
最近になり、アランが魔法を見た後にいつも何かを考える様な素振りを見せる。
何か気になることでもあるのかと思ったが私が使える魔法はある程度見せ尽くしているのでこれ以上は何もない。
「いや、だいぶ参考になったよ」
ニコッと笑ったかと思うとまた思案顔になりアランは手をヒラヒラと振ってリザルドの方へ向かって行った。
ー
ーー
それから数時間して、ジュードが目を覚ました。
「ここは?君は?」
記憶喪失者の様な発言をし、ジュードは辺りを見回した。
そりゃ見覚えのない部屋に知らない人がいたらそうなるよね。
「ここはマクス街から少し離れた所にある場所です。私はミネアと申します。外にアラン達が居ますので呼んできますね。」
ミネアは座ってた椅子を立ち、アラン達を呼びに行った。
バタバタバタ!!
「ジュード大丈夫か?!」
アランが興奮気味に声をかける。
「皆んな、すみませんでした!僕が油断したばかりにこんなに迷惑をかけてしまって。」
少し涙ぐみながらジュードは深く頭を下げた。
ポンポンとアランが肩を叩く。
「俺たちは大丈夫だ。ジュードが無事でいてくれて良かったよ」
「うっ、アラン…」
何だろう。少し感動してしまった。
うんうん、本当に回復してくれて良かったよ。
ミネアは後ろで見守りながら熱くなった目頭を押さえて涙を拭いた。
「これ、どーぞ。ホットミルクです。中にコカの蜜を入れてありますので体にいいですよ。」
コカの蜜は滋養強壮の効果があり、似たような効果を持つ蜂蜜より入手が簡単な花の蜜だ。
「あぁ、ありがとうございます。えっとミネアさんで合ってますか?」
子犬のような顔をしたジュードがホットミルクを片手にミネアを見つめる。
「この度はご迷惑をおかけしました。ベットもずっと占領してしまって…」
ジュードが申し訳なさそうに下をむく。
「いえいえ、顔を上げてください。私はそれ程してませんので、それより回復されて良かったです。」
何故だろう…ジュードが申し訳なさそうにすると垂れた耳と尻尾が見える気がする…
良かった。と言うようにジュードが顔をあげ、よっ。っとゆっくりとベットから降り足の感触を確かめ始めた。
「ジュード様その、お体は本当に大丈夫何ですか?」
ずっと寝たきりだったのに起きて直ぐに動くのは正直不安でしかない。
あたふたとジュードに問いかければ、
「いてて、少し痛いですがこれでも王宮騎士団員ですので多少は耐性があるんで大丈夫ですよ」
ニコッと子犬笑顔で返されてしまった。
その日の夜、コンコンと部屋をノックする音がしてドアを開けるとそこにはアランがいた。
「遅くにすまない。全快ではないがジュードが動けるようになったと言っていてな、こっちとしては早急に王宮へ戻り報告したい事が出来た。本来なら直ぐにでも出発したいが後2日くらいは様子を見てから出発しようと思っている。お前には色々世話になったな。後2日よろしく頼むよ」
ペコっとお辞儀をされミネアはいえいえ、と恐縮しながら両手を前で振った。
「私も皆さんと過ごせて楽しかったので気にしないで下さい。後、2日あるんですよね?ならジュード様の回帰祝いも兼ねて最後の日はうんとご馳走を作りますね!」
「ああ、楽しみにしている」
アランは気合い十分のミネアを見てクスっと笑うとミネアも釣られてクスっと笑い合った。
「あぁ、忘れてた。こんな物しかなかったが、これ今回の礼だ。」
ポンと手渡してくれたのはお茶の茶葉を包んだ袋だった。
袋からはとてもいい香りがしてくる。
「貰っていいの?ありがとう。こちらこそ、もう少しよろしくね。」
「あぁ、頼むな。遅くにすまなかったな。ゆっくり休んでくれ。」
アランはおやすみと伝えるとその場を後にした。
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