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止まぬ雨
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ポツリポツリと、雨が地を打つ音がする。
──ハーミヤ様。
意識の外で穏やかな、だけど少し心配しているような声が聞こえてきた。
その声に導かれるようにして、ハーミヤは夢から現実へと戻ってきた。
ガラガラと、石畳の上を走る車輪の音が絶えず聞こえてくる。
目を開けるとそこは薄暗い馬車の中で、正面には心配そうにこちらを見つめるルドルフが座っていた。
ぼんやりとした頭で必死に考えて、公務終わりの馬車の中でうたた寝してしまったことを思い出した。
王女たる自分がこんなことではいけない。そう思い目を閉じた瞬間、ハーミヤの頬を冷たいものが流れていった。
驚いている暇もなく、涙は止めどなく溢れてはドレスにシミを作る。
ルドルフの心配そうな表情はこれが理由だったらしい。
自分が泣いていると気付いた瞬間、理由などわからないがただただ切なくて淋しいという思いがハーミヤを襲った。
目の前でルドルフが何事か口を開きかけたのを見て、ハーミヤは慌てて声を上げた。
「ごめんなさい、寝惚けてしまっただけなの。なんでもありません」
ルドルフはハーミヤの言葉に口を噤んだ。
納得はできなくても、ハーミヤにそう言われれば彼は言葉を紡ぐことなどできないのだ。
また妙な夢を見ていた気がするのだが、やはり夢の内容は全く思い出せない。
ただ感情だけが自分の中に残っていて、頭の理解が全く追いつかないのだ。
少ししてようやく涙が収まると、ハーミヤは再びごめんなさい、と口にした。
ルドルフはそれに首を振った。
「きっとお疲れなのです。私のことはお気になさらないでください」
ハーミヤはそれに思わず笑みを浮かべてしまった。
「貴方はいつも私が欲しいと思う言葉をくれるのですね。あまり甘やかさないでください」
「私はただ心配なのです。この頃は食事の最中にも瞼を擦っていらっしゃる。体調が優れないのではないかと」
そう言葉にしたルドルフの目は憂いを帯びていた。
その目を正面から見ることができずに、ハーミヤは僅かに視線を下へと向けた。
「確かに最近は昼も夜も関係なく睡魔に襲われていますが、それは公務が忙しいだけですから」
ルドルフはその答えに悲しそうな顔をした。
嘘は言っていないが、本当でもない。
香鶯祭から既にひと月が過ぎた。王国は長雨に悩まされており、雨季でもないのに降り止まぬ雨は、既に農作物に影響を及ぼし、不作が懸念される事態となった。
そんな折ハーミヤがしていることといえば、各地の状況を王族である彼女自身が見聞し民に寄り添うことと、神殿で神に祈りを捧げることだった。
確かに忙しい毎日を過ごしてはいるが、こんな風に時間も状況も関係なく眠ってしまうことなど今まで一度もなかった。そしてそういう時は決まって妙な夢を見る。
思い返してみると、おかしな夢を見始めたのは疫病に掛かって生死の境を彷徨ってからだった。
もしかしたらあの病で高熱にうなされたことが原因で、幻覚のようなものを見ているのだろうか。それが今も後遺症として残っているからおかしな夢を見るのかもしれない。
そこまで考えてハーミヤは叱咤するように自らの頬を叩いた。
もしそうだとしてもこれは単なる憶測に過ぎないし、ただでさえ忙しいこの時期に自分のことで周囲に心配を掛けるのは嫌だった。そう思うとどうしても、他の誰かに相談する気にはなれなかった。
ただ最近は毎日のように見るので、おかしいとは思っていたが。
そんなことを考えていると不意にガツン、と何かがぶつかるような音がした。
それから間を置かずに馬車が大きく縦に揺れる。
突然のことにハーミヤは小さな悲鳴を漏らした。そして受け身も取れずに座席から前へと倒れ込む。
しかし床へと打ち付けられるより速く、ルドルフがハーミヤを抱きとめていた。
「あ、ありが……」
礼を言おうと顔を上げたハーミヤは、ルドルフの熱を帯びた視線に言葉を詰まらせた。
触れた腕から熱が全身に巡る。目を逸らすこともできずに、ハーミヤは顔を赤くした。
しかしその様子に気が付いたルドルフは、サッと自らの手を引いた。
それからいつも通りの彼に戻って声を掛ける。
「お怪我はありませんか、ハーミヤ様」
「は、はい……」
いつも通りの穏やかな笑み。いつも通りの優しい言葉。上がった熱が一気に冷めていくのがわかる。自分は一体、何を期待していたのだろう。
ハーミヤが座席に座り直すと、慌てた様子の馭者が案ずる声を掛けた。
「申し訳ありません、殿下。石を踏んでしまったようで。大丈夫ですか?」
「私なら大丈夫です。気にしないでください」
ハーミヤは馭者に聞こえるように大きな声で答えると、窓に付けられた紅いカーテンを開けた。
今はルドルフの顔を見たくなかった。
灰色の空から絶え間なく降る雨がなんだが自分の心みたいだと、ハーミヤは悲嘆した。
馬車が城へと到着すると、門の前は大勢の兵で埋め尽くされていた。
彼らの手には剣や槍などの武器の代わりに、ロープやスコップといった掘削道具が握られている。
ハーミヤはルドルフの手を借りて馬車から降りると、近くにいた兵に声を掛けた。
「これは一体なんの集まりですか? 何かあったのですか?」
兵は敬礼すると、険しい表情で答えた。
「先刻レーヌ川が決壊し、南の街ポートネールが浸水被害に見舞われたのだそうです。我々はこれよりその救援に向かうよう陛下の命を受けています」
ハーミヤは悄然として俯いた。
「そんな、ポートネールが……。でもあの辺りは新たに治水工事をしたばかりなのに……」
「しかし現地では、それを上回るほどの雨が降ったんだ」
突然浴びせられたその声に、ハーミヤは顔を上げた。
すると目の前の人垣が二つに割れて、馬に乗ったランズールが進み出てきた。
雨除けのマントを被ったランズールの表情は厳しいものだった。
「王太子殿下自ら行かれるのですか?」
ルドルフの問いにランズールは頷いた。
「各地で様々な異常気象が起こっているゆえ、人員が足りないんだ。陛下には王都で指示を出して頂かねばならないしな」
「各地で異常気象……? 一体どういうことですか?」
ハーミヤは堪らず不安そうな声を上げた。
しかしそれをランズールは窘めた。
「兵がいる前で不安そうな声を出すんじゃない」
「申し訳ありません」
見る間に小さくなるハーミヤの姿に、なぜかランズールも落ち込んだような顔をした。
「それより、お前は早く城へ戻れ。風邪を引くぞ」
「ですが……」
ハーミヤはその場から動こうとしなかった。
ポートネールへの救援活動が危険を伴うものだと理解しているからだ。
ランズールはハーミヤの頭に手を乗せて、力強い笑みを浮かべた。
「ルドルフ」
「はい」
呼ばれたルドルフは渋るハーミヤの背を押した。
「参りましょう、ハーミヤ様」
「っ、お兄様、どうかご無事で」
ハーミヤは馬上の兄に今にも泣き出しそうな顔でそう呼び掛けた。
「まったく、毅然とした態度でいろと言ったばかりだというのに」
遠ざかっていく二人の背中を見つめながらランズールは独りごちた。
ランズールが城から背を向けるように馬首を巡らせようとした時、城の方から駆けてくる貴婦人の姿が目に入った。
雨よけのフードを被ったその女性は、一直線にランズールの元へと駆けてくる。
ランズールは馬から降りて、最愛の人を迎えた。
「風邪を引くぞ、クレア」
「せっかくお見送りに来たのですから、もっと喜んでくれてもいいではありませんか」
クレアはまるで子供のように頬を膨らませて非難した。
美しく着こなしたドレスは水飛沫で裾を濡らし、綺麗に巻いた髪も乱れてしまっていた。
ランズールがジッと顔を見つめると、クレアは僅かに赤面し、必死に髪を直そうとした。
しかしランズールはその手を捕まえて、自分の方に引き寄せた。するとクレアの体はすっぽりランズールの元へ収まってしまった。
クレアは僅かに驚いた表情をした後、しっかりと彼の背中に腕を回した。
弾みでフードが脱げて雨に濡れるが、それも彼女は気に留めなかった。
「少しの間、留守にする」
「……ポートネールは海に近い街。風が強くなれば高波の危険もあります。どうか、お気をつけて」
「ああ、必ずお前の待つこの城へ帰ってくる」
二人は穏やかな表情で、別れを告げた。
──ハーミヤ様。
意識の外で穏やかな、だけど少し心配しているような声が聞こえてきた。
その声に導かれるようにして、ハーミヤは夢から現実へと戻ってきた。
ガラガラと、石畳の上を走る車輪の音が絶えず聞こえてくる。
目を開けるとそこは薄暗い馬車の中で、正面には心配そうにこちらを見つめるルドルフが座っていた。
ぼんやりとした頭で必死に考えて、公務終わりの馬車の中でうたた寝してしまったことを思い出した。
王女たる自分がこんなことではいけない。そう思い目を閉じた瞬間、ハーミヤの頬を冷たいものが流れていった。
驚いている暇もなく、涙は止めどなく溢れてはドレスにシミを作る。
ルドルフの心配そうな表情はこれが理由だったらしい。
自分が泣いていると気付いた瞬間、理由などわからないがただただ切なくて淋しいという思いがハーミヤを襲った。
目の前でルドルフが何事か口を開きかけたのを見て、ハーミヤは慌てて声を上げた。
「ごめんなさい、寝惚けてしまっただけなの。なんでもありません」
ルドルフはハーミヤの言葉に口を噤んだ。
納得はできなくても、ハーミヤにそう言われれば彼は言葉を紡ぐことなどできないのだ。
また妙な夢を見ていた気がするのだが、やはり夢の内容は全く思い出せない。
ただ感情だけが自分の中に残っていて、頭の理解が全く追いつかないのだ。
少ししてようやく涙が収まると、ハーミヤは再びごめんなさい、と口にした。
ルドルフはそれに首を振った。
「きっとお疲れなのです。私のことはお気になさらないでください」
ハーミヤはそれに思わず笑みを浮かべてしまった。
「貴方はいつも私が欲しいと思う言葉をくれるのですね。あまり甘やかさないでください」
「私はただ心配なのです。この頃は食事の最中にも瞼を擦っていらっしゃる。体調が優れないのではないかと」
そう言葉にしたルドルフの目は憂いを帯びていた。
その目を正面から見ることができずに、ハーミヤは僅かに視線を下へと向けた。
「確かに最近は昼も夜も関係なく睡魔に襲われていますが、それは公務が忙しいだけですから」
ルドルフはその答えに悲しそうな顔をした。
嘘は言っていないが、本当でもない。
香鶯祭から既にひと月が過ぎた。王国は長雨に悩まされており、雨季でもないのに降り止まぬ雨は、既に農作物に影響を及ぼし、不作が懸念される事態となった。
そんな折ハーミヤがしていることといえば、各地の状況を王族である彼女自身が見聞し民に寄り添うことと、神殿で神に祈りを捧げることだった。
確かに忙しい毎日を過ごしてはいるが、こんな風に時間も状況も関係なく眠ってしまうことなど今まで一度もなかった。そしてそういう時は決まって妙な夢を見る。
思い返してみると、おかしな夢を見始めたのは疫病に掛かって生死の境を彷徨ってからだった。
もしかしたらあの病で高熱にうなされたことが原因で、幻覚のようなものを見ているのだろうか。それが今も後遺症として残っているからおかしな夢を見るのかもしれない。
そこまで考えてハーミヤは叱咤するように自らの頬を叩いた。
もしそうだとしてもこれは単なる憶測に過ぎないし、ただでさえ忙しいこの時期に自分のことで周囲に心配を掛けるのは嫌だった。そう思うとどうしても、他の誰かに相談する気にはなれなかった。
ただ最近は毎日のように見るので、おかしいとは思っていたが。
そんなことを考えていると不意にガツン、と何かがぶつかるような音がした。
それから間を置かずに馬車が大きく縦に揺れる。
突然のことにハーミヤは小さな悲鳴を漏らした。そして受け身も取れずに座席から前へと倒れ込む。
しかし床へと打ち付けられるより速く、ルドルフがハーミヤを抱きとめていた。
「あ、ありが……」
礼を言おうと顔を上げたハーミヤは、ルドルフの熱を帯びた視線に言葉を詰まらせた。
触れた腕から熱が全身に巡る。目を逸らすこともできずに、ハーミヤは顔を赤くした。
しかしその様子に気が付いたルドルフは、サッと自らの手を引いた。
それからいつも通りの彼に戻って声を掛ける。
「お怪我はありませんか、ハーミヤ様」
「は、はい……」
いつも通りの穏やかな笑み。いつも通りの優しい言葉。上がった熱が一気に冷めていくのがわかる。自分は一体、何を期待していたのだろう。
ハーミヤが座席に座り直すと、慌てた様子の馭者が案ずる声を掛けた。
「申し訳ありません、殿下。石を踏んでしまったようで。大丈夫ですか?」
「私なら大丈夫です。気にしないでください」
ハーミヤは馭者に聞こえるように大きな声で答えると、窓に付けられた紅いカーテンを開けた。
今はルドルフの顔を見たくなかった。
灰色の空から絶え間なく降る雨がなんだが自分の心みたいだと、ハーミヤは悲嘆した。
馬車が城へと到着すると、門の前は大勢の兵で埋め尽くされていた。
彼らの手には剣や槍などの武器の代わりに、ロープやスコップといった掘削道具が握られている。
ハーミヤはルドルフの手を借りて馬車から降りると、近くにいた兵に声を掛けた。
「これは一体なんの集まりですか? 何かあったのですか?」
兵は敬礼すると、険しい表情で答えた。
「先刻レーヌ川が決壊し、南の街ポートネールが浸水被害に見舞われたのだそうです。我々はこれよりその救援に向かうよう陛下の命を受けています」
ハーミヤは悄然として俯いた。
「そんな、ポートネールが……。でもあの辺りは新たに治水工事をしたばかりなのに……」
「しかし現地では、それを上回るほどの雨が降ったんだ」
突然浴びせられたその声に、ハーミヤは顔を上げた。
すると目の前の人垣が二つに割れて、馬に乗ったランズールが進み出てきた。
雨除けのマントを被ったランズールの表情は厳しいものだった。
「王太子殿下自ら行かれるのですか?」
ルドルフの問いにランズールは頷いた。
「各地で様々な異常気象が起こっているゆえ、人員が足りないんだ。陛下には王都で指示を出して頂かねばならないしな」
「各地で異常気象……? 一体どういうことですか?」
ハーミヤは堪らず不安そうな声を上げた。
しかしそれをランズールは窘めた。
「兵がいる前で不安そうな声を出すんじゃない」
「申し訳ありません」
見る間に小さくなるハーミヤの姿に、なぜかランズールも落ち込んだような顔をした。
「それより、お前は早く城へ戻れ。風邪を引くぞ」
「ですが……」
ハーミヤはその場から動こうとしなかった。
ポートネールへの救援活動が危険を伴うものだと理解しているからだ。
ランズールはハーミヤの頭に手を乗せて、力強い笑みを浮かべた。
「ルドルフ」
「はい」
呼ばれたルドルフは渋るハーミヤの背を押した。
「参りましょう、ハーミヤ様」
「っ、お兄様、どうかご無事で」
ハーミヤは馬上の兄に今にも泣き出しそうな顔でそう呼び掛けた。
「まったく、毅然とした態度でいろと言ったばかりだというのに」
遠ざかっていく二人の背中を見つめながらランズールは独りごちた。
ランズールが城から背を向けるように馬首を巡らせようとした時、城の方から駆けてくる貴婦人の姿が目に入った。
雨よけのフードを被ったその女性は、一直線にランズールの元へと駆けてくる。
ランズールは馬から降りて、最愛の人を迎えた。
「風邪を引くぞ、クレア」
「せっかくお見送りに来たのですから、もっと喜んでくれてもいいではありませんか」
クレアはまるで子供のように頬を膨らませて非難した。
美しく着こなしたドレスは水飛沫で裾を濡らし、綺麗に巻いた髪も乱れてしまっていた。
ランズールがジッと顔を見つめると、クレアは僅かに赤面し、必死に髪を直そうとした。
しかしランズールはその手を捕まえて、自分の方に引き寄せた。するとクレアの体はすっぽりランズールの元へ収まってしまった。
クレアは僅かに驚いた表情をした後、しっかりと彼の背中に腕を回した。
弾みでフードが脱げて雨に濡れるが、それも彼女は気に留めなかった。
「少しの間、留守にする」
「……ポートネールは海に近い街。風が強くなれば高波の危険もあります。どうか、お気をつけて」
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