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第二章 冒険カンと義弟リオン in 迷宮都市

20.冒険開始

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「いやァ…ヒデェ目に合った」

「あはは、悪かったって…」

先程の力比べで吹き飛ばしたガゼル相手にカンは軽く謝罪をしていた
あの一瞬で実はガゼルの右手の骨が受ける力の許容を超えて折れてしまうと言うアクシデントもあったのたが
近くにいた治癒魔術師の女性により治して貰う事ができた

ちなみにその女性にガゼルが「プッ、カッコ悪」と笑われていたのは触れないでおく

「いやぁ…儲けさせて貰ったよ
あんがとな兄ちゃん!」

その他カンに賭けていた冒険者たちは一気に懐が暖まり上気分になり口々にお礼を言う

「にしてもよぅ?お前歳の割りに強すぎねぇ?」

ふと溢したガゼルの言葉にカンは固まった
が、そんなカンの様子には気づかないのか
辺りの冒険者たちは笑いながら口を開いてく

「実はお偉い方のお抱えだったりしてな!」

(…いや、実際には国に仕えてたよ…)

「いやいや、もしかしたら今話題の勇者メンバーの一人かも!?」

(…エスパーかよ、元だけどな)

当たらからずも遠からずな各々の考察に若干冷や汗を垂らしながらも
カンは心の中でツッコミを入れていく

「そぉいや…お前Bランクの冒険者って言ってたよな?」

ふと、ガゼルの一言に辺りの冒険者は静まり返る

「あぁ…まぁ…」

その辺りの様子にバツが悪そうに頭をポリポリと掻きながら
カンはガゼルヘ目線を合わせながらそう言う

「んじゃ、さっきのでもわかったが相当腕が立つわけだ
と言うことは、この街には力試しに?」

「まぁそんな所…かな?
でも好奇心とかもあるし、冒険者なら一度はダンジョンに潜らないとなって思って」

なるほど、とガゼルは納得したように頷き
じゃあそうだな、と口を開き始める

「じゃあ、ここ先輩の俺からの忠告だ
まずダンジョンってのは大体が洞窟みたいなのの延長戦な構造だと思ってくれ
当然内部での魔術、特に炎系統はご法度だ
スライムとかが出た場合でも極力な
ダンジョンの構造上、火炎系を使った瞬間空気が薄くなってぶっ倒れる」

「あー…」

ガゼルの言葉の意味を考え
カンは心のなかで素直に感心した

(…恐らく、このガゼルって人が言ってることは酸素の事か…
洞窟内何て限られた空気の場所で火を放てば確かに空気中の酸素濃度は低くなって酸欠に陥るだろうな…)

しかし、だ
同時にカンの思考に疑問も生れた

(…けど、ここの水準は中世並みだ
しかも魔術なんて非科学的な物に頼ってる分
元いた世界の中世時代より酷いと思うが…)

ガゼルの話は思いっきり科学であった
つまり、その発言は魔術主流のこの世界で魔術を否定している
と言うことではないだろうか…

「…兄様?」

ふと押し黙ったカンの様子を不審に思ったのか
リオンが心配そうに顔を覗き込んだ

「いや、何でもない…
…それより、えぇっとその話は……」

心配そうなリオンへそう答えて、カンはどこから出た情報かをガゼルへ聞くことにした

「あー…俺も詳しくは知らないんだけどな
どっかの偉い研究者さんが見つけたんだとさ
俺らが普通に呼吸してる空気も、実際には色々な気体って物が含まれていて
密閉された所で火炎系の魔術を使うと空気中の呼吸に必要な気体が減り、変わりに害のある気体が爆発的に増えるらしい」

「…なるほど」

ガゼルの説明を含めたその言葉にカンは深く頷く
現代の知識を持つカンにとっては極当たり前の事ではあるように
このような世界に置いてもその当たり前を調べる科学の研究者がいるようだ

「忠告どーも、とりあえず今日はテキトーに潜ってみる」

カンは少しだけ瞼を閉じ、軽く唸りながら何かを考えていたが
やがて瞼を開き、ガゼルへとそう言うとリオンを連れて冒険者ギルドを出た






「…ここがそうか」


街の案内板を頼りに迷宮ダンジョンの入り口まで辿り着いたカンとリオンは目の前へ目を向ける
その迷宮は地面へと斜め下へ向かう地下階段と洞が出来ている

ここは迷宮都市内に三つある迷宮の一つ

初心者用の迷宮【夢見ゆめみ迷宮ダンジョン】である

探検推奨ランクはF~C、ただし下層のボスはBランクに匹敵する強さらしいのでBランク試験直前のCランクが丁度良い

「む、我が昔に踏破したのとはまた別な見た目だな」

顎に手を当てながら、リオンはふむ、と考えるように迷宮をまじまじと見る

ちなみに迷宮の入り口にはギルドの職員さんがおり
列の整理を行っている


…そう、である

「…ずいぶん並んでるな」

「んー…まぁしょうがないんじゃないか?
迷宮都市何て俺がガキの頃から行商伝いに聞いたことがあるくらい有名な場所だ
そんな所だから、恐らく国内の冒険者が多数滞在してるだろうな…」

待つのが面倒臭くなったのか
そう言ってため息を吐くリオンへカンはそう言って宥めた

「特にここなんて初心者用の迷宮だろ?
冒険者の約60%は初心者なんだからこの迷宮に殺到するんだろうよ」

冒険者と言うのは死のリスクが高い仕事である
勿論いつ死んだりするか等、誰にもわかるはずがない
それでも冒険者になるのはそれだけ成功を納めた時の見返りが大きいからだ

「それにしても兄様
なぜ我らが初心者用の迷宮に?
少なくとも中堅用でも良かったのではないか?」

「あー…でも別に軽く迷宮ってものを探検してみたかっただけだしなぁ
最初はどこでも良かったんだよ」

リオンがふと疑問に思ったのかそんな事を聞いてくる
が、カンとしては最初の迷宮は別にどこでも良かったのだ
無いとは思うが、いきなり中堅・上級向けのダンジョンへ入って怪我をしたらたまったものではないと言うのがカンの考えであった

「やっぱ勝手も良くわからないしさ
最初は様子見にね…」

「…我は良いがな、別に
兄様の言葉は絶対であるし」

微妙に重いことを言うリオンへカンは軽く苦笑いしながら
初めての迷宮に胸を踊らせる

そして十数分が経過し…


「お次の方どうぞ」

列はどんどんと進んでいき、ついにカンとリオンの番となった

「行くか…」

「あぁ…」

カンはゆっくりと歩き、それに連れ添うリオンも続く

_______さぁ、迷宮冒険の開始だ!








_____________________◆

あとがき


さて皆様おはこんばんにちわ、約一ヶ月ぶりのちくわでございます

…年内にもう一度更新を、と思ったのですがどうもうまくいかず
気づけば年を明けてから20日も経っておりました


…本当ならこのお話を年内に投稿したかったのですが
年明け直前はたった400文字しか書けておらず
おいおい、こんなのじゃ投稿出来らんめーもんなぁ…と思い

少しずつ執筆を進めていきようやく投稿、と言う形になりました

年内更新を楽しみにしていた方々、本当に申し訳ございませんでした


それと、関係ないお話になるのですが
Twitterにも投稿した通り、インスピレーションを受けるために12月31日にコミケへ参加した所
帰りの東京駅でフランクに話し掛けてきてくれた見知らぬ先輩オタクの方がいらっしゃいました

東京駅での高速バス乗り場での出来事で
友達経由でまだ読んではいないものの、私の作品を知っている、と言うのと

オタク談義に花を咲かす事が出来、とても楽しかったです

実際に見ていただけてるかはわかりませんが、あのときのお礼を言わせていただきます

あのときの会話、とても楽しかったです
私の作品を友達経由だとしても知って戴き、またとても面白いと言っていたと教えてくださりありがとうございました。


さて、あまり長文にするわけにも行かないので今回はこの辺で
まだまだ作品は折り返しにも来ていないので
更新速度は相変わらず伸び悩むと思いますが
どうぞ長い目で見守ってください

_____________________◆
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