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第二章
第二十一話
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第3階層。
ここから先は、2階層までのゴブリン、オーク、ウルフのほかに痺れスライムや下級ワームと呼ばれるモンスターが出現する。
2階層までは迷宮に罠などは存在しなかったが、3階層から上には存在する。故に、真の迷宮は3階層からだ、という者もいるほどだった。
俺が先頭、リアが真ん中、セレナが後方で縦一列となって3階層を進む。
「止まれ」
俺は手で後ろに止まるように指示を出す。
「どうしたの?」
「来たぞ、ワームだ」
地面の下を何かが動き、鈍い振動が足元から伝わってくる。
やがて、それは俺たちのすぐ近くまで来て、姿を現す。
「散開!」
とっさの合図に皆が地面を転がる。
直後、俺たちがッ先までいた地面から、一体のモンスターが姿を現した。
頭には大きな口。というよりも、先頭についている大きな口に体が生えている、という表現が正しいか。
大きさは全長1メートルほどで、そこまで大きくはないが、こいつの厄介なところはなんでも喰らうところだ。人間であれ何であれ丸呑みにして、その身体にある強力な酸で消化してしまう。
中級以上のワームになれば酸を使った攻撃をしてくるのだが、下級ワームにその攻撃はない。
「行くぞ!」
俺とリアが左右に分かれて攻撃を仕掛ける。その間にセレナは魔法の準備だ。
「はぁッ!」
「ふッ!」
俺の剣とリアの拳がワームを襲う。俺の剣はワームの体半分を切り裂き、リアの拳でワームの体がひっくり返る。
一撃離脱。
即座にその場を飛びのくと、直後火炎が飛来、燃える。
「いいタイミングだな、セレナ」
「昨日レインに付き合ってもらったからね。私だって、もう足手まといじゃないもん」
「へぇ、ポンコツじゃなかったのね」
リアのつぶやきはセレナに届かなかったらしい。届いていたら姦しくなるから好都合だが。
火が消えると、そこには焼け焦げたワームの死体があった。無事に討伐できたらしい。
「よし、この調子でいくぞ」
3階層と言えど、十分に注意すれば攻略できる。
決して油断せず、俺たち三人は奥へと進む。
「いたな」
通路の奥。
そこには黄色いスライムが三体いた。
ここに来るまでに、既に二体討伐していて核も無事にゲットしている。
「いいな、油断するなよ?」
痺れスライムは油断すればスタン状態となり、その間に訪れた別のモンスターによって攻撃されてしまう。地味に厄介なモンスターである。
が、攻撃が痺れ攻撃しかないので、それさえ回避すればなんてことない。
あと気を付けなければいけないのは、核を傷つけないようにするくらいか。
痺れスライムの口から、粘液が飛ぶ。これが痺れ攻撃だ。
俺たちは避け、スライムに襲い掛かった。
まずはスライムを一か所に集める。
そして、セレナの魔法で邪魔なジェルを溶かす。
仕事としてはこれだけだ。
「はい、終了」
無事に採取できた核をアイテムボックスに収納し、後は戻るだけだ。
「案外、なんてことなかったね」
「貴方だけで来ていたら、きっと罠にかかってオークに犯されていたでしょうけどね」
「もうオークヤメテよ⁉」
リアとセレナが言い合っている。というか、意外にこの二人の仲がいい? ことは今日見ていて分かった。それに、連携も取れている。
案外いいパーティなのかもしれないな。
そんなことを考えながら、姦しい女子二人を連れてギルドに帰還した。
ここから先は、2階層までのゴブリン、オーク、ウルフのほかに痺れスライムや下級ワームと呼ばれるモンスターが出現する。
2階層までは迷宮に罠などは存在しなかったが、3階層から上には存在する。故に、真の迷宮は3階層からだ、という者もいるほどだった。
俺が先頭、リアが真ん中、セレナが後方で縦一列となって3階層を進む。
「止まれ」
俺は手で後ろに止まるように指示を出す。
「どうしたの?」
「来たぞ、ワームだ」
地面の下を何かが動き、鈍い振動が足元から伝わってくる。
やがて、それは俺たちのすぐ近くまで来て、姿を現す。
「散開!」
とっさの合図に皆が地面を転がる。
直後、俺たちがッ先までいた地面から、一体のモンスターが姿を現した。
頭には大きな口。というよりも、先頭についている大きな口に体が生えている、という表現が正しいか。
大きさは全長1メートルほどで、そこまで大きくはないが、こいつの厄介なところはなんでも喰らうところだ。人間であれ何であれ丸呑みにして、その身体にある強力な酸で消化してしまう。
中級以上のワームになれば酸を使った攻撃をしてくるのだが、下級ワームにその攻撃はない。
「行くぞ!」
俺とリアが左右に分かれて攻撃を仕掛ける。その間にセレナは魔法の準備だ。
「はぁッ!」
「ふッ!」
俺の剣とリアの拳がワームを襲う。俺の剣はワームの体半分を切り裂き、リアの拳でワームの体がひっくり返る。
一撃離脱。
即座にその場を飛びのくと、直後火炎が飛来、燃える。
「いいタイミングだな、セレナ」
「昨日レインに付き合ってもらったからね。私だって、もう足手まといじゃないもん」
「へぇ、ポンコツじゃなかったのね」
リアのつぶやきはセレナに届かなかったらしい。届いていたら姦しくなるから好都合だが。
火が消えると、そこには焼け焦げたワームの死体があった。無事に討伐できたらしい。
「よし、この調子でいくぞ」
3階層と言えど、十分に注意すれば攻略できる。
決して油断せず、俺たち三人は奥へと進む。
「いたな」
通路の奥。
そこには黄色いスライムが三体いた。
ここに来るまでに、既に二体討伐していて核も無事にゲットしている。
「いいな、油断するなよ?」
痺れスライムは油断すればスタン状態となり、その間に訪れた別のモンスターによって攻撃されてしまう。地味に厄介なモンスターである。
が、攻撃が痺れ攻撃しかないので、それさえ回避すればなんてことない。
あと気を付けなければいけないのは、核を傷つけないようにするくらいか。
痺れスライムの口から、粘液が飛ぶ。これが痺れ攻撃だ。
俺たちは避け、スライムに襲い掛かった。
まずはスライムを一か所に集める。
そして、セレナの魔法で邪魔なジェルを溶かす。
仕事としてはこれだけだ。
「はい、終了」
無事に採取できた核をアイテムボックスに収納し、後は戻るだけだ。
「案外、なんてことなかったね」
「貴方だけで来ていたら、きっと罠にかかってオークに犯されていたでしょうけどね」
「もうオークヤメテよ⁉」
リアとセレナが言い合っている。というか、意外にこの二人の仲がいい? ことは今日見ていて分かった。それに、連携も取れている。
案外いいパーティなのかもしれないな。
そんなことを考えながら、姦しい女子二人を連れてギルドに帰還した。
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