男の俺が痴漢されてイッちゃうなんて…！

日本代表合宿 -ミナトside-

一喜一憂（７）

“男同士の恋愛にゴールはない“

確かに、ユウジの言うことも間違ってはいない。
最近ではパートナーシップ制度が導入される自治体はあるが、それを申請するゲイカップルは少数派と聞く。更に、有名人で申請している人の噂は皆無だ。

もしタカシがゲイで俺とパートナーシップを結ぶことになったら、世の中の人々は温かい目で見てくれるだろうか？同じ日本代表として戦うタカシと今まで通り接してくれるだろうか？そんなことを考えていると、ユウジが風呂場から戻ってきた。



「俺が結婚することは明日発表します。なので、タカシのこと、よろしくお願いします」
「・・・なんで急に？」
「俺は男同士で人生を歩んでいくっていう覚悟がなかっただけです。正直なところ、ミナト先輩には嫉妬してました。タカシ先輩と仲良くしていて、友情ではないような恋愛のような関係性が俺には見えました。俺の奥底にはゲイとしての素質もあると思うんですが、今はタカシ先輩とは別に幸せにしたい女性ができたんです。なので、後のことはよろしくお願いします」

そう言ってユウジは俺に頭を下げた。

高校生活で２年間、ユウジとは一緒にサッカー部で切磋琢磨してきた。最後は正直に自分の気持ちを打ち明けてくれて、俺自身は嬉しい。後は、タカシのサポートだと思った。だから俺はユウジに対して、「タカシのことは任せといて。ユウジは奥さんを大事にしてね。お幸せに」
そう言って俺はホテルの部屋を後にした。