上 下
64 / 141
恋人としての日々 -ミナトSide-

初デート(2)

しおりを挟む
フォレストタウンに着くと、まず向かったのはスポーツ用品店。サッカー部員といえばやっぱりスポーツ用品店での練習着やスパイクを見ることが一番盛り上がるものだと思って、今日のデートコースに盛り込んだ。

「お、サッカー用品をちょうど見たかったんだよな!さすがミナト、わかってんじゃん」

そう言ってタカシは俺の頭をくしゃくしゃとした。

「おいっ!今日はいつもよりも髪型セットしてきたんだから、くしゃくしゃにするなよなー。もーーーっ!」

俺はタカシを叱るが全く聞く耳持たずでスポーツ用品店に入っていた。俺はタカシのあとを付いてゆく。結局、どっちがデートの発案者なんだか・・・。

タカシはサッカーコーナーに着くと、練習着を見始める。うちのサッカー部は強豪ということで練習着にも背番号が入っており、支給されるものが数着ある。しかし、すぐにボロボロになってしまうので、公式練習や取材を受ける時以外が自前のそれぞれの練習着を着て練習に参加することの方が多かった。そのため、俺もタカシも練習着が欲しかったという訳だ。

まずはプラシャツを眺める。

「これなんてどう?かっこいいと思うんだけど?」
タカシが半袖の紺色のシャツを見せてくる。

「うーん、俺のイメージではタカシはもっと明るい青色が似合うと思うんだよなぁ」
「それじゃあチームカラーと一緒じゃん!せっかくなら違う色にしたいじゃん。じゃあこれは?」
「赤色はタカシには似合わない!」
「いや、これはミナトが似合いそうだなぁと思ってさ」

そう言ってタカシは手に取っている赤色のプラシャツを俺に合わせてきた。

「うん、ミナトに似合っているよ!」
「そっか・・・タカシがそういうなら買っちゃおうかな!」

そして、タカシが少し小声でボソッと話を続ける。

「せっかくなら何かミナトと同じウエアを買いたいなぁ・・・」

俺はすごくドキッとさせられた。同じウエアということは、つまりペアルックということだ。そんなの着てたら同じサッカー部のチームメイトから何か言われるに決まってる・・・!

「タカシ、さすがに同じプラシャツだと怪しまれないかな・・・?」
「まぁ、怪しまれるというよりも、俺は似合ってもミナトには合わないかもな」

そう言いながらスポーツコーナーを見ていると、サッカーボールのキーホルダーが目に入った。

「タカシ、これ一緒に付けない?」

そう言ってタカシにキーホルダーを見せる。すると、タカシがすごく嬉しそうな顔をしながら、
「うん、お揃いのキーホルダーにしよう」と言って、俺の手を握ってきた。

そして、たまたま誰もいなかったので不意のキス。チュッ。

「じゃあ帰りにこのキーホルダーを買うことにして、次はスパッツとソックスを見に行こうぜー!」

そう言ってタカシは次のエリアへと向かった。

俺は急なキスにドキッとして、その場で顔を赤くして立ち尽くしてしまった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

茶番には付き合っていられません

わらびもち
恋愛
私の婚約者の隣には何故かいつも同じ女性がいる。 婚約者の交流茶会にも彼女を同席させ仲睦まじく過ごす。 これではまるで私の方が邪魔者だ。 苦言を呈しようものなら彼は目を吊り上げて罵倒する。 どうして婚約者同士の交流にわざわざ部外者を連れてくるのか。 彼が何をしたいのかさっぱり分からない。 もうこんな茶番に付き合っていられない。 そんなにその女性を傍に置きたいのなら好きにすればいいわ。

兄がいるので悪役令嬢にはなりません〜苦労人外交官は鉄壁シスコンガードを突破したい〜

藤也いらいち
恋愛
無能王子の婚約者のラクシフォリア伯爵家令嬢、シャーロット。王子は典型的な無能ムーブの果てにシャーロットにあるはずのない罪を並べ立て婚約破棄を迫る。 __婚約破棄、大歓迎だ。 そこへ、視線で人手も殺せそうな眼をしながらも満面の笑顔のシャーロットの兄が王子を迎え撃った! 勝負は一瞬!王子は場外へ! シスコン兄と無自覚ブラコン妹。 そして、シャーロットに思いを寄せつつ兄に邪魔をされ続ける外交官。妹が好きすぎる侯爵令嬢や商家の才女。 周りを巻き込み、巻き込まれ、果たして、彼らは恋愛と家族愛の違いを理解することができるのか!? 短編 兄がいるので悪役令嬢にはなりません を大幅加筆と修正して連載しています カクヨム、小説家になろうにも掲載しています。

ドン引きするくらいエッチなわたしに年下の彼ができました

中七七三
恋愛
わたしっておかしいの? 小さいころからエッチなことが大好きだった。 そして、小学校のときに起こしてしまった事件。 「アナタ! 女の子なのになにしてるの!」 その母親の言葉が大人になっても頭から離れない。 エッチじゃいけないの? でも、エッチは大好きなのに。 それでも…… わたしは、男の人と付き合えない―― だって、男の人がドン引きするぐらい エッチだったから。 嫌われるのが怖いから。

【R18】らぶえっち短編集

おうぎまちこ(あきたこまち)
恋愛
調べたら残り2作品ありました、本日投稿しますので、お待ちくださいませ(3/31)  R18執筆1年目の時に書いた短編完結作品23本のうち商業作品をのぞく約20作品を短編集としてまとめることにしました。 ※R18に※ ※毎日投稿21時~24時頃、1作品ずつ。 ※R18短編3作品目「追放されし奴隷の聖女は、王位簒奪者に溺愛される」からの投稿になります。 ※処女作「清廉なる巫女は、竜の欲望の贄となる」2作品目「堕ちていく竜の聖女は、年下皇太子に奪われる」は商業化したため、読みたい場合はムーンライトノベルズにどうぞよろしくお願いいたします。 ※これまでに投稿してきた短編は非公開になりますので、どうぞご了承くださいませ。

超絶美形な悪役として生まれ変わりました

みるきぃ
BL
転生したのは人気アニメの序盤で消える超絶美形の悪役でした。

奴隷の私が複数のご主人様に飼われる話

雫@更新再開
恋愛
複数のご主人様に飼われる話です。SM、玩具、3p、アナル開発など。

ごめんなさい、お姉様の旦那様と結婚します

秘密 (秘翠ミツキ)
恋愛
しがない伯爵令嬢のエーファには、三つ歳の離れた姉がいる。姉のブリュンヒルデは、女神と比喩される程美しく完璧な女性だった。端麗な顔立ちに陶器の様に白い肌。ミルクティー色のふわふわな長い髪。立ち居振る舞い、勉学、ダンスから演奏と全てが完璧で、非の打ち所がない。正に淑女の鑑と呼ぶに相応しく誰もが憧れ一目置くそんな人だ。  一方で妹のエーファは、一言で言えば普通。容姿も頭も、芸術的センスもなく秀でたものはない。無論両親は、エーファが物心ついた時から姉を溺愛しエーファには全く関心はなかった。周囲も姉とエーファを比較しては笑いの種にしていた。  そんな姉は公爵令息であるマンフレットと結婚をした。彼もまた姉と同様眉目秀麗、文武両道と完璧な人物だった。また周囲からは冷笑の貴公子などとも呼ばれているが、令嬢等からはかなり人気がある。かく言うエーファも彼が初恋の人だった。ただ姉と婚約し結婚した事で彼への想いは断念をした。だが、姉が結婚して二年後。姉が事故に遭い急死をした。社交界ではおしどり夫婦、愛妻家として有名だった夫のマンフレットは憔悴しているらしくーーその僅か半年後、何故か妹のエーファが後妻としてマンフレットに嫁ぐ事が決まってしまう。そして迎えた初夜、彼からは「私は君を愛さない」と冷たく突き放され、彼が家督を継ぐ一年後に離縁すると告げられた。

転生したら使用人の扱いでした~冷たい家族に背を向け、魔法で未来を切り拓く~

沙羅杏樹
恋愛
前世の記憶がある16歳のエリーナ・レイヴンは、貴族の家に生まれながら、家族から冷遇され使用人同然の扱いを受けて育った。しかし、彼女の中には誰も知らない秘密が眠っていた。 ある日、森で迷い、穴に落ちてしまったエリーナは、王国騎士団所属のリュシアンに救われる。彼の助けを得て、エリーナは持って生まれた魔法の才能を開花させていく。 魔法学院への入学を果たしたエリーナだが、そこで待っていたのは、クラスメイトたちの冷たい視線だった。しかし、エリーナは決して諦めない。友人たちとの絆を深め、自らの力を信じ、着実に成長していく。 そんな中、エリーナの出生の秘密が明らかになる。その事実を知った時、エリーナの中に眠っていた真の力が目覚める。 果たしてエリーナは、リュシアンや仲間たちと共に、迫り来る脅威から王国を守り抜くことができるのか。そして、自らの出生の謎を解き明かし、本当の幸せを掴むことができるのか。 転生要素は薄いかもしれません。 最後まで執筆済み。完結は保障します。 前に書いた小説を加筆修正しながらアップしています。見落としがないようにしていますが、修正されてない箇所があるかもしれません。 長編+戦闘描写を書いたのが初めてだったため、修正がおいつきません⋯⋯拙すぎてやばいところが多々あります⋯⋯。 カクヨム様にも投稿しています。

処理中です...