ゲイのキャビンアテンダントはイケメンリーマンがお好き？

Chapter④ 同棲生活 ～タカシside～

ヒロキとシュン（７）

お互いほろ酔い気分になったところで搭乗開始のアナウンスが流れ始めた。そのため、俺とヒロキは搭乗口へと移動した。そこで思いがけないことがあった。

機体へ入ると、朝と同じく、そこにはシュンがいた。そして、先に気づいたのはヒロキだった。

「あ！シュンさんだ！タカシさんの彼氏の！」
一瞬、近くにいる乗客がシュンとヒロキのことを見つめる。お酒が入っているせいで少し声が大きくなっているのだ。

「お客様、あまり大きな声を出されますと他のお客様のご迷惑になりますので、ご遠慮ください」
シュンの方が一枚上手でヒロキを宥める。その隣にいる俺としてはヒヤヒヤだ。
「安達さん、とりあえず座りましょう・・・」
そう言って俺はヒロキを座席に座らせた。

そして、自分のカバンを上の荷物棚に置こうとした時、シュンから「酔っ払いを機内に連れてくるなよ」と耳元で嫌味を言われた。
俺はすかさず反論し、「ラウンジでは３杯ほどしか飲んでいないから、そんなに酔っ払っていないぞ？」と言った。

しかし、シュンは「いやいや、客室乗務員への暴言は立派な犯罪行為になるからな？いくらお前のタイプの担当者だからって言って甘やかすなよ？」と言い残し、他の乗客のサポートに入った。

どこかシュンは不機嫌だった。このあと、何もならなければいいのに。俺はそう心の中で願った。



ヒロキはそのまま座席に座り、すやすやと眠ったまま機体は離陸した。




水平飛行に移りドリンクサービスが始まった。
搭乗率を見ると５割程度ということで、機内には空席が目立っており、俺の場所にシュンがあっという間に来た。

「お飲み物はいかがいたしましょうか？」
「ホットコーヒーをお願いします」
「ブラックでよろしいですよね？」
「ええ、そうです」

そう言ってシュンが俺にコーヒーを手渡す。その時、「あとで後方のギャレーに来て」と言い残し、ドリンクサービスに戻った。

俺は何を言われるのか少しビビりつつ、シュンが機内のドリンクサービスを終えるのを待った。しばらくしてカートが後方のギャレーへと戻るタイミングで目配せがあり、俺はギャレーへと向かった。