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休職
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目が覚めたのは昼の12時頃。
外からは建築現場で大型重機が動いている音が部屋の中に勝手に入り込み、俺の耳の中へと微かに響いてくる。目を開けるとカーテンの隙間から明るい光が差し込んでいる。
俺はベッドから上半身だけを起こし、その上で手を伸ばしてカーテンを開ける。
外は雲一つない快晴だ。日本海側出身の俺にとっては、太平洋側の冬はこんなにも明るく眩しい季節だとは知らず、カルチャーショックを受けたことがある。今ではその気候にもすっかり慣れてしまい、今日のような日には日本海側のどんよりとした気候が恋しくもなる。
今の俺の心の中はこの空のようには晴れ渡っていない。
仕事のこと、自分自身の体調のこと、人生のこと、そしてユウスケのこと。どれも思考が中途半端で頭の中でああでもない、こうでもないと言った具合でグルグルと思考が迷走を続けている。
うつ病の典型的な症状である思考がまとまらないということへの治療は休むしかない。しかし、数日前まで馬車馬のように働いていた俺にとってはまだゆっくり休むということがどうすれば達成できるのか分からない。休職したことで仕事のことは少しずつ忘れるように考えることにし始めたが、余計な時間ができたことで色々なことが頭に思いつくようになり、かえって体調が悪いようにも感じる。
主治医の近藤曰く、ゆっくり休んでくださいと言われ寝続けているが、本当に治るのかも分からない。医者は薬を処方して終わりだと思っているが、俺自身の人生を真っ当に生きたいと思う本人の意思は考慮してくれず、そのまま休職という診断書を書いて俺に寄越したことへの反抗心も時々頭に浮かんでしまう。
あー、ダメだ。また頭の中で思考がまとまらずにグルグルし始めた。
そう考えた俺はベッドから起き上がると、キッチンに向かい水道水を一杯口に運ぶ。
冬場で冷たい水道水も昼間になると外気温で温められてぬるま湯を思えるほどの温度になる。
喉を潤した俺は再びベッドに入り横になる。カーテンは相変わらず締め切ったままだ。
開ける気力が起こらない。
そして俺は再び目を瞑る。
今は何もしたくない。考えたくもない。そんな気分だ。正確には、気力が湧いてこない。
そう思っているうちに、再び眠りにつく。
外からは建築現場で大型重機が動いている音が部屋の中に勝手に入り込み、俺の耳の中へと微かに響いてくる。目を開けるとカーテンの隙間から明るい光が差し込んでいる。
俺はベッドから上半身だけを起こし、その上で手を伸ばしてカーテンを開ける。
外は雲一つない快晴だ。日本海側出身の俺にとっては、太平洋側の冬はこんなにも明るく眩しい季節だとは知らず、カルチャーショックを受けたことがある。今ではその気候にもすっかり慣れてしまい、今日のような日には日本海側のどんよりとした気候が恋しくもなる。
今の俺の心の中はこの空のようには晴れ渡っていない。
仕事のこと、自分自身の体調のこと、人生のこと、そしてユウスケのこと。どれも思考が中途半端で頭の中でああでもない、こうでもないと言った具合でグルグルと思考が迷走を続けている。
うつ病の典型的な症状である思考がまとまらないということへの治療は休むしかない。しかし、数日前まで馬車馬のように働いていた俺にとってはまだゆっくり休むということがどうすれば達成できるのか分からない。休職したことで仕事のことは少しずつ忘れるように考えることにし始めたが、余計な時間ができたことで色々なことが頭に思いつくようになり、かえって体調が悪いようにも感じる。
主治医の近藤曰く、ゆっくり休んでくださいと言われ寝続けているが、本当に治るのかも分からない。医者は薬を処方して終わりだと思っているが、俺自身の人生を真っ当に生きたいと思う本人の意思は考慮してくれず、そのまま休職という診断書を書いて俺に寄越したことへの反抗心も時々頭に浮かんでしまう。
あー、ダメだ。また頭の中で思考がまとまらずにグルグルし始めた。
そう考えた俺はベッドから起き上がると、キッチンに向かい水道水を一杯口に運ぶ。
冬場で冷たい水道水も昼間になると外気温で温められてぬるま湯を思えるほどの温度になる。
喉を潤した俺は再びベッドに入り横になる。カーテンは相変わらず締め切ったままだ。
開ける気力が起こらない。
そして俺は再び目を瞑る。
今は何もしたくない。考えたくもない。そんな気分だ。正確には、気力が湧いてこない。
そう思っているうちに、再び眠りにつく。
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