コーヒーの香りに引き寄せられて

休職

１２

うつ病を患ってから、同棲をしているゲイの友人のことが羨ましくてしょうがない。

休職したことで会社に行く必要がなくなりコミュニケーションを取る相手がおらず、一人暮らしだと誰とも話す相手がいない。

もし今頃、仕事人生ではなく、本当に自分の生きたい人生を歩んでいたら、そばに寄り添ってくれるパートナーがいたのかな。

仕事を一生懸命やっていれば、その姿を誰かが見てくれて、きっと良いパートナーが現れると信じていたこともあった。ただ、パートナーができたという友人に会ってみると、毎日定時に帰宅し夕飯を一緒に食べて過ごしている人が多い。一体、どこからそんな時間を捻出しているのか聞きたくなったが、結局はパートナーがいることで生活の軸を仕事ではなくパートナーとの時間に置いていることを感じた。

“鶏が先か卵が先か“という言葉があるが、パートナーができれば人生が変わるのか、人生が変わればパートナーができるのか、パートナーのいない自分にとってはどちらが正解なのか確認する術はない。



たらればのことを考えていると、あっという間に時間が経ち、眠気もどこかへ行ってしまう。



スマホの時計を見ると６時台になっている。少し眠るか。色々とまた頭の中でグルグルと思考が飛び交ってしまい落ち着かせなければならない。

俺は目を閉じる。

今日は何をしよう。

また夕方になったらカフェにでも行こう。

そう思っていると幸せな気持ちで眠りに落ちることができた。