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13彼女の検証1

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 「ただいま~。どうぞ入って」

 ハル君が扉を開け、アメリアさんに入るように勧める。助けた彼女はの名前だ。名前からしても外人ですね。ですけど、意味不明なんですよね……。マリアさんは難しい顔をして無言ですし。マリアさんが大人しいと何故か怖いです……。
 取りあえず、さっきの男がいるかもしれないという事で、ハル君の家に行くことになった。来て驚いた。大きい家だった!
 もしかして、ハル君もカナ君に負けず劣らす金持ちの家系なのかもしれない。

 「お帰り。部活は終わったのか? って今日は随分とお客さんを連れて来たな」

 そう言って出迎えに出て来たのは、三十代ぐらいに見える男性で、ピシッとグレーのスーツを着ている。

 「お父さん、ただいま」

 え? お父さんでしたか! そう言えばハル君のお父さんってあまり会った事なかったかも。

 「あの、初めまして……じゃなくて、ご無沙汰してます。天恵月海です!」
 「いらっしゃい」

 おじさんは笑顔で返してくれた。

 「こんにちは、おじさま。ところでおじさまを含め何人ここにおりますか?」
 唐突にマリアさんが聞いた。それには皆驚く。それでもおじさんは答えてくれた。
 「えっと、六人……」
 「おじさまにも見えていらっしゃるのですか! では、これは二人の茶番ではないのですね……。何故、わたくしたちには見えないのでしょうか? 男性にしか見えないとか……」

 答えを聞いてマリアさんは、自分の考えをブツブツと語っている。聞いたのは見えているか確認する為だったらしい。
 マリアさんがこんな芝居をするはずもないので、本当に見えていないのは確実ね。
 もしかしてアメリアさんって、幽霊とか? でも普通、霊感がある人の割合の方が少ないよね?
 それより、私も見えない事になっているのね。確かに見えているとは言ってないけど……。

 「あの、私は見えてますけど……?」
 「「え!」」

 カナ君とハル君も驚いた。二人も私が見えていないと思っていたんだ……。

 「まあ、あなた! 見えないふりなどしていたのですか!」
 「え? 違います! 私見えないなんていってないですし。マリアさんが見えないって言うから驚いて何も言えなかっただけです。って、本当に見えて……」
 「なぜわたくしにだけ見えていないのですか!」

 かなり不満があるらしい。って、怖くないのだろうか? 見えない人物が……。

 「あの君達、一体何の話を? 取りあえず中に入ったら?」
 「あぁ、そうだね。アメリアさんもどうぞ。あ!」

 おじさんの言葉に頷いて、ハル君がそう言うと、アメリアさんは靴のままで中に入ろうとしたので、ハル君が叫んだ。

 「すみませんが、ブーツを……え?」
 「ちょっと待ってて!」

 おじさんがアメリアさんに何か言おうとすると、カナ君が家に上がり込み中に消えて行った。そして、雑巾を持って来て、アメリアさんの前に置いた。

 「悪いけどこれで靴の裏拭いてもらえる?」

 アメリアさんは頷く。

 「脱いでもらえばいいだろうに……」

 おじさんはぼそっと呟いた。
 アメリアさんは、そっと雑巾の上に乗り、靴裏を雑巾にこすりつける。彼女は、幽霊ではないらしい。拭くときに足が見えたから! そしてローブと思っていたけどどうやら、大きなマントを胸の前少し重ねているみたい。

 「ねえ、ルナ。見えない方って外人の方なのかしら?」
 「え? 見えないのになんでわかるの?」
 「靴を脱いで上がる習慣がないようですので……」

 さすがマリアさん! 洞察力が凄い!

 「そうなんです。瞳が青い、金髪が腰まである女性です!」
 「私も拝見してたいですわ……」

 ため息をしつつ、マリアさんはそう言った。マリアさんは彼女を何だと思っているんだろう? 私はアメリアさんが見えるのでそうでもないけど、怖くないのかなぁ……。
 中に入ると居間も広かった。でも何もない。テーブルを挟んで三人掛けのソファーが二つあるだけ。まあ、テレビとかもあるけど、広さに見合った物がないから凄く広く感じる。

 「アメリアさんも座ったら?」

 カナ君がソファーに腰を下ろすと言った。その隣にハル君が座る。アメリアさんは、こちらを見るので頷くとカナ君の前のソファーに座った。私も彼女の横に座るとその横にマリアさんもそっと腰を下ろした。

 「お父さんもちょっと話あるから座って!」

 ハル君が自分の横に座るようにおじさんに声を掛ける。驚くも言われたように座った。
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