5 / 49
04二人との出会い4
しおりを挟む
とりあえずこれはスルーしよう! どっきりだとリアクション薄ってなるけど。
「そうだ。あの、この部って何をする部ですか? 先生に一週間で決めなさいって言われていて……」
「うーん。そうだな。その前に部とはどういうものか話を聞いているか?」
私の問いにカナ君が答えるも質問に質問を返された。
「確か、奉仕活動を行う……仲間であり大半を一緒に過ごし色んな事を学ぶ仲間である」
私は案内書を見て答えた。これってクラスメイトより重要な相手なのでは?
「やっぱり何も聞かされてないんだな。俺たちが一年の時と一緒だ」
「部とはどういう役割か知っていただいてから、お話を進めてはいかが?」
カナ君が呟くとマリアさんがそう提案した。
私もその方がいいので頷いた。ハル君も知らなかったみたいで頷いていた。
「この学校の奉仕科独特の特徴で、他校にないシステムなんだ。部を会社に見立て奉仕活動を行い運営をする。という奉仕科の縦割り授業だ」
カナ君が語り始める。
「そういう事だから部活内容よりも人間関係が重要かな? 聞いた話によると、一年は奉仕活動を押し付けられ大変らしい」
「心配いりませんわ。わたくしたちはそんな事をするつもりはありません」
マリアさんは、つかさずフォローを入れる。
「俺たちは昨年この部を立ち上げたから、そんな目に合ってないけどな。それと一年だけに、つまり二人に押し付ける気はないよ」
「部って作れるんだ」
頷きながら私が呟くとカナ君が更に説明をしてくれる。
「条件さえクリアすればな。二人以上で作り毎年一年を入部させる事。まあ、作る時にあたっては二人そろっていればOKだったけど」
「そんな簡単な条件なんだ……」
「簡単ではありませんわよ。設立の条件は難しくはありませんが、部は会社なのですよ。持続していかなくてはなりませんわ」
「そ、それもそうですね……」
マリアさんに反論された。って、結構面倒な仕組みなのね。
「ではもう少し踏み込んでお話し致しますわね。部での奉仕活動が成績の評価の一つになりますわ」
「じゃ、極端に奉仕活動が少ないとやばいとか?」
マリアさんの言葉にハル君が反応して言った。
「評価は個人じゃなくて部ごとなんだ。だから全部一年がしても皆で分担しても評価は変わらない。それでさっきの一年が大変だって話につながる訳」
私達はなるほどと頷く。面倒な事は一年に押し付けられそうだね、それ。
「評価は、ポイント制。つまりは、点数ですわ」
「じゃ人数少ないと不利じゃないか?」
「私もそう思います。人数が多い方が有利だと思うんだけど……」
私達が意見すると、二人はノーと首を振る。
「そこは学校も心得ておりますわ。ノルマがありますのよ。月に部員人数分の奉仕活動を行う事。それと、一回の募集数は二人から四人ですの」
「それでも人数が多い方が有利だと思うんだけど……」
「あら、そうかしら? 一学年に一クラス。一クラス三十人。全員では何人かしら?」
「九十人? ……あ!」
答えてから私は気づいた。一月に九十件以上の奉仕活動がないとダメだという事に。
「気づいたようですわね。奉仕は街の方々からの依頼がほとんどで、校内の奉仕も取り入れて、学校側も九十件以上になるようにしているようですわ」
「このシステムが知られるようになって、地方からの依頼も来るようになったみたいだぜ」
私達は、二人の話に頷く。
九十件に満たなかった場合は、ノルマが達成できない部が出るという事になる。
「仕組みはわかったけど、別に部にする必要あるのかな?」
「そのまま授業にすると夏休みとかに出来ないし、部活動なら休みの日も活動出来るって訳」
「なるほど!」
私の質問にカナ君がわかりやすく答えてくれるもマリアさんが嫌な一言を付け加える。
「そのお蔭で夏休みも冬休みも、あってもないようなものですけどね」
「あ、赤点なんて取るなよ! 部活動も授業の一環なんだから理由にならないし、追試に合格するまで部の連帯責任で奉仕活動が出来なくなるからな」
更にカナ君が付け加え、私達はげんなりする。
「大丈夫ですわ。そうならない為に先輩が後輩の勉強の面倒を見る事になっておりましてよ。何せ時間はたっぷりありますからね」
「なんだよそれ。午後からは自由だ! って、思ったのに……」
「ほんとだよな。奉仕活動がなくても六時間目の授業終了時間まで部室にいなきゃいけないし……」
ハル君が愚痴るとカナ君は同意する。そして、チラッと私を見ながらこう続けた。
「人間関係が悪かったら最悪だろうなぁ……」
部の説明をしながら、説得しようとしている?
「考え方よっては、気が合う仲間だけの少人数の方が楽じゃありません?」
マリアさんの言葉に、二人は頷き私を伺う様に見ている。
あぁ、これ、うんと言わせようとしているよね? カナ君とマリアさんの言う通りだしここでもいいかな。
「……わかりました。ハル君と一緒にこの部に入ります」
「やったー!」
「よしきた!」
観念した私の言葉に、二人は手を上げて喜んだ。
「まだ安心はできなくてよ。ここからが肝心ですわ。秘密が守れるかどうか……」
マリアさんの言葉に、二人は真面目な顔になる。
そう言えばそうだった。一体なんだろう? 魔法使い……だと思い込んでいる以外にどんな秘密があるのだろう。
三人の秘密ってなんだろう?
「信じてもらえるかどうか分からないけど……」
ハル君がそう切り出し話し始める。とても信じられない話を――。
「そうだ。あの、この部って何をする部ですか? 先生に一週間で決めなさいって言われていて……」
「うーん。そうだな。その前に部とはどういうものか話を聞いているか?」
私の問いにカナ君が答えるも質問に質問を返された。
「確か、奉仕活動を行う……仲間であり大半を一緒に過ごし色んな事を学ぶ仲間である」
私は案内書を見て答えた。これってクラスメイトより重要な相手なのでは?
「やっぱり何も聞かされてないんだな。俺たちが一年の時と一緒だ」
「部とはどういう役割か知っていただいてから、お話を進めてはいかが?」
カナ君が呟くとマリアさんがそう提案した。
私もその方がいいので頷いた。ハル君も知らなかったみたいで頷いていた。
「この学校の奉仕科独特の特徴で、他校にないシステムなんだ。部を会社に見立て奉仕活動を行い運営をする。という奉仕科の縦割り授業だ」
カナ君が語り始める。
「そういう事だから部活内容よりも人間関係が重要かな? 聞いた話によると、一年は奉仕活動を押し付けられ大変らしい」
「心配いりませんわ。わたくしたちはそんな事をするつもりはありません」
マリアさんは、つかさずフォローを入れる。
「俺たちは昨年この部を立ち上げたから、そんな目に合ってないけどな。それと一年だけに、つまり二人に押し付ける気はないよ」
「部って作れるんだ」
頷きながら私が呟くとカナ君が更に説明をしてくれる。
「条件さえクリアすればな。二人以上で作り毎年一年を入部させる事。まあ、作る時にあたっては二人そろっていればOKだったけど」
「そんな簡単な条件なんだ……」
「簡単ではありませんわよ。設立の条件は難しくはありませんが、部は会社なのですよ。持続していかなくてはなりませんわ」
「そ、それもそうですね……」
マリアさんに反論された。って、結構面倒な仕組みなのね。
「ではもう少し踏み込んでお話し致しますわね。部での奉仕活動が成績の評価の一つになりますわ」
「じゃ、極端に奉仕活動が少ないとやばいとか?」
マリアさんの言葉にハル君が反応して言った。
「評価は個人じゃなくて部ごとなんだ。だから全部一年がしても皆で分担しても評価は変わらない。それでさっきの一年が大変だって話につながる訳」
私達はなるほどと頷く。面倒な事は一年に押し付けられそうだね、それ。
「評価は、ポイント制。つまりは、点数ですわ」
「じゃ人数少ないと不利じゃないか?」
「私もそう思います。人数が多い方が有利だと思うんだけど……」
私達が意見すると、二人はノーと首を振る。
「そこは学校も心得ておりますわ。ノルマがありますのよ。月に部員人数分の奉仕活動を行う事。それと、一回の募集数は二人から四人ですの」
「それでも人数が多い方が有利だと思うんだけど……」
「あら、そうかしら? 一学年に一クラス。一クラス三十人。全員では何人かしら?」
「九十人? ……あ!」
答えてから私は気づいた。一月に九十件以上の奉仕活動がないとダメだという事に。
「気づいたようですわね。奉仕は街の方々からの依頼がほとんどで、校内の奉仕も取り入れて、学校側も九十件以上になるようにしているようですわ」
「このシステムが知られるようになって、地方からの依頼も来るようになったみたいだぜ」
私達は、二人の話に頷く。
九十件に満たなかった場合は、ノルマが達成できない部が出るという事になる。
「仕組みはわかったけど、別に部にする必要あるのかな?」
「そのまま授業にすると夏休みとかに出来ないし、部活動なら休みの日も活動出来るって訳」
「なるほど!」
私の質問にカナ君がわかりやすく答えてくれるもマリアさんが嫌な一言を付け加える。
「そのお蔭で夏休みも冬休みも、あってもないようなものですけどね」
「あ、赤点なんて取るなよ! 部活動も授業の一環なんだから理由にならないし、追試に合格するまで部の連帯責任で奉仕活動が出来なくなるからな」
更にカナ君が付け加え、私達はげんなりする。
「大丈夫ですわ。そうならない為に先輩が後輩の勉強の面倒を見る事になっておりましてよ。何せ時間はたっぷりありますからね」
「なんだよそれ。午後からは自由だ! って、思ったのに……」
「ほんとだよな。奉仕活動がなくても六時間目の授業終了時間まで部室にいなきゃいけないし……」
ハル君が愚痴るとカナ君は同意する。そして、チラッと私を見ながらこう続けた。
「人間関係が悪かったら最悪だろうなぁ……」
部の説明をしながら、説得しようとしている?
「考え方よっては、気が合う仲間だけの少人数の方が楽じゃありません?」
マリアさんの言葉に、二人は頷き私を伺う様に見ている。
あぁ、これ、うんと言わせようとしているよね? カナ君とマリアさんの言う通りだしここでもいいかな。
「……わかりました。ハル君と一緒にこの部に入ります」
「やったー!」
「よしきた!」
観念した私の言葉に、二人は手を上げて喜んだ。
「まだ安心はできなくてよ。ここからが肝心ですわ。秘密が守れるかどうか……」
マリアさんの言葉に、二人は真面目な顔になる。
そう言えばそうだった。一体なんだろう? 魔法使い……だと思い込んでいる以外にどんな秘密があるのだろう。
三人の秘密ってなんだろう?
「信じてもらえるかどうか分からないけど……」
ハル君がそう切り出し話し始める。とても信じられない話を――。
0
お気に入りに追加
40
あなたにおすすめの小説
疎遠になった幼馴染の距離感が最近になってとても近い気がする 〜彩る季節を選べたら〜
若椿 柳阿(わかつばき りゅうあ)
ライト文芸
「一緒の高校に行こうね」
恋人である幼馴染と交わした約束。
だが、それを裏切って適当な高校に入学した主人公、高原翔也は科学部に所属し、なんとも言えない高校生活を送る。
孤独を誇示するような科学部部長女の子、屋上で隠し事をする生徒会長、兄に対して頑なに敬語で接する妹、主人公をあきらめない幼馴染。そんな人たちに囲まれた生活の中で、いろいろな後ろめたさに向き合い、行動することに理由を見出すお話。
会うたびに、貴方が嫌いになる
黒猫子猫(猫子猫)
恋愛
長身の王女レオーネは、侯爵家令息のアリエスに会うたびに惹かれた。だが、守り役に徹している彼が応えてくれたことはない。彼女が聖獣の力を持つために発情期を迎えた時も、身体を差し出して鎮めてくれこそしたが、その後も変わらず塩対応だ。悩むレオーネは、彼が自分とは正反対の可愛らしい令嬢と親しくしているのを目撃してしまう。優しく笑いかけ、「小さい方が良い」と褒めているのも聞いた。失恋という現実を受け入れるしかなかったレオーネは、二人の妨げになるまいと決意した。
アリエスは嫌そうに自分を遠ざけ始めたレオーネに、動揺を隠せなくなった。彼女が演技などではなく、本気でそう思っていると分かったからだ。
5年も苦しんだのだから、もうスッキリ幸せになってもいいですよね?
gacchi
恋愛
13歳の学園入学時から5年、第一王子と婚約しているミレーヌは王子妃教育に疲れていた。好きでもない王子のために苦労する意味ってあるんでしょうか。
そんなミレーヌに王子は新しい恋人を連れて
「婚約解消してくれる?優しいミレーヌなら許してくれるよね?」
もう私、こんな婚約者忘れてスッキリ幸せになってもいいですよね?
3/5 1章完結しました。おまけの後、2章になります。
4/4 完結しました。奨励賞受賞ありがとうございました。
1章が書籍になりました。
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
王妃の仕事なんて知りません、今から逃げます!
gacchi
恋愛
側妃を迎えるって、え?聞いてないよ?
王妃の仕事が大変でも頑張ってたのは、レオルドが好きだから。
国への責任感?そんなの無いよ。もういい。私、逃げるから!
12/16加筆修正したものをカクヨムに投稿しました。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
【完結】辺境伯令嬢は新聞で婚約破棄を知った
五色ひわ
恋愛
辺境伯令嬢としてのんびり領地で暮らしてきたアメリアは、カフェで見せられた新聞で自身の婚約破棄を知った。真実を確かめるため、アメリアは3年ぶりに王都へと旅立った。
※本編34話、番外編『皇太子殿下の苦悩』31+1話、おまけ4話
実力を隠し「例え長男でも無能に家は継がせん。他家に養子に出す」と親父殿に言われたところまでは計算通りだったが、まさかハーレム生活になるとは
竹井ゴールド
ライト文芸
日本国内トップ5に入る異能力者の名家、東条院。
その宗家本流の嫡子に生まれた東条院青夜は子供の頃に実母に「16歳までに東条院の家を出ないと命を落とす事になる」と予言され、無能を演じ続け、父親や後妻、異母弟や異母妹、親族や許嫁に馬鹿にされながらも、念願適って中学卒業の春休みに東条院家から田中家に養子に出された。
青夜は4月が誕生日なのでギリギリ16歳までに家を出た訳だが。
その後がよろしくない。
青夜を引き取った田中家の義父、一狼は53歳ながら若い妻を持ち、4人の娘の父親でもあったからだ。
妻、21歳、一狼の8人目の妻、愛。
長女、25歳、皇宮警察の異能力部隊所属、弥生。
次女、22歳、田中流空手道場の師範代、葉月。
三女、19歳、離婚したフランス系アメリカ人の3人目の妻が産んだハーフ、アンジェリカ。
四女、17歳、死別した4人目の妻が産んだ中国系ハーフ、シャンリー。
この5人とも青夜は家族となり、
・・・何これ? 少し想定外なんだけど。
【2023/3/23、24hポイント26万4600pt突破】
【2023/7/11、累計ポイント550万pt突破】
【2023/6/5、お気に入り数2130突破】
【アルファポリスのみの投稿です】
【第6回ライト文芸大賞、22万7046pt、2位】
【2023/6/30、メールが来て出版申請、8/1、慰めメール】
【未完】
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる