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◆241◆死の淵で
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逃げろと言われても……。背を向ければ背中を斬られるって!
エルフは、力任せに剣をぶんぶんと振って来て、受け止めるのが精一杯だ。これ、アベガルさんに剣術を習ってなかったら一発で剣を落としている。
と、急に蹴りを入れて来た!
「う……」
防ぐ事無く、僕の腹に蹴りは命中し吹き飛んだ。地面に仰向けに倒れた僕の腹の上に、片足をエルフは乗せた。両手で剣を頭上まで持ち上げ、エルフはニヤリとする。
ごめん。ルイユ……みんな!
『主様!』
「アイスイン!」
その声と共に、頭上に上げた剣が凍って行く。
エルフが声に振り返ると、イラーノはこっちに向かって走って来ていた。剣を手にして、エルフに斬りかかる。
「ぐわぁ」
「クテュール! 大丈夫?」
「ありがとう」
エルフは、わき腹を斬られ倒れた。
そうだった。イラーノもこの結界は大丈夫だったんだ。
「ごめん。気を失っていたみたいで……」
アベガルさんが庇ってくれたからだろうけど怪我などはないみたい。
「そうだ。アベガルさん、大丈夫?」
「そうだね。俺を守ってくれたようだし。ヒールをしてくるよ」
僕達は立ち上がった。
『主様後ろ!』
ハッとして振り返ると、剣を奪われた!
ばれていた!?
そう思っていたらその剣は、僕の腹に突き刺さっていた!
「クテュール!」
『クテュール!』
『主様!!』
お腹が熱い!
「ぐわぁ!」
エルフが、吹っ飛ぶ姿が見えた。ルイユがやったのかも。
「ごめん、剣抜くよ。そうしないとヒールで――いか―」
イラーノが泣いている。
「な、――で、な――なん――。ど――て――抜けな――だ!」
イラーノが叫んでいる?
何を言っているか聞き取れないや。真っ暗闇だ。
「死ん――だめ――! 何の――魔女――いんし――? 君がい――とルイユは……た―――ンスターになる―――ないの?」
「――です! 主様が死―――意味―――ません!」
「ご……めん……ね……ルイ……ユといっ……に」
ごめんね。ルイユと一緒にもう少し一緒に居たかっただけなんだ――。
□
――クテュール。
誰? 僕を呼ぶのは誰?
その声はどこかで聞いた事がある。
――クテュール。
あ、ケアリーヌさん?
――そうです。
ごめんなさい。役目を果たせないまま死んじゃったみたい。
――あなたはまだ、かろうじて生きています。
え?
――ですが、このままでは時間の問題です。そこでお願いがあるのです。
お願い?
――魔女を受け入れて下さい。私と共に。
受け入れる? それって……。
――あなたの体が保たれる様に、私もあなたに力を貸します。ですので魔女を受け入れてほしいのです。
……いいけど、僕が死んだら魔女はどうなるの?
――私が一緒に連れて行きます。そうすれば、輪廻できません。
それ本当?
――本当です。私の力が及ばす、長い年月がかかってしまいました。あなたに託してよかった。ありがとう。
ううん。僕こそお礼を言うよ。助けてくれてありがとう。
――ここはどこ?
もしかして魔女?
――お前は、チュトラリーか! なぜ、お前の中に?
――諦めなさい。捕らえましたよ。
――ケアリーヌか! 元と言えば、人間どもがエルフに奇襲を掛けようと企んだからだ!
え? それって戦争?
――そうだ。それを阻止する為に、人間の国を滅ぼした。それなのに!
――やりすぎたのです! その証拠もないのですからあなたが逆に奇襲をかけた事になったのです!
――そうさ。私一人に罪を押し付けた。だからエルフも滅ぼす事にしたんだ。
――あなたは強大すぎた。それを恐れた同胞によって、嵌められたのでしょう。だからと言って、全てを無に返そうとするなんて!
――そうだとわかっていてもこの世界を救うのか?
――そういう者達は一部なのです。強大な力は、バランスを崩す。彼が、我々を受けれいてくれた。一緒に見守って行きましょう。
――見守る? 人間は高々100年しか生きないのだぞ?
――本来なら。ですが、私が力を貸しますので長生きできるでしょう。
ちょ。ちょっと待って! 体を保つって言っていたけど、もしかしてミューラちゃんみたいに年を取らないとか?
――いえ、エルフと同じ緩やかになります。
そう……それでも十分凄いけど。
――ほう。面白そうだな。ふん。ルイユを使役してあげるよ。
――残念ながらそれはできません。彼は、自我を持ち生きて行きます。その為に、私がいるのですから。
――それでは、本当に見守るだけではないか!
――はい。見守るだけです。後は、彼らに任せましょう。さあ皆が待っています。
うん。ケアリーヌさん、ありがとう。ルイユといる時間をくれてありがとう――。
『……様。主様』
『クテュール!』
あぁ。僕を呼ぶ皆の声が聞こえる。
エルフは、力任せに剣をぶんぶんと振って来て、受け止めるのが精一杯だ。これ、アベガルさんに剣術を習ってなかったら一発で剣を落としている。
と、急に蹴りを入れて来た!
「う……」
防ぐ事無く、僕の腹に蹴りは命中し吹き飛んだ。地面に仰向けに倒れた僕の腹の上に、片足をエルフは乗せた。両手で剣を頭上まで持ち上げ、エルフはニヤリとする。
ごめん。ルイユ……みんな!
『主様!』
「アイスイン!」
その声と共に、頭上に上げた剣が凍って行く。
エルフが声に振り返ると、イラーノはこっちに向かって走って来ていた。剣を手にして、エルフに斬りかかる。
「ぐわぁ」
「クテュール! 大丈夫?」
「ありがとう」
エルフは、わき腹を斬られ倒れた。
そうだった。イラーノもこの結界は大丈夫だったんだ。
「ごめん。気を失っていたみたいで……」
アベガルさんが庇ってくれたからだろうけど怪我などはないみたい。
「そうだ。アベガルさん、大丈夫?」
「そうだね。俺を守ってくれたようだし。ヒールをしてくるよ」
僕達は立ち上がった。
『主様後ろ!』
ハッとして振り返ると、剣を奪われた!
ばれていた!?
そう思っていたらその剣は、僕の腹に突き刺さっていた!
「クテュール!」
『クテュール!』
『主様!!』
お腹が熱い!
「ぐわぁ!」
エルフが、吹っ飛ぶ姿が見えた。ルイユがやったのかも。
「ごめん、剣抜くよ。そうしないとヒールで――いか―」
イラーノが泣いている。
「な、――で、な――なん――。ど――て――抜けな――だ!」
イラーノが叫んでいる?
何を言っているか聞き取れないや。真っ暗闇だ。
「死ん――だめ――! 何の――魔女――いんし――? 君がい――とルイユは……た―――ンスターになる―――ないの?」
「――です! 主様が死―――意味―――ません!」
「ご……めん……ね……ルイ……ユといっ……に」
ごめんね。ルイユと一緒にもう少し一緒に居たかっただけなんだ――。
□
――クテュール。
誰? 僕を呼ぶのは誰?
その声はどこかで聞いた事がある。
――クテュール。
あ、ケアリーヌさん?
――そうです。
ごめんなさい。役目を果たせないまま死んじゃったみたい。
――あなたはまだ、かろうじて生きています。
え?
――ですが、このままでは時間の問題です。そこでお願いがあるのです。
お願い?
――魔女を受け入れて下さい。私と共に。
受け入れる? それって……。
――あなたの体が保たれる様に、私もあなたに力を貸します。ですので魔女を受け入れてほしいのです。
……いいけど、僕が死んだら魔女はどうなるの?
――私が一緒に連れて行きます。そうすれば、輪廻できません。
それ本当?
――本当です。私の力が及ばす、長い年月がかかってしまいました。あなたに託してよかった。ありがとう。
ううん。僕こそお礼を言うよ。助けてくれてありがとう。
――ここはどこ?
もしかして魔女?
――お前は、チュトラリーか! なぜ、お前の中に?
――諦めなさい。捕らえましたよ。
――ケアリーヌか! 元と言えば、人間どもがエルフに奇襲を掛けようと企んだからだ!
え? それって戦争?
――そうだ。それを阻止する為に、人間の国を滅ぼした。それなのに!
――やりすぎたのです! その証拠もないのですからあなたが逆に奇襲をかけた事になったのです!
――そうさ。私一人に罪を押し付けた。だからエルフも滅ぼす事にしたんだ。
――あなたは強大すぎた。それを恐れた同胞によって、嵌められたのでしょう。だからと言って、全てを無に返そうとするなんて!
――そうだとわかっていてもこの世界を救うのか?
――そういう者達は一部なのです。強大な力は、バランスを崩す。彼が、我々を受けれいてくれた。一緒に見守って行きましょう。
――見守る? 人間は高々100年しか生きないのだぞ?
――本来なら。ですが、私が力を貸しますので長生きできるでしょう。
ちょ。ちょっと待って! 体を保つって言っていたけど、もしかしてミューラちゃんみたいに年を取らないとか?
――いえ、エルフと同じ緩やかになります。
そう……それでも十分凄いけど。
――ほう。面白そうだな。ふん。ルイユを使役してあげるよ。
――残念ながらそれはできません。彼は、自我を持ち生きて行きます。その為に、私がいるのですから。
――それでは、本当に見守るだけではないか!
――はい。見守るだけです。後は、彼らに任せましょう。さあ皆が待っています。
うん。ケアリーヌさん、ありがとう。ルイユといる時間をくれてありがとう――。
『……様。主様』
『クテュール!』
あぁ。僕を呼ぶ皆の声が聞こえる。
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