179 / 245
◇176◇帰省
しおりを挟む
少しすると、バンと勢いよくドアが開き、ギルドマスターのロドリゴさんとサブギルドマスターのダイドさんが現れた。少し遅れてナットスさんも到着。
ロドリゴさん達は、走って来たようだ。
「無事だったんだな。問い合わせが来たから心配していたんだ」
ロドリゴさんが、イラーノを顔を見て安堵した様に言った。血が繋がっていなくてもさすが親だ。
「えっと、ただいま」
ちょっと照れたようにイラーノが言う。
「かなり早いけど、一回帰ってきました」
「奥で話そう」
ロドリゴさんは頷くと、くるっと背中を向けた。
部屋で話す事になり僕達は、ロドリゴさんの後について行く。
僕はクルッと後ろに振り向いた。リゼタも普通について来ている。
「何、ちゃっかりついて来てるのさ。リゼタは関係ないよね?」
「あるでしょう! 急にいなくなって!」
「リゼタに関係ないだろう?」
「そう……」
珍しくリゼタが反論もせず俯いた。
なんか、これはこれで調子が狂うんだけど。
「エジンでしょ?」
「え……?」
エジンが僕を殺そうとした事聞いたの?
「エジンが、クテュールをいじめていたんでしょ? だからって二人で街を出て行くなんて! 言ってくれればよかったのに。私、力になった」
そう聞いたんだ。
さてどうしよう。結局いつものパターンだ。
「リゼタ。君も一緒に来るといい」
「え……」
ロドリゴさんが、そう言うと嬉しそうにリゼタは頷く。
大事な話をするんじゃないの?
僕がため息をすると、隣で歩くイラーノもため息をしていた。
僕達がロドリゴさんの部屋に入ると、クルッとロドリゴさんはリゼタに振り向く。
「さて、リゼタ。これから我々は、大切な話し合いをする。君は大人しく、部屋で待っていてほしい」
「え!?」
自分も話に加えてもらえると思っていたリゼタは、驚いたようだ。
あそこで、言い合いをしても仕方がないと思ったロドリゴさんは、一旦リゼタを部屋に入れたらしい。
「なんで! 私、大人しくしているから」
「そう言う事じゃない。大切な話をすると言っただろう? ナットス悪いが、リゼタを自室に連れて行ってくれ」
「はい」
「え! そんな。ちょっと酷くない?」
文句を言うリゼタをナットスさんが部屋から連れ出した。ロドリゴさんが、ガチャリとカギを掛ける。
はぁ……と、ロドリゴさんもため息をついた。
「なんで、リゼタに会っちゃうかな」
ロドリゴさんが、そう零す。
それは仕方がない。冒険者ギルドの一階に居たのだから。
「それより、本当に無事でよかった」
「お父さんもギルドマスターのままでいられたんだね!」
「あぁ、ダイドやナットスのお蔭でな。お前達もあの場にいなかった事にうまくなった」
僕達は、作戦が成功した事に安堵する。
「で、何があったんだ? クテュールもドドイの子かと問い合わせがきていたが……」
ダイドさんが聞いて来た。
《主様。彼らを巻き込みたくないのなら私の事は話さない方がいいかもしれません》
そうかもしれない。
知っていて口裏を合わせるのと、知らないで協力するのとでは違う。
イラーノの事もこれ以上巻き込みたくないし。
「それなんだけど……」
「僕が話すよ」
イラーノが口を開き始めた時に僕がそう言うと、イラーノが驚いて僕に振り向いた。
「別にいいけど……」
「イラーノが、エルフと人間のハーフだとわかって襲われたんだ」
僕がそう切り出すと、イラーノは目を丸くして驚く。
「何!? 襲われたって誰にだ?」
「襲ってきたのはエルフ。それで、モイクナチ街から逃げ出した。そして、ある森に逃げ込んだらそこがエルフの森だったんだ」
驚くロドリゴさんに、エルフが住む場所を発見した事を伝えた。
「もう見つけたのか!」
更に驚いたロドリゴさんが言うと、僕はそうだと頷く。
「そこにイラーノの本当の父親のジュダーノさんがいた。凄く若く見えて驚いたけどね」
「ドドイさんが俺を連れて逃げたのは、ハーフの俺が殺されないようにジュダーノさんに頼まれたからだったんだ。ジュダーノさん達は、大事な役目があって仲間のエルフと一緒に森に住んでいたよ」
僕は、話を合わせて話し出したイラーノに驚いた。
「大事な役目?」
ダイドさんの言葉にイラーノは頷く。
「なんでも歴代のモンスターのボスが眠る墓守の仕事らしいよ」
なんで結局イラーノが語ってんの? って、その設定使うんだ。
でも、イラーノがそう言った事で、本当の話だと信じたみたい。
「僕らの問い合わせが来たのは、エルフに襲われたからだと思う」
「でもジュダーノさんが説得してくれて、俺をもう狙わないって。その代わりエルフの森の秘密は守って欲しいと……」
「そうか……」
先ほどまで緊張した感じだったけど、本当に安堵した様子で、ロドリゴさんは頷く。
よかった。うまく行った
ロドリゴさん達は、走って来たようだ。
「無事だったんだな。問い合わせが来たから心配していたんだ」
ロドリゴさんが、イラーノを顔を見て安堵した様に言った。血が繋がっていなくてもさすが親だ。
「えっと、ただいま」
ちょっと照れたようにイラーノが言う。
「かなり早いけど、一回帰ってきました」
「奥で話そう」
ロドリゴさんは頷くと、くるっと背中を向けた。
部屋で話す事になり僕達は、ロドリゴさんの後について行く。
僕はクルッと後ろに振り向いた。リゼタも普通について来ている。
「何、ちゃっかりついて来てるのさ。リゼタは関係ないよね?」
「あるでしょう! 急にいなくなって!」
「リゼタに関係ないだろう?」
「そう……」
珍しくリゼタが反論もせず俯いた。
なんか、これはこれで調子が狂うんだけど。
「エジンでしょ?」
「え……?」
エジンが僕を殺そうとした事聞いたの?
「エジンが、クテュールをいじめていたんでしょ? だからって二人で街を出て行くなんて! 言ってくれればよかったのに。私、力になった」
そう聞いたんだ。
さてどうしよう。結局いつものパターンだ。
「リゼタ。君も一緒に来るといい」
「え……」
ロドリゴさんが、そう言うと嬉しそうにリゼタは頷く。
大事な話をするんじゃないの?
僕がため息をすると、隣で歩くイラーノもため息をしていた。
僕達がロドリゴさんの部屋に入ると、クルッとロドリゴさんはリゼタに振り向く。
「さて、リゼタ。これから我々は、大切な話し合いをする。君は大人しく、部屋で待っていてほしい」
「え!?」
自分も話に加えてもらえると思っていたリゼタは、驚いたようだ。
あそこで、言い合いをしても仕方がないと思ったロドリゴさんは、一旦リゼタを部屋に入れたらしい。
「なんで! 私、大人しくしているから」
「そう言う事じゃない。大切な話をすると言っただろう? ナットス悪いが、リゼタを自室に連れて行ってくれ」
「はい」
「え! そんな。ちょっと酷くない?」
文句を言うリゼタをナットスさんが部屋から連れ出した。ロドリゴさんが、ガチャリとカギを掛ける。
はぁ……と、ロドリゴさんもため息をついた。
「なんで、リゼタに会っちゃうかな」
ロドリゴさんが、そう零す。
それは仕方がない。冒険者ギルドの一階に居たのだから。
「それより、本当に無事でよかった」
「お父さんもギルドマスターのままでいられたんだね!」
「あぁ、ダイドやナットスのお蔭でな。お前達もあの場にいなかった事にうまくなった」
僕達は、作戦が成功した事に安堵する。
「で、何があったんだ? クテュールもドドイの子かと問い合わせがきていたが……」
ダイドさんが聞いて来た。
《主様。彼らを巻き込みたくないのなら私の事は話さない方がいいかもしれません》
そうかもしれない。
知っていて口裏を合わせるのと、知らないで協力するのとでは違う。
イラーノの事もこれ以上巻き込みたくないし。
「それなんだけど……」
「僕が話すよ」
イラーノが口を開き始めた時に僕がそう言うと、イラーノが驚いて僕に振り向いた。
「別にいいけど……」
「イラーノが、エルフと人間のハーフだとわかって襲われたんだ」
僕がそう切り出すと、イラーノは目を丸くして驚く。
「何!? 襲われたって誰にだ?」
「襲ってきたのはエルフ。それで、モイクナチ街から逃げ出した。そして、ある森に逃げ込んだらそこがエルフの森だったんだ」
驚くロドリゴさんに、エルフが住む場所を発見した事を伝えた。
「もう見つけたのか!」
更に驚いたロドリゴさんが言うと、僕はそうだと頷く。
「そこにイラーノの本当の父親のジュダーノさんがいた。凄く若く見えて驚いたけどね」
「ドドイさんが俺を連れて逃げたのは、ハーフの俺が殺されないようにジュダーノさんに頼まれたからだったんだ。ジュダーノさん達は、大事な役目があって仲間のエルフと一緒に森に住んでいたよ」
僕は、話を合わせて話し出したイラーノに驚いた。
「大事な役目?」
ダイドさんの言葉にイラーノは頷く。
「なんでも歴代のモンスターのボスが眠る墓守の仕事らしいよ」
なんで結局イラーノが語ってんの? って、その設定使うんだ。
でも、イラーノがそう言った事で、本当の話だと信じたみたい。
「僕らの問い合わせが来たのは、エルフに襲われたからだと思う」
「でもジュダーノさんが説得してくれて、俺をもう狙わないって。その代わりエルフの森の秘密は守って欲しいと……」
「そうか……」
先ほどまで緊張した感じだったけど、本当に安堵した様子で、ロドリゴさんは頷く。
よかった。うまく行った
0
お気に入りに追加
2,052
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
かつてダンジョン配信者として成功することを夢見たダンジョン配信者マネージャー、S級ダンジョンで休暇中に人気配信者に凸られた結果バズる
竜頭蛇
ファンタジー
伊藤淳は都内の某所にあるダンジョン配信者事務所のマネージャーをしており、かつて人気配信者を目指していた時の憧憬を抱えつつも、忙しない日々を送っていた。
ある時、ワーカーホリックになりかねていた淳を心配した社長から休暇を取らせられることになり、特に休日に何もすることがなく、暇になった淳は半年先にあるS級ダンジョン『破滅の扉』の配信プロジェクトの下見をすることで時間を潰すことにする.
モンスターの攻撃を利用していたウォータースライダーを息抜きで満喫していると、日本発のS級ダンジョン配信という箔に目が眩んだ事務所のNO.1配信者最上ヒカリとそのマネージャーの大口大火と鉢合わせする.
その配信で姿を晒すことになった淳は、さまざまな実力者から一目を置かれる様になり、世界に名を轟かす配信者となる.
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
転生したら神だった。どうすんの?
埼玉ポテチ
ファンタジー
転生した先は何と神様、しかも他の神にお前は神じゃ無いと天界から追放されてしまった。僕はこれからどうすれば良いの?
人間界に落とされた神が天界に戻るのかはたまた、地上でスローライフを送るのか?ちょっと変わった異世界ファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる