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◇176◇帰省

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 少しすると、バンと勢いよくドアが開き、ギルドマスターのロドリゴさんとサブギルドマスターのダイドさんが現れた。少し遅れてナットスさんも到着。
 ロドリゴさん達は、走って来たようだ。

 「無事だったんだな。問い合わせが来たから心配していたんだ」

 ロドリゴさんが、イラーノを顔を見て安堵した様に言った。血が繋がっていなくてもさすが親だ。

 「えっと、ただいま」

 ちょっと照れたようにイラーノが言う。

 「かなり早いけど、一回帰ってきました」

 「奥で話そう」

 ロドリゴさんは頷くと、くるっと背中を向けた。
 部屋で話す事になり僕達は、ロドリゴさんの後について行く。
 僕はクルッと後ろに振り向いた。リゼタも普通について来ている。

 「何、ちゃっかりついて来てるのさ。リゼタは関係ないよね?」

 「あるでしょう! 急にいなくなって!」

 「リゼタに関係ないだろう?」

 「そう……」

 珍しくリゼタが反論もせず俯いた。
 なんか、これはこれで調子が狂うんだけど。

 「エジンでしょ?」

 「え……?」

 エジンが僕を殺そうとした事聞いたの?

 「エジンが、クテュールをいじめていたんでしょ? だからって二人で街を出て行くなんて! 言ってくれればよかったのに。私、力になった」

 そう聞いたんだ。
 さてどうしよう。結局いつものパターンだ。

 「リゼタ。君も一緒に来るといい」

 「え……」

 ロドリゴさんが、そう言うと嬉しそうにリゼタは頷く。
 大事な話をするんじゃないの?
 僕がため息をすると、隣で歩くイラーノもため息をしていた。
 僕達がロドリゴさんの部屋に入ると、クルッとロドリゴさんはリゼタに振り向く。

 「さて、リゼタ。これから我々は、大切な話し合いをする。君は大人しく、部屋で待っていてほしい」

 「え!?」

 自分も話に加えてもらえると思っていたリゼタは、驚いたようだ。
 あそこで、言い合いをしても仕方がないと思ったロドリゴさんは、一旦リゼタを部屋に入れたらしい。

 「なんで! 私、大人しくしているから」

 「そう言う事じゃない。大切な話をすると言っただろう? ナットス悪いが、リゼタを自室に連れて行ってくれ」

 「はい」

 「え! そんな。ちょっと酷くない?」

 文句を言うリゼタをナットスさんが部屋から連れ出した。ロドリゴさんが、ガチャリとカギを掛ける。
 はぁ……と、ロドリゴさんもため息をついた。

 「なんで、リゼタに会っちゃうかな」

 ロドリゴさんが、そう零す。
 それは仕方がない。冒険者ギルドの一階に居たのだから。

 「それより、本当に無事でよかった」

 「お父さんもギルドマスターのままでいられたんだね!」

 「あぁ、ダイドやナットスのお蔭でな。お前達もあの場にいなかった事にうまくなった」

 僕達は、作戦が成功した事に安堵する。

 「で、何があったんだ? クテュールもドドイの子かと問い合わせがきていたが……」

 ダイドさんが聞いて来た。

 《主様。彼らを巻き込みたくないのなら私の事は話さない方がいいかもしれません》

 そうかもしれない。
 知っていて口裏を合わせるのと、知らないで協力するのとでは違う。
 イラーノの事もこれ以上巻き込みたくないし。

 「それなんだけど……」

 「僕が話すよ」

 イラーノが口を開き始めた時に僕がそう言うと、イラーノが驚いて僕に振り向いた。

 「別にいいけど……」

 「イラーノが、エルフと人間のハーフだとわかって襲われたんだ」

 僕がそう切り出すと、イラーノは目を丸くして驚く。

 「何!? 襲われたって誰にだ?」

 「襲ってきたのはエルフ。それで、モイクナチ街から逃げ出した。そして、ある森に逃げ込んだらそこがエルフの森だったんだ」

 驚くロドリゴさんに、エルフが住む場所を発見した事を伝えた。

 「もう見つけたのか!」

 更に驚いたロドリゴさんが言うと、僕はそうだと頷く。

 「そこにイラーノの本当の父親のジュダーノさんがいた。凄く若く見えて驚いたけどね」

 「ドドイさんが俺を連れて逃げたのは、ハーフの俺が殺されないようにジュダーノさんに頼まれたからだったんだ。ジュダーノさん達は、大事な役目があって仲間のエルフと一緒に森に住んでいたよ」

 僕は、話を合わせて話し出したイラーノに驚いた。

 「大事な役目?」

 ダイドさんの言葉にイラーノは頷く。

 「なんでも歴代のモンスターのボスが眠る墓守の仕事らしいよ」

 なんで結局イラーノが語ってんの? って、その設定使うんだ。
 でも、イラーノがそう言った事で、本当の話だと信じたみたい。

 「僕らの問い合わせが来たのは、エルフに襲われたからだと思う」

 「でもジュダーノさんが説得してくれて、俺をもう狙わないって。その代わりエルフの森の秘密は守って欲しいと……」

 「そうか……」

 先ほどまで緊張した感じだったけど、本当に安堵した様子で、ロドリゴさんは頷く。
 よかった。うまく行った
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