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◆117◆ジーンの食事
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僕達は、まったりした時間を堪能した。
「そう言えば、もう少しで日が暮れるね。どうしようか?」
「そっか。じゃ、出発は明日にしない? ここなら安全だし」
「え!? こんな山奥で一泊!?」
安全なのに凄く驚かれた。
「大丈夫だよ。前に泊まった時は、キュイの天然羽毛で寝たよ。凄く寝心地いいよ」
「……いや、それは遠慮しておくよ。俺は、ジーンと一緒に寝ようかな」
ジーンとなら大丈夫なんだ……。
キュイは、動物には見えないか。
そう言えばキュイも僕が作ったネックウォーマーしてるけど、どんな効果があるんだろう?
効果の違いは、素材? 装備の種類? うーん。謎だ。
どうせなら鑑定スキルも欲しかったなぁ。
「ねえ、クテュールは食べ物持って来てる?」
「え? あ! 何もないや……」
「やっぱり。俺、干し肉ならあるからさ」
「え!?」
イラーノは、リュックの中をガサゴソとしている。
「お父さんには、冒険者なら何もなくても常に三日分ぐらいの食料は用意しておけって言われていてさ。俺は、街を出て行く事なんてないのにって思っていたけど、用意はしていた。どうせ、ご飯は用意しなくちゃいけなかったからね」
「そうなんだ」
ロドリゴさんにしたらいつ今みたいな事態になるかわからなかったから用意させておいたんだろうけど。
おかげで助かった!
「はい。ちょっとだけど」
「いいの?」
いいとイラーノは頷く。
まだ夕飯には早いけど、食べる事にした。よく考えれば、昼食なしだった。
僕が、イラーノの横に座るとジーンも横に来て座る。
そして、ジッと僕が持つ干し肉を見つめていた。
「もしかしてジーンって、これ食べれるの?」
『わからないが、おいしそうな匂いがする』
「へえ。モンスターって人間と同じ物食べるんだ。あ、そう言えば、リリンは草を食べていたっけ? じゃ、動物と変わらないんだ」
関心してイラーノは言う。
イラーノは、干し肉を出すと、ジーンの前に置いた。
「どうぞ」
『食べていいのか?』
「うん。いいって」
ジーンは、嬉しそうにぱくついた!
「食べた!」
イラーノは嬉しそうに言って、食べている姿を見つめている。
すっかり犬扱いだよ。
「でもあれだね。リリンはまだいいとして、ジーンの食事どうしようか? どれくらい食べるか知らないけど、必要だよね?」
そんな事、考えもつかなかった。
そっか。食事か。いつもどうしているんだろう?
「ねえ、ジーン。いつもは何食べてるの?」
『何でも食べれる。魚や動物、植物何でもだ。出来れば魔力が帯びている物がいい。まあ三日ほど食べなくても大丈夫だ』
「三日! 凄いね。魔力かぁ……。そんな食べ物あるの?」
「さあ? でも僕達よりは食べなくても大丈夫みたいだね」
あっという間に食べ終えたジーンは、まだ欲しいらしく僕の干し肉を見つめている。
あげたいけど、僕も食べないといけないから……。
「今日はもう終わりだよ」
『わかった』
ちょっと残念そうにジーンは言った。
しかし、イラーノが用意周到で助かった。
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
昼夜兼用のご飯を食べ終わったけど、寝るのにはまだ早い時間。
僕は、リリンを抱っこして、左隣にお座りをしているジーンを撫でていた。
右隣に座るイラーノは、サブギルドマスターのダイドさんに貰った本を見ている。
そう言えば、前に怖い目に遭ってると言うのに、どうしてイラーノもあの場所について来たんだろう?
「ねえ、ロドリゴさん達に何でついてきたの? この前、怖い目に遭ったばかりなのに……」
「うん?」
僕の質問に、イラーノは本から顔を上げて僕を見た。
「慌ててお父さんに教えに言ったらダイドさんも一緒に居て、だから言わない方がよかったんだってお父さん言われていて。二人共かなり焦っていたみたいで。それで、嫌な予感がするって言って、お父さんなんか怖い顔つきになっていて……」
イラーノは、本を閉じると膝を抱え、また話し出す。
「何か俺も胸騒ぎがしたから無理やりついていったんだ。お父さん達、あの人を追いかけたかったみたいだから仕方なく俺を連れて行ったんだ。ついて行ったところで、俺は戦えない。でもついて行ってよかった。お父さんを救えた」
そっか。心配でついていったのか。でもお蔭で助かった。
うん? でも待てよ。
ムダマンスって、僕達とミーレンが戦っているのを見ていたんだよね?
という事は、ロドリゴさん達もそれを見ていたって事?
「ねえ、変な質問だけど、暫く僕達の争い見ていたの?」
「え? えっと……。ご、ごめんね。追いかけていた人が直ぐに出ていかないから様子を伺っていて、俺達にも気がついていなかったからその人が参戦した時に、不意打ちしようとしたんだけど……」
その不意打ちが失敗したって事か。
ダイドさんが攻撃して気を逸らしているうちに、ロドリゴさんがムダマンスを倒すつもりだった。けど、あの鳥のモンスターが近づいた事を告げて失敗。
でも、イラーノには気づかなかったんだ。
「そう言えば、もう少しで日が暮れるね。どうしようか?」
「そっか。じゃ、出発は明日にしない? ここなら安全だし」
「え!? こんな山奥で一泊!?」
安全なのに凄く驚かれた。
「大丈夫だよ。前に泊まった時は、キュイの天然羽毛で寝たよ。凄く寝心地いいよ」
「……いや、それは遠慮しておくよ。俺は、ジーンと一緒に寝ようかな」
ジーンとなら大丈夫なんだ……。
キュイは、動物には見えないか。
そう言えばキュイも僕が作ったネックウォーマーしてるけど、どんな効果があるんだろう?
効果の違いは、素材? 装備の種類? うーん。謎だ。
どうせなら鑑定スキルも欲しかったなぁ。
「ねえ、クテュールは食べ物持って来てる?」
「え? あ! 何もないや……」
「やっぱり。俺、干し肉ならあるからさ」
「え!?」
イラーノは、リュックの中をガサゴソとしている。
「お父さんには、冒険者なら何もなくても常に三日分ぐらいの食料は用意しておけって言われていてさ。俺は、街を出て行く事なんてないのにって思っていたけど、用意はしていた。どうせ、ご飯は用意しなくちゃいけなかったからね」
「そうなんだ」
ロドリゴさんにしたらいつ今みたいな事態になるかわからなかったから用意させておいたんだろうけど。
おかげで助かった!
「はい。ちょっとだけど」
「いいの?」
いいとイラーノは頷く。
まだ夕飯には早いけど、食べる事にした。よく考えれば、昼食なしだった。
僕が、イラーノの横に座るとジーンも横に来て座る。
そして、ジッと僕が持つ干し肉を見つめていた。
「もしかしてジーンって、これ食べれるの?」
『わからないが、おいしそうな匂いがする』
「へえ。モンスターって人間と同じ物食べるんだ。あ、そう言えば、リリンは草を食べていたっけ? じゃ、動物と変わらないんだ」
関心してイラーノは言う。
イラーノは、干し肉を出すと、ジーンの前に置いた。
「どうぞ」
『食べていいのか?』
「うん。いいって」
ジーンは、嬉しそうにぱくついた!
「食べた!」
イラーノは嬉しそうに言って、食べている姿を見つめている。
すっかり犬扱いだよ。
「でもあれだね。リリンはまだいいとして、ジーンの食事どうしようか? どれくらい食べるか知らないけど、必要だよね?」
そんな事、考えもつかなかった。
そっか。食事か。いつもどうしているんだろう?
「ねえ、ジーン。いつもは何食べてるの?」
『何でも食べれる。魚や動物、植物何でもだ。出来れば魔力が帯びている物がいい。まあ三日ほど食べなくても大丈夫だ』
「三日! 凄いね。魔力かぁ……。そんな食べ物あるの?」
「さあ? でも僕達よりは食べなくても大丈夫みたいだね」
あっという間に食べ終えたジーンは、まだ欲しいらしく僕の干し肉を見つめている。
あげたいけど、僕も食べないといけないから……。
「今日はもう終わりだよ」
『わかった』
ちょっと残念そうにジーンは言った。
しかし、イラーノが用意周到で助かった。
◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆ ◆ ◇ ◇ ◇ ◆
昼夜兼用のご飯を食べ終わったけど、寝るのにはまだ早い時間。
僕は、リリンを抱っこして、左隣にお座りをしているジーンを撫でていた。
右隣に座るイラーノは、サブギルドマスターのダイドさんに貰った本を見ている。
そう言えば、前に怖い目に遭ってると言うのに、どうしてイラーノもあの場所について来たんだろう?
「ねえ、ロドリゴさん達に何でついてきたの? この前、怖い目に遭ったばかりなのに……」
「うん?」
僕の質問に、イラーノは本から顔を上げて僕を見た。
「慌ててお父さんに教えに言ったらダイドさんも一緒に居て、だから言わない方がよかったんだってお父さん言われていて。二人共かなり焦っていたみたいで。それで、嫌な予感がするって言って、お父さんなんか怖い顔つきになっていて……」
イラーノは、本を閉じると膝を抱え、また話し出す。
「何か俺も胸騒ぎがしたから無理やりついていったんだ。お父さん達、あの人を追いかけたかったみたいだから仕方なく俺を連れて行ったんだ。ついて行ったところで、俺は戦えない。でもついて行ってよかった。お父さんを救えた」
そっか。心配でついていったのか。でもお蔭で助かった。
うん? でも待てよ。
ムダマンスって、僕達とミーレンが戦っているのを見ていたんだよね?
という事は、ロドリゴさん達もそれを見ていたって事?
「ねえ、変な質問だけど、暫く僕達の争い見ていたの?」
「え? えっと……。ご、ごめんね。追いかけていた人が直ぐに出ていかないから様子を伺っていて、俺達にも気がついていなかったからその人が参戦した時に、不意打ちしようとしたんだけど……」
その不意打ちが失敗したって事か。
ダイドさんが攻撃して気を逸らしているうちに、ロドリゴさんがムダマンスを倒すつもりだった。けど、あの鳥のモンスターが近づいた事を告げて失敗。
でも、イラーノには気づかなかったんだ。
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