上 下
35 / 245

◇032◇二人の会話

しおりを挟む
 僕達は、森の中を歩いていた。
 何故かそのまま、リゼタもついて行く事になり五人で森を移動する。
 先頭は、エジン。その後ろに僕とリゼタ。しんがりをロドリゴさんとダイドさん。
 結局、エジンが崖を知っているという事で、案内をする事になった。
 同じ場所かわからないけど、崖なら一応知っているって事で……。本当に往生際悪い!

 暫く歩けば、あの崖についた。
 森から出た所で僕達は立ち止まる。

 「君達はここにいろ」

 ロドリゴさんに言われ、僕達三人は崖際まで見に行った二人をジッと見つめる。
 二人が崖下を見ている。

 (木はあるな)

 たぶん独り言だろうロドリゴさんの口の動きを見て、そう言えばそう言ってあった事を思い出す。
 咄嗟に言った事だったけど、枝があってよかった!

 (彼の二の舞だけは、させない! ちゃんと行動を見張っておけよ)

 (わかってますって、ロドリゴ。それにしても何の因果か、息子がテイマーなんてな)

 二人はそんな会話を交わしている。
 二の舞ってなんだ? 因果って?
 父さんは確か、魔剣士だったはず。テイマーなんて関係ないだろう?
 大体、テイマーは一カ国に一人いるかいないかの希少なジョブ。テイマーと出会う確率はかなり低い。
 って、僕を監視?

 もしかして、ダイドさんも父さんと一緒のメンバーだった? そんな感じがする。
 ……まさかと思うけど、母さんが言う様に、この人達に殺されたって事はないよね?
 調べてみよう。父さんの事を調べればきっと、二人の事もわかるはず! それにテイマーの事も!

 二人は、僕達の元へ戻って来た。

 「クテュール。君はここでモンスターと出会ったんだったな」

 「はい」

 「今の所、モンスターを感知してません。ここに来る間も」

 何が言いたいんだ? 僕が嘘をついていると言いたいのだろうか?

 「僕が言っていた事の方が、信憑性あると思うのですが? エジンは、ここを知っていたじゃないですか?」

 「な! 偶然だろう! 俺が知っていた崖が、お前が言う崖だっただけだ!」

 まだ頑張るんだ……。

 「ここでモンスターと出会ったんだぁ」

 ボソッと呟くリゼタは、一人興味津々に辺りを見渡していた。
 本当に、この人はマイペースと言うか、呑気と言うか……。

 「では戻ろう」

 ロドリゴさんの掛け声で、僕達は戻り馬車に乗って街へ向かった。
 今更だが、僕はもうお金がない!
 母さんに一か月ぐらい生活出来る分を借りようと思っていたんだった。
 うーん。どうしよう。ごはんとかって当たるのかな?
 エジンにお金なんて借りたくないし、リゼタに借りたら借りたで後で面倒になりそうだ。
 どうせなら馬車代がなければ、とりに戻れたのに……。
しおりを挟む
感想 71

あなたにおすすめの小説

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

ハズレ職業のテイマーは【強奪】スキルで無双する〜最弱の職業とバカにされたテイマーは魔物のスキルを自分のものにできる最強の職業でした〜

平山和人
ファンタジー
Sランクパーティー【黄金の獅子王】に所属するテイマーのカイトは役立たずを理由にパーティーから追放される。 途方に暮れるカイトであったが、伝説の神獣であるフェンリルと遭遇したことで、テイムした魔物の能力を自分のものに出来る力に目覚める。 さらにカイトは100年に一度しか産まれないゴッドテイマーであることが判明し、フェンリルを始めとする神獣を従える存在となる。 魔物のスキルを吸収しまくってカイトはやがて最強のテイマーとして世界中に名を轟かせていくことになる。 一方、カイトを追放した【黄金の獅子王】はカイトを失ったことで没落の道を歩み、パーティーを解散することになった。

俺だけレベルアップできる件~ゴミスキル【上昇】のせいで実家を追放されたが、レベルアップできる俺は世界最強に。今更土下座したところでもう遅い〜

平山和人
ファンタジー
賢者の一族に産まれたカイトは幼いころから神童と呼ばれ、周囲の期待を一心に集めていたが、15歳の成人の儀で【上昇】というスキルを授けられた。 『物質を少しだけ浮かせる』だけのゴミスキルだと、家族からも見放され、カイトは家を追放されることになった。 途方にくれるカイトは偶然、【上昇】の真の力に気づく。それは産まれた時から決まり、不変であるレベルを上げることができるスキルであったのだ。 この世界で唯一、レベルアップできるようになったカイトは、モンスターを倒し、ステータスを上げていく。 その結果、カイトは世界中に名を轟かす世界最強の冒険者となった。 一方、カイトの家族は彼の活躍を耳にしてカイトを追放したことを後悔するのであった。

俺だけに効くエリクサー。飲んで戦って気が付けば異世界最強に⁉

まるせい
ファンタジー
異世界に召喚された熱海 湊(あたみ みなと)が得たのは(自分だけにしか効果のない)エリクサーを作り出す能力だった。『外れ異世界人』認定された湊は神殿から追放されてしまう。 貰った手切れ金を元手に装備を整え、湊はこの世界で生きることを決意する。

異世界でぺったんこさん!〜無限収納5段階活用で無双する〜

KeyBow
ファンタジー
 間もなく50歳になる銀行マンのおっさんは、高校生達の異世界召喚に巻き込まれた。  何故か若返り、他の召喚者と同じ高校生位の年齢になっていた。  召喚したのは、魔王を討ち滅ぼす為だと伝えられる。自分で2つのスキルを選ぶ事が出来ると言われ、おっさんが選んだのは無限収納と飛翔!  しかし召喚した者達はスキルを制御する為の装飾品と偽り、隷属の首輪を装着しようとしていた・・・  いち早くその嘘に気が付いたおっさんが1人の少女を連れて逃亡を図る。  その後おっさんは無限収納の5段階活用で無双する!・・・はずだ。  上空に飛び、そこから大きな岩を落として押しつぶす。やがて救った少女は口癖のように言う。  またぺったんこですか?・・・

大工スキルを授かった貧乏貴族の養子の四男だけど、どうやら大工スキルは伝説の全能スキルだったようです

飼猫タマ
ファンタジー
田舎貴族の四男のヨナン・グラスホッパーは、貧乏貴族の養子。義理の兄弟達は、全員戦闘系のレアスキル持ちなのに、ヨナンだけ貴族では有り得ない生産スキルの大工スキル。まあ、養子だから仕方が無いんだけど。 だがしかし、タダの生産スキルだと思ってた大工スキルは、じつは超絶物凄いスキルだったのだ。その物凄スキルで、生産しまくって超絶金持ちに。そして、婚約者も出来て幸せ絶頂の時に嵌められて、人生ドン底に。だが、ヨナンは、有り得ない逆転の一手を持っていたのだ。しかも、その有り得ない一手を、本人が全く覚えてなかったのはお約束。 勿論、ヨナンを嵌めた奴らは、全員、ザマー百裂拳で100倍返し! そんなお話です。

黄金蒐覇のグリード 〜力と財貨を欲しても、理性と対価は忘れずに〜

黒城白爵
ファンタジー
 とある異世界を救い、元の世界へと帰還した玄鐘理音は、その後の人生を平凡に送った末に病でこの世を去った。  死後、不可思議な空間にいた謎の神性存在から、異世界を救った報酬として全盛期の肉体と変質したかつての力である〈強欲〉を受け取り、以前とは別の異世界にて第二の人生をはじめる。  自由気儘に人を救い、スキルやアイテムを集め、敵を滅する日々は、リオンの空虚だった心を満たしていく。  黄金と力を蒐集し目指すは世界最高ランクの冒険者。  使命も宿命も無き救世の勇者は、今日も欲望と理性を秤にかけて我が道を往く。 ※ 更新予定日は【月曜日】と【金曜日】です。 ※第301話から更新時間を朝5時からに変更します。

【完結】ご都合主義で生きてます。-ストレージは最強の防御魔法。生活魔法を工夫し創生魔法で乗り切る-

ジェルミ
ファンタジー
鑑定サーチ?ストレージで防御?生活魔法を工夫し最強に!! 28歳でこの世を去った佐藤は、異世界の女神により転移を誘われる。 しかし授かったのは鑑定や生活魔法など戦闘向きではなかった。 しかし生きていくために生活魔法を組合せ、工夫を重ね創生魔法に進化させ成り上がっていく。 え、鑑定サーチてなに? ストレージで収納防御て? お馬鹿な男と、それを支えるヒロインになれない3人の女性達。 スキルを試行錯誤で工夫し、お馬鹿な男女が幸せを掴むまでを描く。 ※この作品は「ご都合主義で生きてます。商売の力で世界を変える」を、もしも冒険者だったら、として内容を大きく変えスキルも制限し一部文章を流用し前作を読まなくても楽しめるように書いています。 またカクヨム様にも掲載しております。

処理中です...