18 / 245
◆015◆冒険者の証◎
しおりを挟む
向かった先はカウンターだった。
「証出来てる?」
ナットスさんが聞くと、受付のお兄さんは頷いて、ブレスレットをナットスさんに手渡した。
「その子を抱っこしていると、自分でつけられないな。俺が付けてやるから左手を出して」
そうナットスさんに言われ、僕が素直に左手を出すと、ブレスレットを僕の左腕に嵌めた。
カチャ。
ブレスレットは、碧く澄んだ直径三センチの平たくした石を繋ぎ合わせたものみたいで、一つだけ魔法陣が刻んであった。
「では、ここに手を通して下さい」
僕がブレスレットを嵌めたのを見た、カウンターのお兄さんが言った。
カウンターには、筒の形の装置があった。
そこに手を通して、証であるブレスレットがその装置の中に入ると、装置の中で光が、ブレスレットの情報でも読み取るように一周する。
そうすると、装置に文字が出た!
――クテュール レベル0 ジョブ:テイマー 男 備考:裁縫の加護
「うん? 何でしょう? この、裁縫の加護って……」
文字は、装置の側面に表示されていて、お兄さん側にも表示されているみたいで、カウンターのお兄さんが首を傾げている。
うーん。一応、好きなだけ裁縫がしたいって希望は、叶えたみたいだけど。状況は、今現在出来る環境じゃない!
なんで、こう上手くいかないんだろう!
「テイマーに全く関係ないな」
ナットスさんも腕組をして首を傾げている。
「まあ。何かに影響するような加護でもなさそうだし。取りあえず今日は、家に戻って必要最小限の荷物を持って、明日からここに寝泊りしてもらう。あ、その子は、森に一旦戻してもらってもいいかい? モンスターは、街や村には許可なく入れてはいけないから。覚えておくように」
「はい。わかりました……」
うーん。暫くは森に行けなさそうだ。
ジーンがいないと、キュイの所には一日かけても僕じゃ行けないだろうし。
僕達の思惑通りに事は進まなかった。
最悪なのは、エジンと同じ冒険者ギルドに寝泊りする事になった事だ。
もう何もしてこないとは思うけど……。
「じゃ、一緒に帰ろうか?」
にっこりと何故かリゼタが言った。
「うん? 僕一人でも帰れるけど?」
「何言ってるのよ。またふらっとどこかに行った困るでしょうに!」
「………」
そうだった。リゼタは言い出したらきかないかった。
まあ、一緒に行くぐらい……やめた方がいいかも。エジンが凄い怖い顔で僕を睨んでる。
あぁ、エジンはリゼタが好きだったっけ? いやそう聞いた訳じゃなく、見ていてそう思ったんだけど、間違いないね。
めんどくさ!
リゼタを断るのも大変そうだし、一緒に行ったらエジンにまた命を狙われそうだよ!
関わりたくないのに!
「ほら行くわよ」
「ちょ……だから僕一人で行くから!」
そう言ったのにリゼタは、僕の左手を強引に引っ張った!
何でこうなるんだ。
「証出来てる?」
ナットスさんが聞くと、受付のお兄さんは頷いて、ブレスレットをナットスさんに手渡した。
「その子を抱っこしていると、自分でつけられないな。俺が付けてやるから左手を出して」
そうナットスさんに言われ、僕が素直に左手を出すと、ブレスレットを僕の左腕に嵌めた。
カチャ。
ブレスレットは、碧く澄んだ直径三センチの平たくした石を繋ぎ合わせたものみたいで、一つだけ魔法陣が刻んであった。
「では、ここに手を通して下さい」
僕がブレスレットを嵌めたのを見た、カウンターのお兄さんが言った。
カウンターには、筒の形の装置があった。
そこに手を通して、証であるブレスレットがその装置の中に入ると、装置の中で光が、ブレスレットの情報でも読み取るように一周する。
そうすると、装置に文字が出た!
――クテュール レベル0 ジョブ:テイマー 男 備考:裁縫の加護
「うん? 何でしょう? この、裁縫の加護って……」
文字は、装置の側面に表示されていて、お兄さん側にも表示されているみたいで、カウンターのお兄さんが首を傾げている。
うーん。一応、好きなだけ裁縫がしたいって希望は、叶えたみたいだけど。状況は、今現在出来る環境じゃない!
なんで、こう上手くいかないんだろう!
「テイマーに全く関係ないな」
ナットスさんも腕組をして首を傾げている。
「まあ。何かに影響するような加護でもなさそうだし。取りあえず今日は、家に戻って必要最小限の荷物を持って、明日からここに寝泊りしてもらう。あ、その子は、森に一旦戻してもらってもいいかい? モンスターは、街や村には許可なく入れてはいけないから。覚えておくように」
「はい。わかりました……」
うーん。暫くは森に行けなさそうだ。
ジーンがいないと、キュイの所には一日かけても僕じゃ行けないだろうし。
僕達の思惑通りに事は進まなかった。
最悪なのは、エジンと同じ冒険者ギルドに寝泊りする事になった事だ。
もう何もしてこないとは思うけど……。
「じゃ、一緒に帰ろうか?」
にっこりと何故かリゼタが言った。
「うん? 僕一人でも帰れるけど?」
「何言ってるのよ。またふらっとどこかに行った困るでしょうに!」
「………」
そうだった。リゼタは言い出したらきかないかった。
まあ、一緒に行くぐらい……やめた方がいいかも。エジンが凄い怖い顔で僕を睨んでる。
あぁ、エジンはリゼタが好きだったっけ? いやそう聞いた訳じゃなく、見ていてそう思ったんだけど、間違いないね。
めんどくさ!
リゼタを断るのも大変そうだし、一緒に行ったらエジンにまた命を狙われそうだよ!
関わりたくないのに!
「ほら行くわよ」
「ちょ……だから僕一人で行くから!」
そう言ったのにリゼタは、僕の左手を強引に引っ張った!
何でこうなるんだ。
0
お気に入りに追加
2,052
あなたにおすすめの小説
うっかり『野良犬』を手懐けてしまった底辺男の逆転人生
野良 乃人
ファンタジー
辺境の田舎街に住むエリオは落ちこぼれの底辺冒険者。
普段から無能だの底辺だのと馬鹿にされ、薬草拾いと揶揄されている。
そんなエリオだが、ふとした事がきっかけで『野良犬』を手懐けてしまう。
そこから始まる底辺落ちこぼれエリオの成り上がりストーリー。
そしてこの世界に存在する宝玉がエリオに力を与えてくれる。
うっかり野良犬を手懐けた底辺男。冒険者という枠を超え乱世での逆転人生が始まります。
いずれは王となるのも夢ではないかも!?
◇世界観的に命の価値は軽いです◇
カクヨムでも同タイトルで掲載しています。
残滓と呼ばれたウィザード、絶望の底で大覚醒! 僕を虐げてくれたみんなのおかげだよ(ニヤリ)
SHO
ファンタジー
15歳になり、女神からの神託の儀で魔法使い(ウィザード)のジョブを授かった少年ショーンは、幼馴染で剣闘士(ソードファイター)のジョブを授かったデライラと共に、冒険者になるべく街に出た。
しかし、着々と実績を上げていくデライラとは正反対に、ショーンはまともに魔法を発動する事すら出来ない。
相棒のデライラからは愛想を尽かされ、他の冒険者たちからも孤立していくショーンのたった一つの心の拠り所は、森で助けた黒ウサギのノワールだった。
そんなある日、ショーンに悲劇が襲い掛かる。しかしその悲劇が、彼の人生を一変させた。
無双あり、ザマァあり、復讐あり、もふもふありの大冒険、いざ開幕!
SSS級宮廷錬金術師のダンジョン配信スローライフ
桜井正宗
ファンタジー
帝国領の田舎に住む辺境伯令嬢アザレア・グラジオラスは、父親の紹介で知らない田舎貴族と婚約させられそうになった。けれど、アザレアは宮廷錬金術師に憧れていた。
こっそりと家出をしたアザレアは、右も左も分からないままポインセチア帝国を目指す。
SSS級宮廷錬金術師になるべく、他の錬金術師とは違う独自のポーションを開発していく。
やがて帝国から目をつけられたアザレアは、念願が叶う!?
人生逆転して、のんびりスローライフ!
エラーから始まる異世界生活
KeyBow
ファンタジー
45歳リーマンの志郎は本来異世界転移されないはずだったが、何が原因か高校生の異世界勇者召喚に巻き込まれる。
本来の人数より1名増の影響か転移処理でエラーが発生する。
高校生は正常?に転移されたようだが、志郎はエラー召喚されてしまった。
冤罪で多くの魔物うようよするような所に放逐がされ、死にそうになりながら一人の少女と出会う。
その後冒険者として生きて行かざるを得ず奴隷を買い成り上がっていく物語。
某刑事のように”あの女(王女)絶対いずれしょんべんぶっ掛けてやる”事を当面の目標の一つとして。
実は所有するギフトはかなりレアなぶっ飛びな内容で、召喚された中では最強だったはずである。
勇者として活躍するのかしないのか?
能力を鍛え、復讐と色々エラーがあり屈折してしまった心を、召還時のエラーで壊れた記憶を抱えてもがきながら奴隷の少女達に救われるて変わっていく第二の人生を歩む志郎の物語が始まる。
多分チーレムになったり残酷表現があります。苦手な方はお気をつけ下さい。
初めての作品にお付き合い下さい。
赤子に拾われた神の武器
ウサギ卿
ファンタジー
神が人々の救済の為に創られた武器、オリハルコン。
それは世界の危機、種族の危機の度に天より人々の元へと遣わされた。
神の武器は持つ者によりあらゆる武器へと姿を変えた。
持つ者は神の力の一端を貸し与えられた。
そして持つ者の不幸を視続けてきた。
ある夜、神の武器は地へと放たれる。
そして赤子に触れて形を成した。
武器ではなくヒトの姿に。
「・・・そうか、汝が・・・求めたのだな?・・・母を」
そうしてヒトとなった神の武器と赤子の旅が始まった。
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
9/25 サブタイトルを付けました。
10/16 最近これはダークファンタジーに分類されるような気がしています。
コミカル風な。
10/19 内容紹介を変更しました。
7/12 サブタイトルを外しました
長々と文章を綴るのは初めてで、読みにくい点多々あると思います。
長期連載漫画のように、初期の下手な絵から上手な絵になれたら嬉しいですね。
分類するのであれば多分ほのぼの、ではありますが、走っている子供がコケて膝小僧を擦りむいて指を差しながら「みて!コケた!痛い!血でた!ハハハ」みたいなほのぼのだと思います。
・・・違うかもしれません。
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
転生貴族のハーレムチート生活 【400万ポイント突破】
ゼクト
ファンタジー
ファンタジー大賞に応募中です。 ぜひ投票お願いします
ある日、神崎優斗は川でおぼれているおばあちゃんを助けようとして川の中にある岩にあたりおばあちゃんは助けられたが死んでしまったそれをたまたま地球を見ていた創造神が転生をさせてくれることになりいろいろな神の加護をもらい今貴族の子として転生するのであった
【不定期になると思います まだはじめたばかりなのでアドバイスなどどんどんコメントしてください。ノベルバ、小説家になろう、カクヨムにも同じ作品を投稿しているので、気が向いたら、そちらもお願いします。
累計400万ポイント突破しました。
応援ありがとうございます。】
ツイッター始めました→ゼクト @VEUu26CiB0OpjtL
最難関ダンジョンで裏切られ切り捨てられたが、スキル【神眼】によってすべてを視ることが出来るようになった冒険者はざまぁする
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
【第15回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作】
僕のスキル【神眼】は隠しアイテムや隠し通路、隠しトラップを見破る力がある。
そんな元奴隷の僕をレオナルドたちは冒険者仲間に迎え入れてくれた。
でもダンジョン内でピンチになった時、彼らは僕を追放した。
死に追いやられた僕は世界樹の精に出会い、【神眼】のスキルを極限まで高めてもらう。
そして三年の修行を経て、僕は世界最強へと至るのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる