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第53話 暴露した秘密

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 「そうでしたか。ご無事で何より。しかし、急を要する程の事があったのですか? 彼は、ぴんぴんしているようですが」

 「ミルアビさん、今までの話の中で、マカリーさんは治癒できる精霊と契約していた事がわかる。治したのだろう」

 「なるほど」

 サイグルドが言うと、ミルアビは頷いた。

 「それよりもなぜ孫を連れて来て、エルドアリス様を置いて来たのだ? 居場所がばれたのだろう?」

 「今は、安全な場所におります」

 イグーレンの問いにマカリーが答えた。

 「やっと、尻尾を出したな」

 サイグルドがマカリーに言った。王臣達もその言葉に驚いている。

 尻尾を出したってどういう事?

 ルナードは、マカリーに言われるまで、犯人を言うなと言われていた。だから大人しく見守っていたのだが、今の台詞だとマカリーが悪者の様な言い回しだ。

 「陛下にお伝えする暇もないほど切羽詰まった状態だから、殿下を連れてここに来たが、エルドアリス様は安全な場所におられると? ならば、殿下もそこに匿い、まずは殿下に伝えるべきでしょう。あなたは、陛下を欺き何をしようとしております?」

 信じられない言葉をサイグルドがマカリーに言った。

 「確かにサイグルドさんの言う通りだ。もし置いて来た方が危険がないのならそうするだろう。さては、この中にいると我々の誰かに濡れ衣を着せる気だったな?」

 ミルアビがマカリーに疑惑を向けた。いや、王臣達の目は全員そう言う目でマカリーを見ている。

 「待ちなさい。まずは、詳しく話を聞こうではないか」

 「陛下。先に疑惑を掛けて来たのは、彼ですよ? 王臣の中にいると」

 イグーレンが言うと、陛下は首を横に振った。

 「あなた達が怪しいと言ったのは私なのだ。すまない」

 四人は、絶句して陛下を見ていた。そそのかされたわけではないと言われ、四人はショックを隠し切れない。しかも十年以上そう言う目で見ていた事になる。

 「今回ここに来たのは、もしかしたらレノイディ様の身も危ないかもしれないからだったのです。しかし陛下に直接知らせる手立てがなく、このような強硬手段を取りました」

 「なんだと? 一体何が目的なんだ?」

 「お待ちください。陛下。この者は、先ほどから矛盾した事を言っていると言ったではありませんか。レノイディ様の命でしたらいつでも狙えたのですよ?」

 イグーレンが言うと、そうだそうだと三人は頷く。

 「陛下。やっと彼らの策略がわかりました」

 「か、彼らの策略?」

 「えぇ。陛下も殿下も全員騙されておいででしたのです。マカリー一家にね。大体、偶然過ぎるではありませんか。お願い事でしたか? それをするのにあの時間に訪れるなどまずありません。すべて仕掛けられていたのです」

 そう驚く事を冷ややかな瞳でサイグルドは言った。
 まさか一家ぐるみと言われると思っていなかったルナード達は、あんぐりとしてしまった。
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