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第50話 乗り込んだ四人
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「では閉会」
紺色に白髪が入り混じっている男――ミルアビが言うと、ぞろぞろ神官たちが立ち上がった。そして、ドアをあけ部屋から出て行く。
その一人が、外にいた人物に気がつき声を掛けた。
「あなたの担当区域だと言うのに欠席だとは。何をしに来たか知りませんが、もう終わりましたよ。これから王臣と陛下のみで打ち合わせです。謝るなら後になさってはいかがでしょう? マカリーさん」
「それはご丁寧にありがとうございます。謝罪ではありませんので」
軽くマカリーが頭を下げると、そうかと他の者と同じく歩きだす。全員出て行ったのを見計らい、マカリーは中に入って行く。
「失礼します」
「これはこれはマカリーさん。今日は欠席とお聞き致しましたが? 今しがた会議は終了致しました。お引き取り下さい。これから我々のみでの打ち合わせになります」
王臣の一人のサイグルドが冷ややかな目つきで言った。
「はい。先ほどお聞きしました。ですが、陛下に急用ができましたので、訪ねました」
「私にか? なんだ?」
「はい。探していた人物が見つかりました」
「何!?」
国王陛下は、驚いていた。何故このタイミングだと思ったのだ。探していた人物とは、ディアルディの事だとすぐにわかった。だが国王陛下は、二人がどこに匿われていたかは知らないが、マカリーが匿っていたのは知っている。自分で頼んだのだから当然だ。
王臣の中に犯人がいると思っていたからこそ、そうしたのにその王臣達の前で見つかったと言ったのだ。
どういうつもりだと思いつつも探していた人物が見つかったのに、後にしろとも言えず、うむと頷いた。
「その者は、連れて来ているのか?」
「はい、お連れしてきています」
不安はあるものの十数年ぶりだ。二人に会いたい。そう思った陛下は「連れてまいれ」とマカリーに命じた。
「フィタード」
マカリーが、ドアに向かって声を掛けると、フィタードが礼をして入って来た。そしてその後ろからディアルディが続き、最後にルナードも入る。
王臣達は、襲った一人を除きディアルディとルナードを知らない。誰だと言う感じで見つめている。
「彼が、息子のディアルディなのか」
「はい。そうです」
「息子だと!?」
王臣の一人イグーレンが声を上げた。
確かイグーレンさんだ。
声を上げた彼をルナードはチラッと見た。
マカリーから王臣達の名前を事前に聞いていたのだ。イグーレンはほとんどが白髪だが元の茶色髪がまばらの眼鏡を掛けた神官。
白髪が一切ない赤髪の神官が、サイグルド。焦げ茶色の髪が、静観しているウィドガだ。
「こちらへ参れ」
「はい……」
呼ばれたディアルディは、緊張した趣で陛下に向かって行く。
「陛下、危険です。その者が本物かどうかわかりません!」
ミルアビがそう言うも大丈夫だと返す。
ディアルディは、事前にマカリーに言われていた通り、陛下の前で跪いた。
紺色に白髪が入り混じっている男――ミルアビが言うと、ぞろぞろ神官たちが立ち上がった。そして、ドアをあけ部屋から出て行く。
その一人が、外にいた人物に気がつき声を掛けた。
「あなたの担当区域だと言うのに欠席だとは。何をしに来たか知りませんが、もう終わりましたよ。これから王臣と陛下のみで打ち合わせです。謝るなら後になさってはいかがでしょう? マカリーさん」
「それはご丁寧にありがとうございます。謝罪ではありませんので」
軽くマカリーが頭を下げると、そうかと他の者と同じく歩きだす。全員出て行ったのを見計らい、マカリーは中に入って行く。
「失礼します」
「これはこれはマカリーさん。今日は欠席とお聞き致しましたが? 今しがた会議は終了致しました。お引き取り下さい。これから我々のみでの打ち合わせになります」
王臣の一人のサイグルドが冷ややかな目つきで言った。
「はい。先ほどお聞きしました。ですが、陛下に急用ができましたので、訪ねました」
「私にか? なんだ?」
「はい。探していた人物が見つかりました」
「何!?」
国王陛下は、驚いていた。何故このタイミングだと思ったのだ。探していた人物とは、ディアルディの事だとすぐにわかった。だが国王陛下は、二人がどこに匿われていたかは知らないが、マカリーが匿っていたのは知っている。自分で頼んだのだから当然だ。
王臣の中に犯人がいると思っていたからこそ、そうしたのにその王臣達の前で見つかったと言ったのだ。
どういうつもりだと思いつつも探していた人物が見つかったのに、後にしろとも言えず、うむと頷いた。
「その者は、連れて来ているのか?」
「はい、お連れしてきています」
不安はあるものの十数年ぶりだ。二人に会いたい。そう思った陛下は「連れてまいれ」とマカリーに命じた。
「フィタード」
マカリーが、ドアに向かって声を掛けると、フィタードが礼をして入って来た。そしてその後ろからディアルディが続き、最後にルナードも入る。
王臣達は、襲った一人を除きディアルディとルナードを知らない。誰だと言う感じで見つめている。
「彼が、息子のディアルディなのか」
「はい。そうです」
「息子だと!?」
王臣の一人イグーレンが声を上げた。
確かイグーレンさんだ。
声を上げた彼をルナードはチラッと見た。
マカリーから王臣達の名前を事前に聞いていたのだ。イグーレンはほとんどが白髪だが元の茶色髪がまばらの眼鏡を掛けた神官。
白髪が一切ない赤髪の神官が、サイグルド。焦げ茶色の髪が、静観しているウィドガだ。
「こちらへ参れ」
「はい……」
呼ばれたディアルディは、緊張した趣で陛下に向かって行く。
「陛下、危険です。その者が本物かどうかわかりません!」
ミルアビがそう言うも大丈夫だと返す。
ディアルディは、事前にマカリーに言われていた通り、陛下の前で跪いた。
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