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第48話 違和感

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 やっぱり違和感がある。

 話を聞いたルナードは、うーんとうなる。

 「難しかったか?」

 「いいえ。それよりその話からすると、ミルアビで間違いないとなって見当はずれではないのでは?」

 「そこなのだ。誰しもが彼だと疑った。他にいるとすれば、彼を貶める為だ」

 「貶める……なるほど。それか」

 違和感は、それだとルナードは思った。

 「精霊パニックを思いつく様な頭が切れる者が、自分ですとわかるような方法は取らないって事ですよね?」

 「そういう事だ」

 ルナードの言葉に、マカリーは頷いた。
 ミルアビを犯人仕立てる作戦という事だ。

 「ここで問題なのは、何が目的かだ。ミルアビを貶める事なのか、その裏に何かあるのか。あるとしたら何なのか。たぶん私達に出会わなければ、ディ達は死んでいた。もし二人を殺すのも目的なら、果たされていない」

 「でもミルアビを貶める為だけに、王族を殺そうとはしないでしょう?」

 「あぁ。私もそう思った。簡単に行く作戦でもないからな。つまり目的は、ディ達を殺す事で、その罪をミルアビに掛かる様に仕立て上げた者だ。そうなると、何の為に、ディ達を殺す必要があったかだ」

 「それはわかったの?」

 マカリーは、頷いた。

 「特例中の特例があったのだ。男子が生まれなかった場合、女子でもよい」

 「いたの?」

 「いやいない」

 「え?」

 ルナードは、眉を顰める。

 「もう一つあったのだ。一度もその特例は使われた事がなかったが、子が生まれなかった場合、王臣の子をもらい受ける」

 「それって……」

 「そうだ。狙われているのは、ディだけではなかったのだ。第一王子のレノイディ様もだ。ただしあと3か月もすれば、子供が生まれる。その子が男子でも女子でも生まれてしまえば、この作戦は成功しない」

 「じゃ、向こうのタイムリミットは、子供が生まれるまで!?」

 「私達の推測だ正しければな。まだ、レノイディ様を狙う素振りはない。だが、ディが生きていたとわかった途端、襲ってきた。つまり諦めてはいない。しかも策が粗い事から、悠長にしている時間が相手にないのだろう」

 「もしかしてそれって」

 「そうだ。レノイディ様の暗殺計画は着々と進んでいるって事だろう。たぶんな」

 でも本当にそうなんだろうか?

 「なあ、一つだけ不思議なんだけど、もしミルアビを語るモノがルナードを襲ったとして、何が目的? 相手は俺があそこにいるのを知っているんだよな? そこまでするなら直接襲いにくればよくないか?」

 「え?」

 ディアルディの言葉に、驚いて二人は彼を見た。少し険しい顔つきになっている。

 「聞いていたらそれぐらい簡単に出来そうなんだけど……」

 それって、目的は私を殺す事だったって事!?
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