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第47話 見えない抗争

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 「あの一つわからない事があるのですが。ミルアビは、ディアルディさんが邪魔だと言っていました。何故ですか?」

 チラッとディアルディを見てから聞きづらそうにマカリーに聞いた。

 「王臣には、派閥みたいのがあってな。本妻側と第二婦人に着く側と別れている。まあ、要はごますりみたいなものだな。どちらかの子供が王位を受け継ぐ事になるかな」

 「あ、今の王子ってどっちの方なのですか?」

 「第一王子は、第二婦人の子だ。こういう情報は伏せられているから口外はするなよ」

 ルナードは、わかったと頷いた。

 ミルアビが言っていた事は本当だった。でも普通、本妻と一緒にかくまってもらうか? 自分で守らないのか?

 「うーん。なぜにマカリー様に預けたのでしょう? そんなに信頼できたのでしょうか? 確かに、その時の王臣よりはあったでしょうが……」

 「……お前だ、ルナード」

 「私?」

 「陛下も自分の家族は大事だ。私達もな。信頼より取引に近いものだった。王臣が相手なので、陛下もその後我々に連絡は一切して来なかった。普段連絡を取らない者と連絡を取れば、すぐにバレてしまうからな」

 「そこまでして守ったのですか?」

 「そうしないと守れないと思ったのだろう。精霊パニックなど、思いついたとしても実行するのは難しい。それをした相手だ。どんな手を使ってくるかわからない」

 なるほどと。ルナードは頷く。

 「狙われたのは、本妻とその子供。まだディは二歳だった。第二王子以降は、三歳になってからのお披露目になり、生まれた事も国民には知らせない。知っているのは、王臣ぐらいだ。私も子供がいたとは知らなった。ただ本妻の顔は知っていた。なので知った時は、凄く驚いた」

 「で、二人が狙われた理由って何?」

 「これこそ政治がらみだろう。ここからちょっと難しい話になる」

 そう前置きをして、マカリーは推測を話し始めた――。

 本妻との間に中々子供に恵まれず、第二婦人の間に子を授かった。それがレノイディだ。どちらの子は公表されず、誕生した事を公表する。その二年後、本妻との間に男の子が誕生したのだ。
 本妻の子が後に生まれるなど滅多にない事だった。ディアルディが生まれなければ、第二婦人の子の第一王子が男子を産めば、王位継承が第一王子に確定だ。
 だがたった二年しか歳が離れていないので、本妻の第二王子を先に結婚させ男子を産ませれば、本妻の第二王子が王位を受け継ぐ事が出来てしまう。

 そういう状況でディアルディが狙われ、第二婦人達は無事だった。その事から第二婦人側についていたミルアビが怪しいとなった。その時、第二婦人側についていたのは、彼だけだったのだ。
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