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第40話 ミルアビの目的
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「わざわざ会議の前に来て、そんな話を聞きに来たのですか? あるわけないでしょう? ディアルディさんを見た事をありますか? あの人を男だと言ったのは誰です? お会いしてみたいものです」
ルナードは、ワザとそう言ってやった。
「私は、お会いした事はないのですが……。絶対に違うと言い切れますか?」
「ずっと不思議だと思った事が一つあった。私達を襲ったゴロツキ達は、二人の男を襲えと言われたと言っていた。精霊を使って探し当てたなら、ついそう言っても仕方がないですよね?」
「おや、いきなりなんの話です?」
「昨日、私達を襲ったのもあなただ。どういうつもりで、ディアルディさんを王子に仕立て上げようとしているのか知らないが……」
ルナードには、昨日と同一人物だとわかっていた。精霊に印をつけさせたのだ。彼には、その印があった!
「あははは。驚いた。何も聞かなかったのか?」
「え?」
そう言えば、何者かを聞くのを忘れていた。
ルナードは、あの時、そんな所ではなかった。頭がパニックになっていて、ディアルディが何者かなんて、考える余裕はなかったのだ。
「あなたの話からいくと、その王子を殺そうとしたという事になりますが?」
「邪魔なのでね」
「第二王子がですか?」
「えぇ。本当に知らないのか? 第二王子だが本妻の子だ。第一王子が第二婦人の子だ」
「え……。そんなデタラメ!」
「デタラメではない。もし万が一、生まれて来る子が女子だった場合、第二王子は目障りなのだ」
「そっちが本当の事なら、陛下に頼まれて探していると言うのは嘘だな?」
「いや。こちらも本当だ。今だに、内密に捜索されている。が、私の目的は、密かに暗殺する事。まあ暗殺は頼まれてないけどな」
なんだ? なぜ、そこまでベラベラとしゃべっている?
「所詮ガキだな。気づいてない様だな。この馬車には結界を張ってある。外が分からないようにする結界だ」
「え?」
まさかそんな結界を張っているとは思ってなかったルナードは焦る。ずっと馬車は止まっていると思っていた。
自分を人質にとるつもりだと思っていたが、もしかしたら違うかもしれないと気がつくが遅かった。
「さて、さよならだ」
突然ドアを開け、ミルアビは外へと飛び出した!
ハッとしてルナードもドアの外を見ると、馬車は宙を舞っていた! いや崖から落ちていたのだ!
「うわぁ!」
『ルナード!』
気を失う直前に、精霊の声が聞こえた気がした。
ディアルディに返事返せないな。出来れば、女性としても生きてみたかった。
死ぬかもしれないと思ったルナードは、自分の本当の気持ちを悟ったのだった。
馬車は、真っ逆さまに森へと落ちて行った――。
ルナードは、ワザとそう言ってやった。
「私は、お会いした事はないのですが……。絶対に違うと言い切れますか?」
「ずっと不思議だと思った事が一つあった。私達を襲ったゴロツキ達は、二人の男を襲えと言われたと言っていた。精霊を使って探し当てたなら、ついそう言っても仕方がないですよね?」
「おや、いきなりなんの話です?」
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ルナードには、昨日と同一人物だとわかっていた。精霊に印をつけさせたのだ。彼には、その印があった!
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「え?」
そう言えば、何者かを聞くのを忘れていた。
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「あなたの話からいくと、その王子を殺そうとしたという事になりますが?」
「邪魔なのでね」
「第二王子がですか?」
「えぇ。本当に知らないのか? 第二王子だが本妻の子だ。第一王子が第二婦人の子だ」
「え……。そんなデタラメ!」
「デタラメではない。もし万が一、生まれて来る子が女子だった場合、第二王子は目障りなのだ」
「そっちが本当の事なら、陛下に頼まれて探していると言うのは嘘だな?」
「いや。こちらも本当だ。今だに、内密に捜索されている。が、私の目的は、密かに暗殺する事。まあ暗殺は頼まれてないけどな」
なんだ? なぜ、そこまでベラベラとしゃべっている?
「所詮ガキだな。気づいてない様だな。この馬車には結界を張ってある。外が分からないようにする結界だ」
「え?」
まさかそんな結界を張っているとは思ってなかったルナードは焦る。ずっと馬車は止まっていると思っていた。
自分を人質にとるつもりだと思っていたが、もしかしたら違うかもしれないと気がつくが遅かった。
「さて、さよならだ」
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「うわぁ!」
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気を失う直前に、精霊の声が聞こえた気がした。
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馬車は、真っ逆さまに森へと落ちて行った――。
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