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第32話 見た目とのギャップがあり過ぎて
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「ルナード! ディ!」
二人を呼ぶ声が遠くから聞こえて来た。マカリーだ!
「本当に何も知らないのだな。騙すなら味方からってやつか? 残念だが時間が無い。生きていればマカリーから聞け! もう余力もないだろうがな!」
「刻印」
ルナードがボソッと呟くと同時に、また疾風が向かってきた!
「結界!」
ディアルディは、ルナードを引っ張り抱きしめ守る様にして、疾風が過ぎ去るのを待った。
「大丈夫か二人共!」
マカリーが駆けつけたが、その時にはもうフードの男はいなくなっていた。
「はい……」
ルナードはそう答えるが、安堵の為か気が遠くなる。
「「ルナード!」」
マカリーの他に、野太い声で自分を呼ぶ声をルナードは聞いた。さっき聞いた声は、ディアルディの声で間違いなかったのだと確信するのだった――。
□□□
体が重い。ルナードが目を覚ますと、自分のベットの上だ。
「夢だったのか?」
ふとそう思うも、神官の制服のまま布団で寝ていた事から現実だとわかった。
マカリー様に聞けか。聞いて教えてくれるのだろうか?
トントントン。
上半身を起こしたところで、ドアがノックされた。
「はい」
「起きたか?」
入って来たのはマカリーだ。そしてディアルディも一緒だ。彼を見てふと、ルナードはある事を思い出した。結界を張ったのは、ディアルディだった!
あのフードの男もディアルディが火を消しに来ると思ったと言っていた。
ディアルディも特別な力を持っていた!?
「こちらから出向く手間が省けました。お話に来て下さったのですよね? 二人して、私を騙していた? ディアルディさんは、何者なんです?」
「悪かった。ここまで来たら話そう」
「ルナード、俺……」
「ちょっと待って! あなたは話さないで!」
「え!?」
ルナードに話すなと言われて、ディアルディは驚いた。そして俯く。
「ルナード? 彼にも弁解する余地ぐらい……」
「そうではなくて、その格好でその声が違和感があり過ぎて……」
「………」
理由を聞いてディアルディは、どうすればいいんだという顔をした。
「その気持ちはわかるが、今はそんな事を言っている時ではないだろう」
マカリーもそう思っているのかと、ディアルディはマカリーに驚いて振り向く。
「本当にごめんなさい」
とりあえずディアルディは、後は大人しくしている事にして、深々と頭を下げて謝った。
「お礼を言わないとね。助けてくれてありがとう」
ディアルディは、ルナードの言葉に頭を上げて凝視した。そしていつも通り、首を横に振ったのだった。
助けたのはその一度だけだ。それ以外は、いつも助けてもらっていた。
「俺こそ、何度も助けてもらって……ありがとうな」
「やっぱり違和感しかない……」
真顔で返されディアルディは苦笑い。
マカリーは、二人が険悪なムードでない事に安堵していたのだった。
二人を呼ぶ声が遠くから聞こえて来た。マカリーだ!
「本当に何も知らないのだな。騙すなら味方からってやつか? 残念だが時間が無い。生きていればマカリーから聞け! もう余力もないだろうがな!」
「刻印」
ルナードがボソッと呟くと同時に、また疾風が向かってきた!
「結界!」
ディアルディは、ルナードを引っ張り抱きしめ守る様にして、疾風が過ぎ去るのを待った。
「大丈夫か二人共!」
マカリーが駆けつけたが、その時にはもうフードの男はいなくなっていた。
「はい……」
ルナードはそう答えるが、安堵の為か気が遠くなる。
「「ルナード!」」
マカリーの他に、野太い声で自分を呼ぶ声をルナードは聞いた。さっき聞いた声は、ディアルディの声で間違いなかったのだと確信するのだった――。
□□□
体が重い。ルナードが目を覚ますと、自分のベットの上だ。
「夢だったのか?」
ふとそう思うも、神官の制服のまま布団で寝ていた事から現実だとわかった。
マカリー様に聞けか。聞いて教えてくれるのだろうか?
トントントン。
上半身を起こしたところで、ドアがノックされた。
「はい」
「起きたか?」
入って来たのはマカリーだ。そしてディアルディも一緒だ。彼を見てふと、ルナードはある事を思い出した。結界を張ったのは、ディアルディだった!
あのフードの男もディアルディが火を消しに来ると思ったと言っていた。
ディアルディも特別な力を持っていた!?
「こちらから出向く手間が省けました。お話に来て下さったのですよね? 二人して、私を騙していた? ディアルディさんは、何者なんです?」
「悪かった。ここまで来たら話そう」
「ルナード、俺……」
「ちょっと待って! あなたは話さないで!」
「え!?」
ルナードに話すなと言われて、ディアルディは驚いた。そして俯く。
「ルナード? 彼にも弁解する余地ぐらい……」
「そうではなくて、その格好でその声が違和感があり過ぎて……」
「………」
理由を聞いてディアルディは、どうすればいいんだという顔をした。
「その気持ちはわかるが、今はそんな事を言っている時ではないだろう」
マカリーもそう思っているのかと、ディアルディはマカリーに驚いて振り向く。
「本当にごめんなさい」
とりあえずディアルディは、後は大人しくしている事にして、深々と頭を下げて謝った。
「お礼を言わないとね。助けてくれてありがとう」
ディアルディは、ルナードの言葉に頭を上げて凝視した。そしていつも通り、首を横に振ったのだった。
助けたのはその一度だけだ。それ以外は、いつも助けてもらっていた。
「俺こそ、何度も助けてもらって……ありがとうな」
「やっぱり違和感しかない……」
真顔で返されディアルディは苦笑い。
マカリーは、二人が険悪なムードでない事に安堵していたのだった。
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