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第11話 最先端?

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 1時間100リダル。半日600リダル? 随分と半日って安いなぁ。もしかして一日って24時間じゃないのか?

 「とにかく試しに入ってみましょう」
 『じゃ私はここに』

 そう言ってなぜかヒトミンが僕のマントの中に。正確には制服のブレザーの上着の中に入ってきた!

 「ちょ……なぜそこに!」
 「あら、ナイスバディになったじゃない」
 「………」

 全然嬉しくないんだけど。

 『動物だめかもしれないからね』

 そこでもぞもぞしゃべらないで~。くずぐったい。

 「すみません。半日で部屋をお借りしたいんですが」
 「はい。いらっしゃい」

 ヒナが声を掛けると、男性が出てきた。

 「どの部屋にしますか?」

 じーっとエロい目でヒナを見ている。こいつめ! まあこんな格好していたら目が行くのは男ならわかるが、限度というのがあるだろう。ガン見するなよ!

 「そうね。一番安い部屋ってどれくらいの広さかしら?」
 「はい。お二人なら一番安い部屋で十分かと」
 「二人でも600リダルでいいのよね?」
 「はい」
 「今から泊まると、何時までかしら?」
 「これですね」

 カウンターの上にあった時刻早見表を男性は指さした。
 これって……羅針盤? 円に方向が記入されている。北、北北東、北東……16方位が書かれていた。この世界は、方角が時刻として使われているのか。

 「今の時刻が、北東ですので南西までになります。よろしいですか?」
 「……はい」

 ヒナは、羅針盤らしき早見表をジッと見つめ答えた。

 「あ、それと、食堂は……」
 「一番近いのは右手をまっすぐに行ったもりもり亭になります」
 「そう。ありがとう」
 「前払いになります」

 ヒナは、600リダルをカウンターに置いた。

 「はい。これが扉を開けるカギになります。使い方はわかりますか?」

 男性が手に持っているのは、円盤だ。しかも木製。この世界って文化が進んでないのか?

 「わかります。マ……ヒトミン受け取って」

 そういうので、受け取ろうと手を出すと、両手で僕の手を挟むように渡された。親父の目は、僕の胸元みている。
 僕はつい、キッと睨みつけると、アハハハっと笑ってごまかされた。
 まったくエロおやじめ!

 「一番奥ですので」

 僕達が歩き始めると、エロおやじが叫んだ。

 「凄いわね」
 「うん。木製だ」
 「そこじゃないわ。見ていてよ」

 ドアに小さな半円のポケットあって、そこに受け取った円盤を立てて入れると円盤が消えた!

 「え? どうなってるんだ?」
 「たぶん。反対側に移ったのよ」

 そう言ってヒナがドアを押すと、ぎしぎしと音を立ててドアが開く。部屋に入ってドアの反対側を見れば、本当に円盤があった。
 反対側にも同じ半円のポケットがありそこに入っている。
 ヒナは、それを取り出した。

 「ルーンよ。この円盤がポケットに入っている時は、カギが解除される仕組みみたい。ポケットに円盤を入れると反対側に移る仕組みのようね」
 「へえ。よく考えられてるな」

 見た目は古びた感じだけど、最先端のようだ。ルーンは魔法というよりデジタルみたいなイメージだな。

 「何もないの部屋なのね」

 僕の上着から出て人間に戻ったヒトミンが言った。
 彼女が言う様に、本当に何もない部屋だ。ベッドどころか布団もない。窓が一つあるだけの部屋。

 「食事もついてないようだし、体を休めるだけに使うようね」

 ヒナも見渡して言った。

 「とりあえず食事をとりに行ってみましょう」

 ヒトミンはそういうと、また猫の姿になって僕のマントの中に……。宿屋に出入りするたびにこれかよ。

 「うーん。その前にヒトミンとマオの服を買いましょう。せめて人の姿でご飯食べたいでしょう?」
 『それもそうね』

 そういう事で僕達は、宿屋から出て組合に向かう事にした。カギとなる円盤は持って出ていいみたいで、なくさないようにポーチにしまう。
 呉服屋で買うにしてもお金が足りないので、さきほどと同じ仕事を請け負いお金をゲット。
 どうやってと驚いていたけど、ルーンの力だというと納得していた。3回分の仕事を一気に請け負っておまけしてもらって、1万リダルもらった。

 まだ紅草はポーチに入っているんだけど、しばらくはこの仕事ないだろうな。半年は大丈夫だと言っていたから……。

 ヒナは、うきうきと呉服屋へ向かう。

 「いらっしゃいませ」

 ヒナは、にんまりして進んでいく。

 「もう決めてあるの。これよ」

 手に取ったのは、白のワンピース。腰辺りにしぼりが入れてある。

 「いやこれ、短くないか? 前かがみになったらお尻丸見えだと思うけど」
 「あら。マントに隠れておしりみえないわよ」
 「うん? 自分で着るやつ?」

 てっきりヒトミンの選んだのかと思ったんだけど。

 「何言ってるの。これあなたが着るのよ」
 「えー!」

 僕のかよ! これじゃフェアリーのとかわらないじゃないか!!
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