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第十四章 パンドラの箱
第百六十四話
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馬車がほどなくして出発するとレオナールはミュアンに話しかけて来た。
「ミュアンさん。お願いがあります」
「何かしら?」
レオナールは一呼吸置いて口を開く。
「私は魔力を練れなくされました。もし治す方法があったら教えてほしいのです。それと、あなたの国にコーデリアさんという方がいたと思うのですが、その方について何か知っている事がありましたら話して頂きたいのです。お願いします」
座ったままだがレオナールは、ミュアンに頭を下げた。ブラッドリーも一緒に下げる。
「母さん……」
レオナールからミュアンに視線を移したティモシーは、ミュアンをジッと見つめる。
「そう。よかったわ。彼のお蔭ね。いいわ。どうせ、エイブのも戻るかやってみるとこをだったから」
ミュアンは、ブラッドリーが彼を説得したのだと気が付いた。
「ありがとうございます」
「え? 確実じゃないの? どんな事する気?」
「男のくせに怯えないの! 別にこの腕輪を嵌めるだけよ」
腕輪を二つミュアンは取り出し見せる。
「二つしかないので、ブラッドリーさんは後で宜しいかしら?」
「私はおかまいなく」
ブラッドリーは、どちらにしても怪我をして動けない。
「では、二人共横になってもらえる? エイブはザイダにレオナール王子はティモシーに膝枕をしてもらってもいいかしら?」
「え? 膝枕! 何故?!」
エイブは驚いていう。他の者も不思議そうにしている。
「母さん、何をする気?」
「魔力を練れる様にするのよ? 他に何があるの?」
「わかりました。従います。ティモシー失礼しますよ」
「え?!」
ティモシーは焦る。ブラッドリーをチラッと見た。怒ってはいないようだが、先ほど抱き合っているのを見ているので気が気じゃなかった。
エイブもザイダの膝の上に頭を乗せた。ザイダはほんのり顔を赤らめる。
「ではいくわよ」
そうミュアンは言うと、エイブとレオナールに腕輪を嵌め、それを一周なぞる。すると一瞬腕輪は光った。
「これってもしかして、ハミッシュ王子が使っていた剣みたいな感じ?」
魔術を封じ込められても魔術を使っていた時の事を言っていた。剣を擦り光る魔術を繰り出していた。
「まあ原理は……」
「黒い石みたいな感じ? って、これ!」
エイブはハッとしてミュアンを見た。
「え、何?」
「凄い勢いで魔力を吸い取られています」
どうしたのかとティモシーが問うと、レオナールが答える。そして驚いている内に二人は気を失った。
「ちょっと母さん! 二人に何を!」
「もう、落ち着きなさい。これしか思いつかなかったのよ。これでダメなら今の私にはどうにもならないわ」
「ほ。本当に大丈夫なんですよね?」
恐る恐るザイダがミュアンに問う。気の強い彼女だが、ミュアンには敵わないようだ。
「大丈夫よ。私にとって、エイブは協力してもらう大切な仲間よ。魔術が使える様になってもらわないとダメなのよ」
「何をさせる気なの?」
「それは、二人が目を覚ましたら話すわ」
ティモシーの問いにミュアンはニッコリと微笑んで答えた。
ティモシー達は、二人が目を覚ますのを待つしかなかった。不安げな顔で自分の膝で目を瞑るレオナールを見下ろす。
「大丈夫よ。魔力がすっからかんになっても死にはしないわ」
「それは知ってるけど……」
前にダグが相手を昏倒させる為にやった行為だ。それで死なない事は知っている。
「魔力はね、体で作られる訳じゃないのよ。空中に漂う魔力を体に取り入れているのよ。多分彼らの中にある魔力が影響して練れないと思うの。だから一旦全部体から出すまでよ。わかった?」
ティモシーはミュアンの説明に、そういう説明は先にしてほしいと思うも安堵して頷いた。
「ミュアンさん。お願いがあります」
「何かしら?」
レオナールは一呼吸置いて口を開く。
「私は魔力を練れなくされました。もし治す方法があったら教えてほしいのです。それと、あなたの国にコーデリアさんという方がいたと思うのですが、その方について何か知っている事がありましたら話して頂きたいのです。お願いします」
座ったままだがレオナールは、ミュアンに頭を下げた。ブラッドリーも一緒に下げる。
「母さん……」
レオナールからミュアンに視線を移したティモシーは、ミュアンをジッと見つめる。
「そう。よかったわ。彼のお蔭ね。いいわ。どうせ、エイブのも戻るかやってみるとこをだったから」
ミュアンは、ブラッドリーが彼を説得したのだと気が付いた。
「ありがとうございます」
「え? 確実じゃないの? どんな事する気?」
「男のくせに怯えないの! 別にこの腕輪を嵌めるだけよ」
腕輪を二つミュアンは取り出し見せる。
「二つしかないので、ブラッドリーさんは後で宜しいかしら?」
「私はおかまいなく」
ブラッドリーは、どちらにしても怪我をして動けない。
「では、二人共横になってもらえる? エイブはザイダにレオナール王子はティモシーに膝枕をしてもらってもいいかしら?」
「え? 膝枕! 何故?!」
エイブは驚いていう。他の者も不思議そうにしている。
「母さん、何をする気?」
「魔力を練れる様にするのよ? 他に何があるの?」
「わかりました。従います。ティモシー失礼しますよ」
「え?!」
ティモシーは焦る。ブラッドリーをチラッと見た。怒ってはいないようだが、先ほど抱き合っているのを見ているので気が気じゃなかった。
エイブもザイダの膝の上に頭を乗せた。ザイダはほんのり顔を赤らめる。
「ではいくわよ」
そうミュアンは言うと、エイブとレオナールに腕輪を嵌め、それを一周なぞる。すると一瞬腕輪は光った。
「これってもしかして、ハミッシュ王子が使っていた剣みたいな感じ?」
魔術を封じ込められても魔術を使っていた時の事を言っていた。剣を擦り光る魔術を繰り出していた。
「まあ原理は……」
「黒い石みたいな感じ? って、これ!」
エイブはハッとしてミュアンを見た。
「え、何?」
「凄い勢いで魔力を吸い取られています」
どうしたのかとティモシーが問うと、レオナールが答える。そして驚いている内に二人は気を失った。
「ちょっと母さん! 二人に何を!」
「もう、落ち着きなさい。これしか思いつかなかったのよ。これでダメなら今の私にはどうにもならないわ」
「ほ。本当に大丈夫なんですよね?」
恐る恐るザイダがミュアンに問う。気の強い彼女だが、ミュアンには敵わないようだ。
「大丈夫よ。私にとって、エイブは協力してもらう大切な仲間よ。魔術が使える様になってもらわないとダメなのよ」
「何をさせる気なの?」
「それは、二人が目を覚ましたら話すわ」
ティモシーの問いにミュアンはニッコリと微笑んで答えた。
ティモシー達は、二人が目を覚ますのを待つしかなかった。不安げな顔で自分の膝で目を瞑るレオナールを見下ろす。
「大丈夫よ。魔力がすっからかんになっても死にはしないわ」
「それは知ってるけど……」
前にダグが相手を昏倒させる為にやった行為だ。それで死なない事は知っている。
「魔力はね、体で作られる訳じゃないのよ。空中に漂う魔力を体に取り入れているのよ。多分彼らの中にある魔力が影響して練れないと思うの。だから一旦全部体から出すまでよ。わかった?」
ティモシーはミュアンの説明に、そういう説明は先にしてほしいと思うも安堵して頷いた。
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