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第四章 魔術師の国の王子
第四十二話
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次の日、調合室のドアの前にティモシーは、昨日買ったばかりのポーチを身に着け立っていた。今までにない程緊張して、ドアを開ける。
「お、おはようございま……うわ」
「ティ、ティモシー!」
ティモシーは挨拶が終わるか終わらないかぐらいに、ガバッと抱き着かれた!
「ちょ! え! ベネットさん……は、離れて!」
彼女は涙目でギュッとティモシーを抱きしめるが、ティモシーもお年頃。顔が真っ赤である。ティモシーは、母親以外の女性に抱きしめられたのは初めてだった。
「おいおい、ティモシーが窒息するって……」
ダグが呆れてそう言うと、ベネットはやっとティモシーを開放した。
(びっくりした。一体何なんだ……)
「あ、ごめんなさい。もしかしたら、このままもうって思っていたから……」
ベネットは、目に溜まっていた涙を拭いつつ、嬉しそうに言った。
あんな目に会えば仕事場に出て来づらく、このまま辞めてしまうのでは? とベネットは思っていた。
「心配かけてごめんなさい。皆、心配して言ってくれていたのに、あの時は見えてなくて……」
「まあ、恋は盲目って言うしな」
ティモシーの言葉に、いつも通りダグは返してきた。
「だから恋とかじゃないって! あの人は、私の欲しい言葉を掛けてくれて、それを自分を認めてくれているからだって思って……。でも実際は、信用させる為の手口で……。大人として扱われていると思っていたのに、子供だったから簡単に引っかかったって……」
最後は悔しそうにティモシーは言った。三人は何も言えず、ただ頷く事しか出来ずにいた。王宮内で一番年下と言うのもあるので子供扱いされるのも仕方がない。何せ、次に若いのはアリックである。年齢に開きがあった。また、世間知らずでそれに拍車を掛けていた。
「まあ、俺達はお前の事を理解してるつもりだが、噂も広がってしまってるし変な行動は慎めよ」
ダグがボソッと呟くように言った。
「噂?」
「お前があいつに襲われて、切れたランフレッドさんが半殺しの目に合せたって言う噂……」
「ダグさん、ストレート過ぎない? もっとこう……」
「ストレートも何もすぐ耳に入るだろうが」
アリックが抗議するもダグはそう返し、アリックはそれ以上言い返せない。
(あ、ランフレッドが言っていた噂か。って、もう広まってるんだ……)
「それか。ランフレッドさんから聞いている。……私が悪いから仕方が……」
「何言ってるの! 君は悪くないよ! そりゃ僕達の言ってる事に耳を貸さなかったけど。騙されてあんな事されて! 僕だって殴ってやりたいよ!」
あまり声を荒げないアリックにそう言われて、凄く心配掛けたんだとティモシーは項垂れる。
「あ、ごめん、ティモシー……。えっと……」
「俺言っただろう? お前が傷つけば、皆悲しむんだって。でもまさか、こんな事するとは……」
「待って! 未遂で終わってるわよ!」
そう断言したのはベネットだった。
「え? あ、その場にいたのか……」
ベネットと配達中の出来事だったと思い出しダグがそう言うも、ベネットは首を横に振った。
「違うの。聞いたのよ」
「あ、ランフレッドさんに聞いていたんだ……」
どういう風に聞いたかはわからないが、そう言えば起きた時に彼女が家に居たと思い呟くようにティモシーが言うも、それにも首を横に振った。
「違うわ。ルーファス王子よ」
三人は意外な人物に驚いた。確かに、ランフレッドはルーファスの護衛だが、わざわざ王子であるルーファスが一個人に伝える事でもない。
「ごめんね。私がしっかりあなたを見ていなかったばかりに……」
そうベネットは言うと、経緯を話し始める――
「お、おはようございま……うわ」
「ティ、ティモシー!」
ティモシーは挨拶が終わるか終わらないかぐらいに、ガバッと抱き着かれた!
「ちょ! え! ベネットさん……は、離れて!」
彼女は涙目でギュッとティモシーを抱きしめるが、ティモシーもお年頃。顔が真っ赤である。ティモシーは、母親以外の女性に抱きしめられたのは初めてだった。
「おいおい、ティモシーが窒息するって……」
ダグが呆れてそう言うと、ベネットはやっとティモシーを開放した。
(びっくりした。一体何なんだ……)
「あ、ごめんなさい。もしかしたら、このままもうって思っていたから……」
ベネットは、目に溜まっていた涙を拭いつつ、嬉しそうに言った。
あんな目に会えば仕事場に出て来づらく、このまま辞めてしまうのでは? とベネットは思っていた。
「心配かけてごめんなさい。皆、心配して言ってくれていたのに、あの時は見えてなくて……」
「まあ、恋は盲目って言うしな」
ティモシーの言葉に、いつも通りダグは返してきた。
「だから恋とかじゃないって! あの人は、私の欲しい言葉を掛けてくれて、それを自分を認めてくれているからだって思って……。でも実際は、信用させる為の手口で……。大人として扱われていると思っていたのに、子供だったから簡単に引っかかったって……」
最後は悔しそうにティモシーは言った。三人は何も言えず、ただ頷く事しか出来ずにいた。王宮内で一番年下と言うのもあるので子供扱いされるのも仕方がない。何せ、次に若いのはアリックである。年齢に開きがあった。また、世間知らずでそれに拍車を掛けていた。
「まあ、俺達はお前の事を理解してるつもりだが、噂も広がってしまってるし変な行動は慎めよ」
ダグがボソッと呟くように言った。
「噂?」
「お前があいつに襲われて、切れたランフレッドさんが半殺しの目に合せたって言う噂……」
「ダグさん、ストレート過ぎない? もっとこう……」
「ストレートも何もすぐ耳に入るだろうが」
アリックが抗議するもダグはそう返し、アリックはそれ以上言い返せない。
(あ、ランフレッドが言っていた噂か。って、もう広まってるんだ……)
「それか。ランフレッドさんから聞いている。……私が悪いから仕方が……」
「何言ってるの! 君は悪くないよ! そりゃ僕達の言ってる事に耳を貸さなかったけど。騙されてあんな事されて! 僕だって殴ってやりたいよ!」
あまり声を荒げないアリックにそう言われて、凄く心配掛けたんだとティモシーは項垂れる。
「あ、ごめん、ティモシー……。えっと……」
「俺言っただろう? お前が傷つけば、皆悲しむんだって。でもまさか、こんな事するとは……」
「待って! 未遂で終わってるわよ!」
そう断言したのはベネットだった。
「え? あ、その場にいたのか……」
ベネットと配達中の出来事だったと思い出しダグがそう言うも、ベネットは首を横に振った。
「違うの。聞いたのよ」
「あ、ランフレッドさんに聞いていたんだ……」
どういう風に聞いたかはわからないが、そう言えば起きた時に彼女が家に居たと思い呟くようにティモシーが言うも、それにも首を横に振った。
「違うわ。ルーファス王子よ」
三人は意外な人物に驚いた。確かに、ランフレッドはルーファスの護衛だが、わざわざ王子であるルーファスが一個人に伝える事でもない。
「ごめんね。私がしっかりあなたを見ていなかったばかりに……」
そうベネットは言うと、経緯を話し始める――
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