46 / 63
第46話 女神の雷
しおりを挟む
「あのお願いがあるのですが」
抱き合う二人が僕を見た。
「チェミンさんが持っている短剣、女神の雷をちょっとだけ見せてもらってもいいですか?」
「そんな事ならいいわよ。はい」
「ありがとう」
チェミンさんは、何も警戒せずに渡してくれた。
まあ母親の命の恩人だと思っているのだから当然か。
「鑑定」
『女神の雷』武器ランク:B
女性が所持すると運が上昇する。
◆攻撃力:50
◆パラメータに運100を追加(女性限定)
◆契約魔法:女神の雷
魔法も同じ名前なんだね。さてと。
「マジックリカバリー」
――契約魔法『女神の雷』を取得しました。
よし。魔法も手に入れて、武器についていた契約魔法も消えた!
『よかった。上手く行ったな』
もうなんかへとへとだよ。で、女神の雷の詳細は?
【女神の雷】レベル11
魔素酔いしたモンスターの魔素を抜く。
◆消費MP:一体につき1消費
◆範囲:半径(自身の身長×11倍)の範囲
◆範囲内の魔素酔いしたモンスターの体内の魔素を魔素空間に転送する。
◆一時的に電撃でしびれさせて、モンスターの動きを止める。
『呪い』
◆魔法発動時、残りの全MP消失。
うわぁ。凄い魔法だね。確かにモンスター退治に適しているけど呪いがえぐい。これ一体に対して使っても全MP消費するって事だもんね。
『そうだな。でもマルリードの場合は、関係ないからな』
確かにこれだと、使いたいけど使いたくないかも。もし僕のMPが枯渇したら回復させるのが大変だからね。自然回復だけじゃ無理だし、マジックポーションなんて飲んで回復なんてさせてられないし。お金がいくらあっても足りなくなる。
『今の貴族達は、これを使いたいと思っているのか?』
貴族ではないけどね。こういう内容だとは知らないんじゃない。そもそもこれ、その人達が手に入れても役に立たないものだし。
『彼らの間でどのように噂が流れているのだろうな』
それよりさ。リンク先が、魔素空間なのはどうして? 作った時には、そんなものなかったよね。
『私にもわからん。そもそもリンク先は、魔素が多い一番近い場所が自動的に選ばれる様になっていた。だからその時々に、違う場所へ転送される様になっていたはずなのだが。まあ一番近いといえば、近いのかもな』
なるほど。魔素空間に送られるのなら問題はないけどね。
「あ、そうだ。ありがとう」
ふっと気が付くと、チェミンさんがジッと僕を見つめていた。たぶん僕が短剣を見つめたまま固まっていたからなんだと思うけど。
「うん。その何かあった?」
「え? ううん」
「本当にありがとうございました。後できちんと……」
バン!
「マルリードさん!」
「もうお父さん!」
娘のチェミンさんが睨みつけるもそのまま僕を見つけると、ダッシュで近づいてきた。一体なんだ? 手には何も持ってないようだけど。
「お願いだ! どうしても一つだけ手に入れられない。それがなくても何とかならないか?」
「あ、そっか。もう大丈夫ですよ」
「え?」
「あなた、心配いらないわ。彼のお陰で元気になったわ」
「ミ、ミリラ!」
僕の横で、チェミンさんのお父さんがミリラさんに抱き着いた。
さて、僕は帰るかな。
「それじゃ、用事もすんだことだし、僕は帰りますね」
「君は命の恩人だ!」
クルっと振り向いたチェミンさんのお父さんがそう言った。前にも聞いたセリフだ。
「あ、いえ。そうだ。もらった材料ですが、使わなかったので部屋に置いてあります」
「何!? 使わずにエリキシルを作ったのか!」
「あ、いえ。それではないんですが、オリジナルのを作りました」
「何? そんな事が出来るのか!?」
もしかして余計な事を言ったかも……。
『かもな。目がキランとなったぞ』
やばい。ずらかろう。
「では、ぼ、僕はこの辺で。親子水入らずでどうぞ。失礼します」
「まて、送らせる!」
「え? あ、そうですか。ではお願いします」
よく考えれば、歩いて帰るのには遠かった。
僕は、一人ぽつんと馬車に乗り村まで送ってもらったのだった。なんか怒濤の展開だったなぁ。
抱き合う二人が僕を見た。
「チェミンさんが持っている短剣、女神の雷をちょっとだけ見せてもらってもいいですか?」
「そんな事ならいいわよ。はい」
「ありがとう」
チェミンさんは、何も警戒せずに渡してくれた。
まあ母親の命の恩人だと思っているのだから当然か。
「鑑定」
『女神の雷』武器ランク:B
女性が所持すると運が上昇する。
◆攻撃力:50
◆パラメータに運100を追加(女性限定)
◆契約魔法:女神の雷
魔法も同じ名前なんだね。さてと。
「マジックリカバリー」
――契約魔法『女神の雷』を取得しました。
よし。魔法も手に入れて、武器についていた契約魔法も消えた!
『よかった。上手く行ったな』
もうなんかへとへとだよ。で、女神の雷の詳細は?
【女神の雷】レベル11
魔素酔いしたモンスターの魔素を抜く。
◆消費MP:一体につき1消費
◆範囲:半径(自身の身長×11倍)の範囲
◆範囲内の魔素酔いしたモンスターの体内の魔素を魔素空間に転送する。
◆一時的に電撃でしびれさせて、モンスターの動きを止める。
『呪い』
◆魔法発動時、残りの全MP消失。
うわぁ。凄い魔法だね。確かにモンスター退治に適しているけど呪いがえぐい。これ一体に対して使っても全MP消費するって事だもんね。
『そうだな。でもマルリードの場合は、関係ないからな』
確かにこれだと、使いたいけど使いたくないかも。もし僕のMPが枯渇したら回復させるのが大変だからね。自然回復だけじゃ無理だし、マジックポーションなんて飲んで回復なんてさせてられないし。お金がいくらあっても足りなくなる。
『今の貴族達は、これを使いたいと思っているのか?』
貴族ではないけどね。こういう内容だとは知らないんじゃない。そもそもこれ、その人達が手に入れても役に立たないものだし。
『彼らの間でどのように噂が流れているのだろうな』
それよりさ。リンク先が、魔素空間なのはどうして? 作った時には、そんなものなかったよね。
『私にもわからん。そもそもリンク先は、魔素が多い一番近い場所が自動的に選ばれる様になっていた。だからその時々に、違う場所へ転送される様になっていたはずなのだが。まあ一番近いといえば、近いのかもな』
なるほど。魔素空間に送られるのなら問題はないけどね。
「あ、そうだ。ありがとう」
ふっと気が付くと、チェミンさんがジッと僕を見つめていた。たぶん僕が短剣を見つめたまま固まっていたからなんだと思うけど。
「うん。その何かあった?」
「え? ううん」
「本当にありがとうございました。後できちんと……」
バン!
「マルリードさん!」
「もうお父さん!」
娘のチェミンさんが睨みつけるもそのまま僕を見つけると、ダッシュで近づいてきた。一体なんだ? 手には何も持ってないようだけど。
「お願いだ! どうしても一つだけ手に入れられない。それがなくても何とかならないか?」
「あ、そっか。もう大丈夫ですよ」
「え?」
「あなた、心配いらないわ。彼のお陰で元気になったわ」
「ミ、ミリラ!」
僕の横で、チェミンさんのお父さんがミリラさんに抱き着いた。
さて、僕は帰るかな。
「それじゃ、用事もすんだことだし、僕は帰りますね」
「君は命の恩人だ!」
クルっと振り向いたチェミンさんのお父さんがそう言った。前にも聞いたセリフだ。
「あ、いえ。そうだ。もらった材料ですが、使わなかったので部屋に置いてあります」
「何!? 使わずにエリキシルを作ったのか!」
「あ、いえ。それではないんですが、オリジナルのを作りました」
「何? そんな事が出来るのか!?」
もしかして余計な事を言ったかも……。
『かもな。目がキランとなったぞ』
やばい。ずらかろう。
「では、ぼ、僕はこの辺で。親子水入らずでどうぞ。失礼します」
「まて、送らせる!」
「え? あ、そうですか。ではお願いします」
よく考えれば、歩いて帰るのには遠かった。
僕は、一人ぽつんと馬車に乗り村まで送ってもらったのだった。なんか怒濤の展開だったなぁ。
0
お気に入りに追加
916
あなたにおすすめの小説
側妃に追放された王太子
基本二度寝
ファンタジー
「王が倒れた今、私が王の代理を務めます」
正妃は数年前になくなり、側妃の女が現在正妃の代わりを務めていた。
そして、国王が体調不良で倒れた今、側妃は貴族を集めて宣言した。
王の代理が側妃など異例の出来事だ。
「手始めに、正妃の息子、現王太子の婚約破棄と身分の剥奪を命じます」
王太子は息を吐いた。
「それが国のためなら」
貴族も大臣も側妃の手が及んでいる。
無駄に抵抗するよりも、王太子はそれに従うことにした。
魔法のせいだからって許せるわけがない
ユウユウ
ファンタジー
私は魅了魔法にかけられ、婚約者を裏切って、婚約破棄を宣言してしまった。同じように魔法にかけられても婚約者を強く愛していた者は魔法に抵抗したらしい。
すべてが明るみになり、魅了がとけた私は婚約者に謝罪してやり直そうと懇願したが、彼女はけして私を許さなかった。
寒がりな氷結眼鏡魔導士は、七匹のウサギとほっこり令嬢の温もりに癒され、愛を知る
ウサギテイマーTK
恋愛
伯爵家のミーヤは、動物の飼育と編み物が好きな、ちょっとおっとりした女の子である。婚約者のブルーノは、地味なミーヤが気に入らず、ミーヤの義姉ロアナと恋に落ちたため、ミーヤに婚約破棄を言い渡す。その件も含め、実の父親から邸を追い出されたミーヤは、吹雪のため遭難したフィーザを助けることになる。眼鏡をかけた魔導士フィーザは氷結魔法の使い手で、魔導士団の副団長を務まる男だった。ミーヤはフィーザと徐々に心を通わすようになるが、ミーヤを追い出した実家では、不穏な出来事が起こるようになる。ミーヤの隠れた能力は、次第に花開いていく。
☆9月1日にHotランキングに載せていただき感謝です!!
☆「なろう」様にも投稿していますが、こちらは加筆してあります。
政略より愛を選んだ結婚。~後悔は十年後にやってきた。~
つくも茄子
恋愛
幼い頃からの婚約者であった侯爵令嬢との婚約を解消して、学生時代からの恋人と結婚した王太子殿下。
政略よりも愛を選んだ生活は思っていたのとは違っていた。「お幸せに」と微笑んだ元婚約者。結婚によって去っていた側近達。愛する妻の妃教育がままならない中での出産。世継ぎの王子の誕生を望んだものの産まれたのは王女だった。妻に瓜二つの娘は可愛い。無邪気な娘は欲望のままに動く。断罪の時、全てが明らかになった。王太子の思い描いていた未来は元から無かったものだった。後悔は続く。どこから間違っていたのか。
他サイトにも公開中。
婚約破棄された私は、処刑台へ送られるそうです
秋月乃衣
恋愛
ある日システィーナは婚約者であるイデオンの王子クロードから、王宮敷地内に存在する聖堂へと呼び出される。
そこで聖女への非道な行いを咎められ、婚約破棄を言い渡された挙句投獄されることとなる。
いわれの無い罪を否定する機会すら与えられず、寒く冷たい牢の中で断頭台に登るその時を待つシスティーナだったが──
他サイト様でも掲載しております。
公爵令嬢のRe.START
鮨海
ファンタジー
絶大な権力を持ち社交界を牛耳ってきたアドネス公爵家。その一人娘であるフェリシア公爵令嬢は第二王子であるライオルと婚約を結んでいたが、あるとき異世界からの聖女の登場により、フェリシアの生活は一変してしまう。
自分より聖女を優先する家族に婚約者、フェリシアは聖女に嫉妬し傷つきながらも懸命にどうにかこの状況を打破しようとするが、あるとき王子の婚約破棄を聞き、フェリシアは公爵家を出ることを決意した。
捕まってしまわないようにするため、途中王城の宝物庫に入ったフェリシアは運命を変える出会いをする。
契約を交わしたフェリシアによる第二の人生が幕を開ける。
※ファンタジーがメインの作品です
捨てられ聖女の私が本当の幸せに気付くまで
海空里和
恋愛
ラヴァル王国、王太子に婚約破棄されたアデリーナ。
さらに、大聖女として国のために瘴気を浄化してきたのに、見えない功績から偽りだと言われ、国外追放になる。
従者のオーウェンと一緒に隣国、オルレアンを目指すことになったアデリーナ。しかし途中でラヴァルの騎士に追われる妊婦・ミアと出会う。
目の前の困っている人を放っておけないアデリーナは、ミアを連れて隣国へ逃げる。
そのまた途中でフェンリルの呼びかけにより、負傷したイケメン騎士を拾う。その騎士はなんと、隣国オルレアンの皇弟、エクトルで!?
素性を隠そうとオーウェンはミアの夫、アデリーナはオーウェンの愛人、とおかしな状況に。
しかし聖女を求めるオルレアン皇帝の命令でアデリーナはエクトルと契約結婚をすることに。
未来を諦めていたエクトルは、アデリーナに助けられ、彼女との未来を望むようになる。幼い頃からアデリーナの側にいたオーウェンは、それが面白くないようで。
アデリーナの本当に大切なものは何なのか。
捨てられ聖女×拗らせ従者×訳アリ皇弟のトライアングルラブ!
※こちら性描写はございませんが、きわどい表現がございます。ご了承の上お読みくださいませ。
余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめることにしました
結城芙由奈@12/27電子書籍配信
恋愛
【余命半年―未練を残さず生きようと決めた。】
私には血の繋がらない父と母に妹、そして婚約者がいる。しかしあの人達は私の存在を無視し、空気の様に扱う。唯一の希望であるはずの婚約者も愛らしい妹と恋愛関係にあった。皆に気に入られる為に努力し続けたが、誰も私を気に掛けてはくれない。そんな時、突然下された余命宣告。全てを諦めた私は穏やかな死を迎える為に、家族と婚約者に執着するのをやめる事にした―。
2021年9月26日:小説部門、HOTランキング部門1位になりました。ありがとうございます
*「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています
※2023年8月 書籍化
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる