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第29話 素質が備わったみたいです
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「おぉ、お帰り……どうしたその格好? ……ユイジュ、どうしてこうなった?」
「チェトがいいって言ったってさ。もう最悪だ。知り合いに会うし……」
「可愛いですよね? チェトとお揃いなんです」
そう言うとダダルさんは、僕をジロジロと見て頷いた。
「まああれだ。いいんじゃないか? 愛嬌があって」
「隣で歩く俺の身にもなってくれ」
「あははは。今更だろう」
「まあいい。何か羽織るモノでも買わせる。それよりダダルさん。スキルの事でちょっと」
ユイジュさんが、玄関のドアを閉めて言った。
「OK。聞こうか」
そして何故かまた、四人で話し合い? いや、五人だね。チェトがいるから。
「で、どうした?」
「どうやら風魔法を覚えたらしい」
ユイジュさんがダダルさんにそう報告したので、僕はうんうんと頷いた。
「はぁ? そんなのまで覚えるのか? それ、本当か? 使ってみたのか?」
って凄くダダルさんが食いついている。
「いやまだ使ってないよ。これからチェトと一緒に練習する事になっていたんだ」
「で、それ、いつ覚えたんだ?」
とダダルさんが聞くので昨日だと伝えた。
「木から落ちたら覚えたんだ」
そう続けると――
「「落ちただと!?」」
ダダルさんとユイジュさんが、凄く驚いて声を揃えた。
「聞いてないぞ! どれくらいの高さから落ちた?」
「うーん。木のてっぺん」
「てっぺんって、お前、風魔法で助かったのか?」
ユイジュさんの質問に違うと僕は首を横に振った。
「あのね、チェトが助けてくれたんだ!」
「チェトが? ほう。どうやって?」
ダダルさんが、僕の膝にいるチェト見る。って、ダダルさんからだと机に隠れて見えないけどね。
「両手両足で木に掴まってくれて、きゅ~って。ゆっくり下りたから助かったんだ! もうチェト賢過ぎ!」
「それ、普通の犬に出来るないと思うんだが……」
『………』
なぜか顔を引きつかせてユイジュさんが言った。でもチェトは凄い犬だから出来たんだい! あぁ、見せてやりたかったなぁ。チェトの活躍!
「なるほどな。さすがチェトだな」
「ダダルさん! わかってくれる? チェトって凄いんだ!」
うんうんとダダルさんは、わかってくれた。
「で、風魔法はどうして使える様になったんだ?」
「うーん。使える様になってはいないけど、覚えたよ」
「どういう意味だ?」
ダダルさんの質問に答えると、ユイジュさんが更に質問して来た。
「本当は朝、ちょっとだけ試したんだ。風魔法とか言ってみたんだけど何も起こらなかった」
「そのスキルとかは、説明みたいなのはあるのか?」
ダダルさんの言葉にあると僕は頷く。
「風魔法の素質の開花って書いてあった」
「うーん。そうか。俺も魔法が使えるわけではなし、魔法学校にも行ってないからわからないが、使える奴から聞いた話によると、風魔法というのは魔法のくくりで、正確にはスキル名ではないんだよな。ウィンドカッターとか風の癒しとかそう言うのがスキルとしてあるんだ」
「え? それじゃないと風魔法を使えないの?」
「そうじゃなくて、風魔法とだけど、ウィンドカッターとかなら使えるかもしれないって事」
ダダルさんの説明で判明したのは、僕が色んな風魔法を使えるんじゃないかって事だった。そっか、やり方を間違えていたんだ。
「じゃ、ちょっと試してみるかな?」
「まて! ここで今するなよ? 大惨事になる!」
「あ、そっか」
「人目がつかない所がいいな」
ユイジュさんに止められて、ダダルさんの言葉でちょっと人がいない場所へと移動する事になった。
□
ごつごつとした岩場。一時間も歩いてここに来た。僕の背丈と同じぐらいの岩が、いっぱい地面から突き出た不思議な場所だ。
「岩に向かってウィンドカッターを繰り出して見ろ」
ダダルさんに言われて僕は頷いた。
ドキドキする。これができたら浮ける魔法を探して、こっそり練習するんだぁ。
「ウィンドカッター」
僕は右手を突き出して叫んだ。……けど何も起こらない。自然の風が、びゅ~っと吹き抜けていく。
「あれ? じゃ左手で……ウィンドカッター!」
って、これでも何も起こらない!?
「ウィンドカッター!」
両手を付き出してみたけど何も起こらない。
「うーん。やっぱり無理か」
ダダルさんがボソッと呟いた。
「やっぱりって! 僕の言葉信じてくれたんじゃなかったの?」
「信じているさ。ただ、能力の開花だとしたら素質が備わったって事だけかもしれない。つまりウィンドカッターというスキルを覚えないと使えないって事だろう」
「え? そうなの?」
「なるほど。ロマド、わかってるかと思うけど覚えたら勝手に練習する前に俺達に言えよ!」
とユイジュさんに言われちゃった。
後でもう一度レベル2のスキルにないかチェックしよう!
「チェトがいいって言ったってさ。もう最悪だ。知り合いに会うし……」
「可愛いですよね? チェトとお揃いなんです」
そう言うとダダルさんは、僕をジロジロと見て頷いた。
「まああれだ。いいんじゃないか? 愛嬌があって」
「隣で歩く俺の身にもなってくれ」
「あははは。今更だろう」
「まあいい。何か羽織るモノでも買わせる。それよりダダルさん。スキルの事でちょっと」
ユイジュさんが、玄関のドアを閉めて言った。
「OK。聞こうか」
そして何故かまた、四人で話し合い? いや、五人だね。チェトがいるから。
「で、どうした?」
「どうやら風魔法を覚えたらしい」
ユイジュさんがダダルさんにそう報告したので、僕はうんうんと頷いた。
「はぁ? そんなのまで覚えるのか? それ、本当か? 使ってみたのか?」
って凄くダダルさんが食いついている。
「いやまだ使ってないよ。これからチェトと一緒に練習する事になっていたんだ」
「で、それ、いつ覚えたんだ?」
とダダルさんが聞くので昨日だと伝えた。
「木から落ちたら覚えたんだ」
そう続けると――
「「落ちただと!?」」
ダダルさんとユイジュさんが、凄く驚いて声を揃えた。
「聞いてないぞ! どれくらいの高さから落ちた?」
「うーん。木のてっぺん」
「てっぺんって、お前、風魔法で助かったのか?」
ユイジュさんの質問に違うと僕は首を横に振った。
「あのね、チェトが助けてくれたんだ!」
「チェトが? ほう。どうやって?」
ダダルさんが、僕の膝にいるチェト見る。って、ダダルさんからだと机に隠れて見えないけどね。
「両手両足で木に掴まってくれて、きゅ~って。ゆっくり下りたから助かったんだ! もうチェト賢過ぎ!」
「それ、普通の犬に出来るないと思うんだが……」
『………』
なぜか顔を引きつかせてユイジュさんが言った。でもチェトは凄い犬だから出来たんだい! あぁ、見せてやりたかったなぁ。チェトの活躍!
「なるほどな。さすがチェトだな」
「ダダルさん! わかってくれる? チェトって凄いんだ!」
うんうんとダダルさんは、わかってくれた。
「で、風魔法はどうして使える様になったんだ?」
「うーん。使える様になってはいないけど、覚えたよ」
「どういう意味だ?」
ダダルさんの質問に答えると、ユイジュさんが更に質問して来た。
「本当は朝、ちょっとだけ試したんだ。風魔法とか言ってみたんだけど何も起こらなかった」
「そのスキルとかは、説明みたいなのはあるのか?」
ダダルさんの言葉にあると僕は頷く。
「風魔法の素質の開花って書いてあった」
「うーん。そうか。俺も魔法が使えるわけではなし、魔法学校にも行ってないからわからないが、使える奴から聞いた話によると、風魔法というのは魔法のくくりで、正確にはスキル名ではないんだよな。ウィンドカッターとか風の癒しとかそう言うのがスキルとしてあるんだ」
「え? それじゃないと風魔法を使えないの?」
「そうじゃなくて、風魔法とだけど、ウィンドカッターとかなら使えるかもしれないって事」
ダダルさんの説明で判明したのは、僕が色んな風魔法を使えるんじゃないかって事だった。そっか、やり方を間違えていたんだ。
「じゃ、ちょっと試してみるかな?」
「まて! ここで今するなよ? 大惨事になる!」
「あ、そっか」
「人目がつかない所がいいな」
ユイジュさんに止められて、ダダルさんの言葉でちょっと人がいない場所へと移動する事になった。
□
ごつごつとした岩場。一時間も歩いてここに来た。僕の背丈と同じぐらいの岩が、いっぱい地面から突き出た不思議な場所だ。
「岩に向かってウィンドカッターを繰り出して見ろ」
ダダルさんに言われて僕は頷いた。
ドキドキする。これができたら浮ける魔法を探して、こっそり練習するんだぁ。
「ウィンドカッター」
僕は右手を突き出して叫んだ。……けど何も起こらない。自然の風が、びゅ~っと吹き抜けていく。
「あれ? じゃ左手で……ウィンドカッター!」
って、これでも何も起こらない!?
「ウィンドカッター!」
両手を付き出してみたけど何も起こらない。
「うーん。やっぱり無理か」
ダダルさんがボソッと呟いた。
「やっぱりって! 僕の言葉信じてくれたんじゃなかったの?」
「信じているさ。ただ、能力の開花だとしたら素質が備わったって事だけかもしれない。つまりウィンドカッターというスキルを覚えないと使えないって事だろう」
「え? そうなの?」
「なるほど。ロマド、わかってるかと思うけど覚えたら勝手に練習する前に俺達に言えよ!」
とユイジュさんに言われちゃった。
後でもう一度レベル2のスキルにないかチェックしよう!
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