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試み

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 はぁ……。
 ため息が出てしまった。何か役に立ちたいな。

 『ねえ、彼らに弓の扱い方を教えてもらえないかしら』

 弓? なぜに弓? あぁ、狩りの話を聞いたからかな?
 でもクロラが言うのだから聞いてみよう。

 「あの、オレも何かの役に立ちたい。だから弓の扱い方を教えてほしい」

 オレがそう言うと二人は驚いた。
 まあ武器を手にしたいと言ったのだから当然か。戦うと宣言したようなものだ。

 「うーん。そんなのでドンには勝てないとは思うが、何も出来ないよりはマシか。いいだろう。使い方を教えてやる」

 レックスさんが、教えてくれる事になった。
 ヤンさんに聞くと、弓をスーッと出して来て驚く。彼らも一応狩りをするらしい。
 地球のリスとはちょっと違うようだ。まあ服を着て、魔道具などを扱っている時点で全然別物だけど。

 夜までレックスさんに、弓の扱い方を習った。
 この猫の手で弓を弾くのが難しく、途中で矢が飛んで行ってしまう事がしばしば。
 あまりの下手さにレックスさんが苦笑い。

 『爪を使って引いてみる?』

 うん? 爪に弦をひっかけるって事だろうか。それなら上手くいく?
 やってみると意外と上手く行った。
 あとは、的に当てるだけ。まあ全然簡単にはいかなかったけど。
 的にする木を定め、それに狙い放つも木には当たらず。意外と難しい。

 あぁ、腕が痛い。弓を引くって意外と力がいる。
 これ明日も筋肉痛かも。

 次の日、驚く事に腕輪の対策メドがついたとヤンさんが液体を持ってきた。
 オレ達は、それを覗き込む。青い液体だ。

 「ヤンさん、これは一体なんですか?」

 レックスさんが聞いた。

 「これは、私が開発した肌にくっつく水です。そして凝固します」
 「……?」

 オレ達は、聞いてもピンとこない。

 「つまりこれに腕を突っ込み、肌に吸着させるという事です。固まれば、針を通しません」
 「なるほど」

 ロンドさんが、嬉しそうに頷いた。

 「しかし、この腕輪、ぴったりと肌に密着して動きもしないぐらいだが?」
 「それなのですが、どうやら隙間ができたら感知して変化するようなのです。つまり隙間が出来る一瞬があるということ。それを利用しようと思います」
 「そんなに上手くいくのか?」

 レックスさんが、怪訝な顔で青い液体を凝視する。
 失敗すれば、毒針がささるのだからそう思うよね。

 「確認はできるのか? 固まったとか、肌にちゃんと張り付いているとか」
 「はい。その道具もあります。なので、上手くいくか検証しましょう」

 ヤンさんが、キラキラした目でオレ達に言った。
 うん。研究者の目だ。オレ達は被験者。しかも三人しかいない。うん。むごいことはしないだろう。

 オレ達は、青い水に腕を入れ、グーパーグーパーをひたすら繰り返す。
 筋肉を動かす事で腕に隙間を作りだす作戦だ。上手くいけばいいけど。昨日の弓の練習のせいで、筋肉痛のオレは、このグーパーでさえ痛い。

 この青い水が固まるのは肌に触れた部分だけらしく、グーパーしている間に浸した腕がまるで凍り付いた様に動かなくなっていく。何となく恐怖だ。
 その度に、ヤンさんがアイテムをつかって、剥がしてくれた。
 この日は、これの繰り返し。

 筋肉痛を我慢してやったけど、オレは筋肉があまりないらしく隙間ができなかったようで、この実験は失敗に終わった。ちなみに装備だけど、皮膚と認識されたのか猫の手も固まり、オレは驚いたのだった。
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