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ワープの仕組み

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 「あの、質問なのだが。ワープには人数制限だけなのか?」

 まだ納得していないのか、レックスさんが問う。

 「人数というより、魔力量と距離ですね。一緒にワープする人数が多いほど魔力が多く必要です。我々は、魔力を持ち合わせていない。なので魔石を使います。魔石は、漂う魔力を吸収する石の様な物。それと、着地点も登録が必要なのです」

 そう説明して、ヤンさんはさらにワープの仕方も解説してくれた。
 ワープする為の魔法陣を予め平らにした魔石に描いておき、本来はそれから地面に複写して描く。その魔石は、それだけで魔力を全部消費してしまう為、更に発動する為の魔石が必要になる。そちらにワープ先の着地点が記憶されているらしい。
 つまり二つの魔石がないとワープが出来ない。
 魔法陣が描かれた石をワープ石と呼び、それは高価な魔導具で作るのも大変らしく、一度使用し魔力がなくなったワープ石に魔力を注ぐのに時間が要する為、すぐに発動できなかった。
 魔力袋といって、魔力を含ませる為にワープ石を入れる袋がありそれで魔力を補給する。

 マントの場合は、描いてある魔法陣がピンと張ってマントが平らになる事で発動条件が整い、先程置いた平の魔石の上にワープ先が記憶された魔石を置くとワープできるという事だ。

 「さて、ここからちょっと歩きますが、私の研究施設へご招待しましょう」

 オレ達は頷き、ヤンさんの先導のもと森を駆けた。そうちょっと歩くではなく、程よく走る事と1時間。獣人のちょっとは、オレ達のちょっと違うようだ。
 しかも今回は、真っ直ぐ目的地に向かった。つまりモンスターもいないようだ。そう思うと、なんとなく澄んだ森の様な気がしてきた。

 「この辺には、モンスターはいないのだな」

  レックスさんが言った。やっぱりいないから一直線だったんだ。

 「まあ、ここら辺は、私の施設の敷地内ですからね」

 とヤンさん。
 施設の敷地って……。凄く広いんですね!

 見えてきた建物は、ログハウスみたいな感じで素敵。
 ベア国は、石で出来ていたからこの世界の建物はそうなのかと思ったけど、国によって違いがあるみたい。

 「あ、お父さん」
 「おかえりなさい、あなた」
 「ヤンさん、ご無事で」
 「ただいま」

 なんか、わらわらリス達が出てきた。
 かわいいけど、自分と同じ大きさなのでなんとも違和感が半端ない。着ぐるみみたい。
 そのリス族の人が、ジーっとオレの事を凝視している。
 やっぱりミックスは、キツネ族以外には珍しいのか?

 「あの、ベア国に行って戻って来たのですよね?」
 「あぁこの子か。事情があって匿う事になった」
 「まさかベア国に囚われていたとか?」
 「そこら辺の事は、ブラムにまず報告してからにする」

 ブラムさん? ヤンさんは国の代表として会合に行ったけど、一番偉い人ではないみたいだ。

 「ブラムさんとやらは、この国のトップなのか?」

 ロンドさんの質問にそうだと、ヤンさんは頷いた。

 「我が国は、魔導技師の腕により位が決まる。私は、第三位。まあ代表として行ったのは、ベア国に一番近い場所に暮らしていたからだけどね」

 なるほどと、ロンドさん達は頷く。
 オレ達は建物の中ではなく、外に設置してあった丸太の椅子に座り、ヤンさんの帰りを待つ事になった。
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