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ドンの声
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やっぱり少なからず強制が働くようだ。腕輪を外したい……。でも毒針仕込みだと確定済みだから外せない。
「靴?」
そう呟くとドンは、ハッとして靴のクロラを見つめる。
やっぱり靴が何か知らなかったみたいだ。
「あの時のウサギ……」
「そうだ。あの時のウサギだ」
ドンの言葉を拾って、レックスさんはニヤリとそう返す。
あぁ、クロラだとバレた。
「その少年をご存じのようだな」
猫族がドンに言った。
っちと舌打ちしたドンは、レックスさんを睨みつける。そしてオレを見つめた。
今のセリフで、ドンが閣下だったと確定づけられたようだ。まあイミフだろうけど。
「ヒソカ、武器を出せ!」
さっきより強めに言われ、ごくりとオレは唾を飲み込んだ。彼の言葉には、強制力がある。召喚した者の特権なんだろうか。
『それは無理ね』
「え……」
突然、クロラが言って驚く。武器も装備の一部じゃないの?
『レベルに対して一体しか召喚できないわ。レベル1のご主人様は、私を召喚しているので、もうこれ以上召喚できないのよ。まあ、私を返還すれば、召喚できるけど』
あぁそういう意味か。でも素直にそう教えてやる必要もない。なのに素直に言っちゃいそうだ。うぐぐ……。
「……で、できません」
「何? 歯向かうのか」
「よせ!」
レックスさんが睨みつける。
二人が気が付いたみたい。オレが強制的に言わされていると。
「まさか、本当に彼を召喚したのか」
レックスさんの行動で、他種族の獣人達もドンがオレを操ろうとしていると気が付いたようだ。猫族の人が驚いて言った。
信じているようで、召喚の事はやっぱり信じきれていなかったらしい。
どうやら召喚された者は、召喚した者の言う事を聞くようになっているみたいだ。
「ヒソカ、召喚しろ。歯向かうな!」
「違う。いち……一日一回なんです!」
危なかった。一レベルにつき一体って言っちゃうところだった。
ふうっとドンが、仕方ないなと息をはく。
何とか抗う事ができたけど、これだと捕まれば明日召喚させられそうだ。
「やれ! ヒソカを捕らえろ!!」
「え~!」
「こっちへ」
犬族に言われ、二人は他種族に合流する。
なぜそこまでオレに執着するんだ。装備召喚ってそんなに魅力的か? だったとしても、こんな怖い国は嫌だ。
オレは、振り落とされない様に、必死にレックスさんにしがみつく。
レックスさんは、兵士が槍を振り回して来るので、攻撃を仕掛けられないでいる。防戦一方だ。こっちは素手だからなぁ。というか、魔法はないの? いやここで派手に魔法合戦されても困るけど、ちょっと見たかったなぁ。不謹慎だけど。
「ヤン殿、準備は?」
「終わりました。こちらへ!」
リス族の人が言う方へオレ達も向かう。って、目の前が真っ白に!
眩しい。ギュッと目を瞑った。
なんだろう。凄く静かになった気が……。
「え? どこ、ここ」
「我々、リス国との境界線近くです」
目を開けると、辺りは鬱蒼と茂る森に変わっていた。まさか、ワープした?
船から降りた先にあった森とは、植物の種類が違うみたい。もしかして、ベア族の国って広い?
「悪いがリス国で、取り調べを受けてもらう。よいな」
犬族の人がオレ達に言った。素直に頷いておく。
さて、魔の者をどういう扱いをするのか。お手柔らかにお願いします。
パーン。
何か花火の様な音が遠くで聞こえた。
「あれは、魔導発火だな」
何それ。
猫族の人が呟いた言葉に首を傾げていると、犬族の人が答えてくれた。
「合図を送る音を打ち上げたんだ。ほとんどの場合、種類によって内容が決まっている。たぶん私達が逃げたとか、逃がすなとかの合図だろう」
うーむ。準備がいいこって。
魔導って言うと、魔力とか魔石とかを使った道具だよね、きっと。もし仲良くなれたら色々聞いてみたいな。……というか、仲良くなりたい。助かる道はそれしかないから。
「靴?」
そう呟くとドンは、ハッとして靴のクロラを見つめる。
やっぱり靴が何か知らなかったみたいだ。
「あの時のウサギ……」
「そうだ。あの時のウサギだ」
ドンの言葉を拾って、レックスさんはニヤリとそう返す。
あぁ、クロラだとバレた。
「その少年をご存じのようだな」
猫族がドンに言った。
っちと舌打ちしたドンは、レックスさんを睨みつける。そしてオレを見つめた。
今のセリフで、ドンが閣下だったと確定づけられたようだ。まあイミフだろうけど。
「ヒソカ、武器を出せ!」
さっきより強めに言われ、ごくりとオレは唾を飲み込んだ。彼の言葉には、強制力がある。召喚した者の特権なんだろうか。
『それは無理ね』
「え……」
突然、クロラが言って驚く。武器も装備の一部じゃないの?
『レベルに対して一体しか召喚できないわ。レベル1のご主人様は、私を召喚しているので、もうこれ以上召喚できないのよ。まあ、私を返還すれば、召喚できるけど』
あぁそういう意味か。でも素直にそう教えてやる必要もない。なのに素直に言っちゃいそうだ。うぐぐ……。
「……で、できません」
「何? 歯向かうのか」
「よせ!」
レックスさんが睨みつける。
二人が気が付いたみたい。オレが強制的に言わされていると。
「まさか、本当に彼を召喚したのか」
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信じているようで、召喚の事はやっぱり信じきれていなかったらしい。
どうやら召喚された者は、召喚した者の言う事を聞くようになっているみたいだ。
「ヒソカ、召喚しろ。歯向かうな!」
「違う。いち……一日一回なんです!」
危なかった。一レベルにつき一体って言っちゃうところだった。
ふうっとドンが、仕方ないなと息をはく。
何とか抗う事ができたけど、これだと捕まれば明日召喚させられそうだ。
「やれ! ヒソカを捕らえろ!!」
「え~!」
「こっちへ」
犬族に言われ、二人は他種族に合流する。
なぜそこまでオレに執着するんだ。装備召喚ってそんなに魅力的か? だったとしても、こんな怖い国は嫌だ。
オレは、振り落とされない様に、必死にレックスさんにしがみつく。
レックスさんは、兵士が槍を振り回して来るので、攻撃を仕掛けられないでいる。防戦一方だ。こっちは素手だからなぁ。というか、魔法はないの? いやここで派手に魔法合戦されても困るけど、ちょっと見たかったなぁ。不謹慎だけど。
「ヤン殿、準備は?」
「終わりました。こちらへ!」
リス族の人が言う方へオレ達も向かう。って、目の前が真っ白に!
眩しい。ギュッと目を瞑った。
なんだろう。凄く静かになった気が……。
「え? どこ、ここ」
「我々、リス国との境界線近くです」
目を開けると、辺りは鬱蒼と茂る森に変わっていた。まさか、ワープした?
船から降りた先にあった森とは、植物の種類が違うみたい。もしかして、ベア族の国って広い?
「悪いがリス国で、取り調べを受けてもらう。よいな」
犬族の人がオレ達に言った。素直に頷いておく。
さて、魔の者をどういう扱いをするのか。お手柔らかにお願いします。
パーン。
何か花火の様な音が遠くで聞こえた。
「あれは、魔導発火だな」
何それ。
猫族の人が呟いた言葉に首を傾げていると、犬族の人が答えてくれた。
「合図を送る音を打ち上げたんだ。ほとんどの場合、種類によって内容が決まっている。たぶん私達が逃げたとか、逃がすなとかの合図だろう」
うーむ。準備がいいこって。
魔導って言うと、魔力とか魔石とかを使った道具だよね、きっと。もし仲良くなれたら色々聞いてみたいな。……というか、仲良くなりたい。助かる道はそれしかないから。
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