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シシリーのお披露目?

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 「なあ、取りあえず仕事受けて遺跡行ってみないか?」

 「あ、遺跡に行かないとダメなんだ……」

 「うーん。後は荷物運びとか、それこそ五つ葉の採取とか。それでもいいけど、それだと今日は、その仕事だけで終わっちゃうぜ」

 「え……」


 なるほど。時間が掛かるから一回しか仕事が出来ないって事ね!


 「ねえ、ここって武器屋とかアイテム屋とかないの?」

 「マジか……。本当に初心者なんだな」


 ヤードさんが驚いて呟いた。
 この様子だとなさそうね……。


 「初めから持っているのが自分の専用武器。後はドロップとか、遺跡で手に入れるとかそういう感じ。まあ使えない武器を手に入れたらトレード屋で登録かな。今の所、王都にしかないけど……」

 「え? そうなの?」


 私はミチルの説明に驚いた。専用武器の話はシシリーから聞いていたけど、私、何すればいいわけ? 村には働き口なさそう……。
 取りあえず、聞くだけ聞くかな……。


 「私、仕事で経験値上げようと思ってるんだけど……。あ、クエストじゃないやつね。だから生産系選んだけど、この村にはなさそう?」

 「多分まだないと思う。このゲームまだ始まって三日だから……」

 「え~!」

 「働き口は、王都だけだと思うけど……。ここから離れているから俺ぐらい強くないと行けないぜ」

 「無理そうね……」


 ミチルが言い切ると、寝袋からボソッと呟きが聞こえた。
 無理そうねって、最初から無理なの知っていたよね!!


 「これだったらまだ向こうで依頼受けてればよかった……」

 「まあ、そう言わずにここで依頼受けて、一度遺跡に行ってみようぜ!」

 「……うん」


 ため息をしつつ、私とミチルは神殿に入った。
 ここも人がいっぱい。神官の数も倍いると思う。しかも倍いるのに列が出来ている。


 「あの、どんなのがいいとかありますか?」

 「うーん。一番お金が高いのでいいんじゃねぇ?」

 「そ、そう……」


 凄い適当ね……。


 「じゃちょっと受けて来る」


 私は列に並んだ。
 暫くして私の番になった。


 「仕事をしたいのですが」

 「そうですね。なつめさんにはこれなどどうでしょうか?」


 と言う台詞で返された仕事の中身は、見たことがないものばかりだった。


 【炎の石の獲得/100,000G】
 【ドラゴンの鱗の獲得/500,000G】
 【清めた水の搬送/50,000G】
 【五つ葉集め/20,000G】


 うん? これ本当に一番高いの選んで大丈夫? ドラゴンの鱗だけど……。
 私は不安になりミチルに振り返るも壁に寄りかかった彼は、ニッコリ微笑んで頷き、隣のヤードさんとお話を再開した。

 どうしよう……。


 「ねえ、これドラゴンの鱗のやつ引き受けて大丈夫?」

 「あぁ……無理ね」


 ボソッと呟いてシシリーに相談すると、やっぱり無理だと帰って来た。
 金額が高い程難易度が上がるんだと思う。


 「どれがいい?」

 「……ごめん、大失敗だわ。絶対大丈夫なのは五つ葉集めね」


 ボソッと呟くと、シシリーはそんな言葉を返して来た。

 大失敗って何?
 もしかしてこれって、この炎の石かドラゴンの鱗じゃないと遺跡という所には行かないのでは?


 「北10に一緒に戻ってくれると思う?」

 「さあ、どうかしらね? ドラゴンの鱗は無理だろうけど、かろうじて炎の石は運次第で行けるわよ。っていうかミチル達次第ね。でもこれ選んじゃうと、色々バレそうだけどね」

 「色々って?」

 「バシップスキルがMAXとかそういうの。言ったでしょ。仕事はその人のジョブに合わせて出るって。あなたと同じぐらい強い人が、チームに居れば問題なくこなせるけど、ヤードって人がどれくらい出来るかよね……」


 なんですって!
 私ってそれなりに強いんだ……。まあ、ずるしてるようなものだもんね。神官だからHPも攻撃力も少ないだけで……。

 あぁ、困ったなぁ。でも遺跡行くならどっちかなんだよね……。でもなぁ、もともと戦闘しなくてもいいように神官選んだんだし……。


 「炎の石でお願いします」

 「なつめさん、よろしいですか?」

 「おい! 早くすれよ!」


 ちょっと勝手に言わないでよ!
 って後ろの人に怒鳴られた! 見れば睨んでいる……。


 「おい!」

 「はい……すみ……」

 「では、なつめさんにこの仕事をお願いします。頑張って下さいね」


 えー!? いや、今の後ろの人に、『はい』って答えたのわかったよね!?

 神官はつらっとして、次の人って言ってるよ……。
 シシリーのおバカー!
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